総務省は26日、「小電力を用いる自営系移動通信の利活用・高度化方策に係る技術的条件」について、情報通信審議会から一部答申を受けたと発表した。1)簡易無線局等に適したデジタル方式の技術的条件、2)動物の検知通報システムの技術的条件、3)無線操縦機器の高度化方策に関する技術的条件――について答申している。
1)については、機器の小型化に適している変調方式として4値FSK変調方式の導入、キャリアセンス機能の導入、高層ビルなどでの利用需要を鑑み、現行の地上高30mまでの運用制限を緩和するための技術的条件を策定することが盛り込まれている。
2)は、野生動物の位置を検出して、農作物被害の対策や生態調査などに役立てるシステムに、免許の要らない小電力の自営系移動通信システムを活用できるようにするもの。サルやクマ、シカ、イノシシなどに発信機を装着し、受信機で接近を検知する仕組みだ。そのための特定小電力無線局に必要な技術的条件を策定するとともに、伝搬特性やアンテナの長さによる動物の制約を鑑み、最適な周波数帯として150MHz帯を選定した。なお、150MHz帯は運送業務や公共業務、アマチュア無線などでも使われている周波数だという。
3)については、ラジコンに利用される周波数が従来のVHF帯に加えて、新たに無線LAN技術を応用したシステムの普及が予測されることが背景にある。小電力データ通信システムにおいて、航空機用ラジコンに適用する周波数ホッピングの条件追加や、干渉防止規定の見直しを行なう。
総務省では、答申を踏まえて技術的条件について速やかに制度整備を進めていく予定だとしている。
【追記 2008/04/15 19:45】
なお、総務省では140MHz~170MHzを総称して150MHz帯と呼んでおり、数百チャンネルに分かれているという。今回の答申では、このうちの3チャンネル以上を動物の検知通報システム用に確保することが望ましいとされているが、具体的にどのチャンネルを選ぶかは、関係規定の原案とともに5月中に示される見込みだ。
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■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080326_2.html
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( 永沢 茂 )
2008/03/27 12:25
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