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地図の一部がゴムみたいに伸びて拡大、アルプス社と名工大が新技術


「ALPSLAB joint」のサイトで公開された「Fish-Eye」

単純な魚眼レンズのような拡大方法では全体に歪みが生じる
 アルプス社は24日、地図の一部を拡大表示するための新技術「Fish-Eye」を発表した。他の企業や研究機関とのコラボレーションや共同研究を紹介するサイト「ALPSLAB joint」で体験できる。

 すでにアルプス社では、地図の一部を拡大表示する「ALPSLAB 虫眼鏡」という機能を公開しているが、虫眼鏡の縁にあたる境界部分で地図の連続性が損なわれてしまった。これに対してFish-Eyeでは、拡大した部分とその周辺で、道路の連続性を保ったまま、1つの地図画面の中で拡大表示できるのが特徴。文章で表現するのは難しいが、ゴムで出来た地図の一部が引き伸ばされる感じだ。

 Fish-Eyeは、名古屋工業大学大学院工学研究科の高橋直久・片山喜章研究室との共同研究による成果。同研究室で研究している「Emma(Elastic Mobile Map)」と、ALPSLABのWeb技術やベクトル地図のハンドリング技術を融合した。

 Emmaは、「利用者の頭の中にある地理的イメージのように働くデジタルマップシステム」だという。エラスティック(伸縮自在)シートのように変形し、広い地域の一覧性と、拡大する地域の視認性を同時に確保したと説明している。

 拡大部分と周辺部分を連続的に表示するための、似たような技法は従来もあったという。例えば、拡大する部分の中心から周辺に向かうに従って同心円状に縮尺を変えながら描写していく方法では、魚眼レンズで覗き込んだように表示される(ゴムの地図の一部が、もっこりと膨らんだような感じ)。しかし、この方法では、中心点以外は歪んでしまう欠点があった。

 今回発表されたFish-Eyeでは、フォーカスしたい拡大部分を歪みなく描画した上で、「グルー」と呼ばれる領域を境界部分に設けることで、周辺部分との間の歪みを吸収する仕組みだ。グルー領域では、主要な道路や鉄道だけを抜き出して、周辺と拡大部分がスムーズに結ばれるように描写し直す。これにより、歪みが発生するのはグルー領域のみとなる。

 ALPSLAB jointでは、スクロール地図上の任意の地点をクリックすることで、Fish-Eye技法によりその周りが円形に拡大表示される様子を確認できる。円の大きさはマウスドラッグで変更可能。また、グルーの幅もマウスドラッグで調整できる。幅をやや広く確保したほうが、拡大表示部分は狭くなるが、道路や鉄道のつながりがより自然に見えるようになる。

 アルプス社によれば、このような表示機能を無料のオンライン電子地図サービスで提供するのは業界初だという。


グルー領域を広く設定した場合 グルー領域を狭く設定した場合

関連情報

URL
  Fish-Eye
  http://joint.alpslab.jp/fisheye/
  Emma
  http://tk-www.elcom.nitech.ac.jp/emma
  ニュースリリース
  http://www.alpsmap.co.jp/overview/letter/20080324/alpslab_fisheye.html

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( 永沢 茂 )
2008/03/24 13:56

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