情報通信研究機構(NICT)と国土地理院は19日、地球の自転速度をほぼリアルタイムに計測することに成功したと発表した。実用化されれば、GPSの精度向上などが見込まれるという。
NICTと国土地理院は2月22日、つくばと鹿嶋、スウェーデンのオンサラ観測所でVLBI(超長基線電波干渉法)観測を実施し、観測終了後3分45秒で地球の自転速度の算出に成功したという。VLBIとは、はるか彼方の電波星から届く電波を利用して、数千キロメートル離れたパラボラアンテナの位置関係や地球が自転する速度などを正確に計測できる技術。
VLBI観測データは大容量になるため、それを解析局へ送るのに空輸では3~5日、ネットワーク転送する場合でも数時間から3日程度かかり、観測終了後にデータ処理していたという。これに対して今回は、リアルタイムでデータを転送し、観測中にデータ処理することで、観測後、数分以内での算出を実現した。
地球の自転速度は、太陽や月の重力効果、大気負荷、海流、天候、プレート運動など、さまざまな力の影響で日々複雑に変化しているという。一方、地球の自転速度は、人工衛星の軌道制御やGPSデータの解析などに欠かせない情報となっている。観測後に数分で実測値を公開できれば、GPSなどの人工衛星の軌道の予測精度が現在の1メートル程度から10センチメートル以内まで向上することが見込まれるとしている。
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現在行なわれている地球時点VLBI観測との比較
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www2.nict.go.jp/pub/whatsnew/press/h19/080319/080319-2.html
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