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著作物の保護期間や利用円滑化を今期も継続審議、著作権分科会小委


文化審議会著作権分科会「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」
 文化庁の文化審議会著作権分科会は14日、著作権の保護期間や著作物の円滑な利用などについて議論する「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」の第8期・第1回会合を開催した。

 保護と利用に関する小委員会は、著作権の保護期間や利用の円滑化を集中的に議論する目的で2007年3月に設置。2007年中に10回の会合を行なったが、保護期間を延長すべきかといった点についてはまとまらず、検討が今期に継続された。小委員会の委員についても、津田大介氏や三田誠広氏など、ほとんどの委員が前期と同じ顔ぶれとなっている。

 第1回の会合では、過去の著作物の利用円滑化方策や、保護期間のあり方についてなど検討課題について確認。また、小委員会の下に、多数の権利者が関わる実演の利用円滑化方策を検討する「共有」ワーキングチームと、図書館などでのアーカイブ事業の円滑化方策を検討する「アーカイブ」ワーキングチームの、2つのワーキングチームを今期も設置することを承認した。

 会合では、過去の著作物の利用円滑化方策のうち、著作権者が不明な場合などに文化庁長官の裁定を受けることで利用が可能となる「裁定制度」について、著作権だけでなく、著作隣接権についても裁定制度を設けるべきかという点について議論が行なわれた。

 著作隣接権の問題については、過去のテレビ番組を利用する際などに、当時の出演者の連絡先が不明となるといったケースが挙げられた。一方、こうした問題は過去に二次利用を想定しないで制作されていたために発生しており、今後の利用円滑化のためには権利情報を集約することが重要であり、その途上で安易な解決策として裁定制度が利用されるのは望ましくないといった意見も挙がった。

 また、日本経団連が「映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会」でまとめた提言では、権利者不明の場合の第三者機関の設置など具体的な内容が盛り込まれているとして、小委員会の場でもこうした他の機関での議論を取り込むことや、具体的なニーズを踏まえた上での議論が必要だという提案がなされた。

 小委員会は概ね月に1回のペースで会合の開催を予定。4月の第2回会合ではワーキングチームからの報告を受けて利用円滑化方策について総括し、5月の第3回会合以降に著作権の保護期間のあり方について議論を行なうとしている。


関連情報

URL
  過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第8期第1回)の開催について
  http://www.bunka.go.jp/oshirase_kaigi/2008/chosaku_kako_080304.html
  審議会情報 著作権分科会
  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/
  関連記事:本誌記事で振り返る2007年の「著作権問題」
  http://internet.watch.impress.co.jp/static/index/2007/12/19/index.htm

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映画や音楽の二次利用を円滑化、著作権情報の検索サイトが5月公開(2007/04/12)


( 三柳英樹 )
2008/03/14 14:38

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