電通は20日、2007年における国内の広告費を算出した。総広告費は前年比1.1%増の7兆191億円で、4年連続で前年超え。このうちインターネット広告費は24.4%増の6,003億円で、雑誌広告費の4,585億円を上回った。
なお、今年の発表から、広告費の推定範囲を改訂している。具体的には、1)雑誌の推定対象に専門誌と地方誌などを追加、2)インターネット広告費は広告制作費も推定、3)フリーペーパー・フリーマガジンの広告料を推定――など8点を改訂した。このため、2006年のインターネット広告費は3,630億円だったが、今回の改訂により広告制作費1,196億円を加えた4,826億円に修正されている。
2007年のインターネット広告費6,003億円は、媒体費4,591億円と制作費1,412億円の合計。媒体費単体では前年比26.5%の伸びを示した。媒体費は、検索連動型広告費が37.8%増の1,282億円、モバイル広告が59.2%増の621億円と順調に推移した。
検索連動型広告の好調要因としては、費用対効果を重視する広告主の出稿が増えたほか、テレビCMで告知して検索への誘導を促す「クロスメディア手法」が定着したことを指摘。ホームページ閲覧履歴をもとに、利用者の好みにあった広告を配信する「行動ターゲティング広告」の登場も、市場を活性化したと分析している。
モバイル広告は、飲料や自動車など製品を全国的に販売するナショナルクライアントのキャンペーンに活用されたことが好調の要因。また、3G端末の普及や通信料定額制の定着、通信速度の高速化により、媒体の評価や広告商品の整備が進んだことも、市場の成長を後押ししたという。広告媒体としては、無料ポータルサイトのページビュー数増加に加えて、SNSサイトを活用した広告手法が登場したほか、モバイルの検索サービスが本格化したことも好調要因に挙げている。
マスコミ主要4媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)の広告費は、いずれも3年連続で前年を下回り、特に新聞が大きく減少した。内訳は、テレビが1兆9,981億円(前年比0.9%減)、新聞が9,462億円(5.2%減)、雑誌が4,585億円(4.0%減)、ラジオが1,671億円(4.2%減)。
主要4媒体以外では、フリーペーパー・フリーマガジンやDMなどが好調だったプロモーションメディア広告が前年比1.9%増で、4年連続で増加となった。また、BSデジタル放送などが増えたことにより、衛星メディア関連広告費も10.8%の伸びを示した。
2008年の広告費の見通しとしては、米国の景気減速による世界経済の成長鈍化が懸念されるが、北京オリンピックなどがプラス要因となり、広範囲の業種で積極的な広告出稿が続くと予想。総広告費の見通しは7兆1,354億円で、2007年から1.7%の増加を見込んでいる。媒体別広告費では、マスコミ主要4媒体が0.8%減としているが、その他の媒体の広告費は、プロモーションメディア広告費やインターネット広告費の伸張が寄与して4.2%増と予測している。
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媒体別広告費
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関連情報
■URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2008/pdf/2008008-0220.pdf
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( 増田 覚 )
2008/02/20 17:05
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