ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)は5日、日本のPC用ソフトウェアの違法コピー率を低下させることで得られる経済効果をまとめた調査資料「2008年IDC世界違法コピー経済効果調査」(日本版)を発表した。
今回の調査は、調査会社のIDCに委託したもの。これによると、2008年から2011年までの4年間、現在25%である日本の違法コピー率が10%低下した場合、12,400人の新たな雇用を創出し、89億ドル(約9,790億円)のGDP浮揚効果が得られるという。さらに、20億ドル(約2,200億円)の税収増も見込まれるとしている。
調査結果についてBSA日本事務局長の竹下千恵氏は、「調査によると、昨年、日本ではITにGDPの2.4%にあたる約1,060億ドル(約11兆6,600億円)もの多額の資金が投入され、IT関連税収1,160億ドル(約12兆7,600億円)の創出を促したという。しかし、PC用ソフトウェア違法コピー率の低減を実現すれば、IT産業が創出する新規雇用やビジネス機会と税収、そして経済成長の活性化に貢献できることが明らかになった」とコメントしている。
また、違法コピー率が高いアジアでは、今後4年間のうちにソフトウェアの違法コピー率が10%低下すると、43万5,000人の新たな雇用の創出、400億ドル超分の経済成長の加速化、現在の予測値を50億ドル超上回る税収が見込まれるとしている。
調査では、2007年、アジア経済圏においてPCやIT関連に2,310億ドルが投入されたことで、550万人のIT産業従事者を抱えるIT企業34万8,000社を支えたほか、IT関連の税収1,670億ドルの創出を促したことを指摘。「PCソフトの違法コピーを2011年までに10%低下できれば、アジア経済に対するITセクターの寄与をさらに高めることが可能」としている。
加えて、違法コピーソフトの減少による「相乗効果」も見込む。正規版パッケージソフトに1ドルが投入されるたびに、ソフトのインストール、人材の育成、メンテナンス サービスの提供といったローカルベンダによる関連サービスに対し、新たに1.25ドルが投入されることになるという。
調査では、違法コピーの減少が世界のIT構造を変化させる可能性も示唆する。「例えば、中国の82%というPC用ソフトウェア違法コピー率が10%低下すると、中国のIT労働力は4年以内に世界最大規模になり、米国のIT労働者人口を上回る可能性がある」という。また、ロシアにおいても同様で、「ロシアの80%というPC用ソフトウェア違法コピー率が10%低下すると、ロシアのITセクターの規模は4年以内にインドのITセクターを上回り、IT市場の成長速度という点で世界のトップスリーに名を連ねる可能性がある」と分析している。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.bsa.or.jp/press/release/2008/0205.html
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( 野津 誠 )
2008/02/05 16:43
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