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日本ユニセフ協会、“準児童ポルノ”への見解を表明


 日本ユニセフ協会は、“準児童ポルノ”に関する質問が寄せられているとして、公式サイト上で見解を発表した。“準児童ポルノ”の基準については、「欧米各国では法律等で禁じられている子どもへの性的虐待を描いた」ものが対象と説明。今後は、これらを法規制している諸外国を参考に、日本でも法制度との整合性を図りながら、法的規制を検討すべきとの考えを示した。


“準児童ポルノ”違法化は漫画やアニメそのものを否定するものではない

 日本ユニセフ協会では、3月11日に開始した「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンで、児童の性的な姿態や虐待などを描写したアニメ、漫画、ゲームに加えて、18歳以上が児童を演じるアダルトビデオなども“準児童ポルノ”と定義。これらを違法化することを訴えたが、賛同の声以外に質問も寄せられているという。

 これに対して日本ユニセフ協会は3月17日、漫画やアニメ、ゲームそのものを否定するものではないなどとする見解を発表。“子どもポルノ”(“準児童ポルノ”と同義)の基準については、あくまで「欧米各国では法律等で禁じられている子どもへの性的虐待を描いた」もので、「子どもに対する性的虐待を性目的で描写した」ものに限定されると説明している。

 また、性目的で描写した“子どもポルノ”であっても、自分自身の楽しみのために紙やPC上で描く行為など、他人への提供を目的としない製造の禁止は求めないとしている。

 “子どもポルノ”への法的規制を主張する理由については、子どもへの性的虐待を描いた漫画やアニメを処罰する国が少なくないと指摘。さらに3月28日付でもコメントを発表し、これらの国の法規制などを参考に、日本の国際社会における立場なども考慮した上で、日本の法制度との整合性を図りながら法的規制を検討すべきとした。

 なお、検討の過程では、日本を含む世界193カ国・地域が批准する「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」の精神と内容が尊重されるよう訴えるとした。


MIAUの公開質問状には個別に回答せず

 一方、インターネット先進ユーザーの会(MIAU)では3月18日、“準児童ポルノ”違法化を主張する日本ユニセフ協会に対して、その真意を問うために公開質問状を送付。3月28日を回答期限としていた。

 MIAUは公開質問で、“準児童ポルノ”を一律に違法化することは、表現の自由に接触する恐れがあると指摘。その上で、児童や性目的であるかどうかを判断するための基準、性目的であるかどうかを判断する主体などを質問していた。そのほか、“準児童ポルノ”と児童ポルノを規制する目的および根拠が同一かどうか、“準児童ポルノ”の閲覧と実際の接触犯罪に因果関係があるのか、など全部で9点質問していた。

 この公開質問状に対して日本ユニセフ協会から3月28日、MIAUに返信があったという。ただし、これらの質問に個別に回答しているわけではない。「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンに寄せられた代表的な意見・質問への見解・説明を公式サイトに掲載するにとどまっている。


関連情報

URL
  日本ユニセフ協会の見解(3月17日付)
  http://www.unicef.or.jp/special/0705/backnum/080317.html
  日本ユニセフ協会の見解(3月28日付)
  http://www.unicef.or.jp/special/0705/backnum/080328.html
  日本ユニセフ協会広報室からMIAUへの返信について
  http://miau.jp/1206713700.phtml

関連記事
MIAU、“準児童ポルノ”違法化を訴える日本ユニセフ協会に質問状(2008/03/19)


( 増田 覚 )
2008/04/01 21:17

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