|
「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」第6回会合
|
総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」が25日、第6回会合を開催し、中間報告をとりまとめた。同検討会ではこれまで、青少年に有害な情報への対策として、特にフィルタリングサービスについて議論してきた。今回の中間とりまとめでは、「携帯電話フィルタリングサービスの実効性ある普及を目指して」と題し、フィルタリングの導入促進を図りつつ、現在のフィルタリングサービスの課題を解決するための方策を提示している。
なお、インターネット上の有害情報から青少年を保護するために法制化を含む強化策をとるべきとの声があることに対しては、今後、こうした立法化の動きを注視し、携帯電話のフィルタリングサービスの現状モデルの改善を図りつつ、引き続き有効な施策を検討するという。
● 携帯フィルタリングの「多様性」「選択性」確保を
中間とりまとめでは、現状の携帯電話のフィルタリングサービスについて、アクセスしたい情報の範囲が選択できない、閲覧が制限される情報の範囲が広範といった「画一性」「非選択性」の課題があると指摘。今後のフィルタリングサービスのあり方についての短・中期的対応として、1)ユーザーが主体的に選択可能となる「カスタマイズ機能」、2)青少年保護に配慮したサイトを認定する「民間の第三者機関」――を改善策として挙げている。
これらの改善策により、親権者の承認により青少年が利用したいサイトを個別に選択できるようにするサービスを提供するともに、健全なサイトにはアクセスできるようにすることで、「多様性」「選択性」を確保したモデルに改善し、「本来あるべきフィルタリングに近づけていくことが重要」としている。
● 違法・有害情報の検知技術、国による開発の必要性も
このような短・中期的対応のほか、長期的対応として、保護者や学校、地域におけるICTメディアリテラシー向上のための教育・啓発の必要性のほか、CGMなどの違法・有害情報を検知する技術についても言及。必ずしも民間企業のビジネスにならないような部分については「国が早急に検出技術やクローリング技術の開発等を行ない、それをコンテンツ事業者等に解放して、利用可能とするなど、積極的な取り組みを推進することが必要」としている。
なお、クローリングに関しては、携帯電話からしかアクセスを受け付けない携帯サイトもあることから、フィルタリングリスト提供会社における効率的なリスト作成の課題となっているとし、今後、関係事業者で検討していくことが必要としている。
検討会では今後、最終報告に向け、有害情報対策の深化(長期的対応)に向けた取り組みのほか、違法情報対策にも視野を広げて検討していく予定だ。その際には、インターネットの特性に鑑み、国際的な連携も念頭に置く必要があるとしている。今回の会合でも、欧州における対応状況について意見交換したことなどについて報告があり、今後の議論に活用していくとした。
● 硫化水素自殺など、ネット一般の有害情報にも適切な対応を~増田総務相
|
増田寛也総務大臣
|
今回の会合の終わりには、増田寛也総務大臣も出席。ここ数日で目にすることが多いという硫化水素による自殺のニュースに触れ、「そういった情報がネット上にいろいろ流れており、どう対応するのか考える必要がある。微妙な難しい問題があるが、検討会の結果を十分に踏まえて、迅速に対応を考えていきたい」などとコメントした。
また、中間とりまとめでは携帯電話のフィルタリングについて検討結果をまとめたが、「もっと広く一般的にインターネット上の違法・有害情報について法的な対応をどうするのか、与野党で議論になっており、必要な対応が迫られると思う。検討会の議論を踏まえて適切な対応をとっていきたい」とも述べた。
増田大臣のコメントを受け、検討会の座長を務める一橋大学名誉教授の堀部政男氏も、「国会においても検討が進められているが、その中で、中間とりまとめは重要な意味を持つと確信している」とした。
関連情報
■URL
インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/internet_illegal/index.html
■関連記事
・ 携帯フィルタリング、自動適用の場合は「ブラックリスト方式」が妥当(2008/04/02)
( 永沢 茂 )
2008/04/25 15:42
- ページの先頭へ-
|