特定非営利法人ブロードバンド・アソシエーションのP2P関連問題研究会は、「青少年の健全な育成のためのインターネットによる青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案(青少年インターネット規制法案)」に反対するとして、自民党の谷垣禎一政務調査会会長に宛てた意見書を公表した。
P2P関連問題研究会は、社会においてP2Pが健全に活用されることを目指して発足したもの。P2P技術を利用し、インターネットで誰もが情報を発信する社会を実現する上で、青少年インターネット規制法案は、国民の権利に重大な影響を及ぼすと考え、意見書を発表したという。
意見書では、「未成年へ違法・有害情報が送信されないようにすることは必要」と前置きした上で、違法・有害情報への対応は、すでにISPなどで行なわれつつある活動を助長することで実現すべきであり、法律で規制してはいけないと述べている。また、法案自体が通信の秘密や保護者の教育権に抵触しているほか、技術的に見ても実効性がないとしている。
意見書でも、フィルタイリングの必要性はあるとしてるが、それを法律でISPに強制することには問題があると指摘する。また、法案ではフィルタリングの対象情報を明確に示していないとし、このままフィルタリングを強制すれば、親の判断や子供の知る権利を制約するほか、一般のWebサイト開設者に過度な負担を強いることになり「プロバイダ責任制限法を死文化しかねない」としている。
さらに、違法・有害情報を精査する委員会についても、構成メンバーが不明確であることなどを指摘。また、違法・有害情報の規制を回避する“抜け道”を挙げ、今回の法案は実行性に欠くとしている。
P2P関連問題研究会のメンバーは、江崎浩氏、石川宏氏、斉藤賢爾氏、津田大介氏、石橋聡氏、伊勢幸一氏、壇俊光氏、古川享氏、持田侑宏氏、安田浩氏、山下達也氏、吉開範章氏、早稲田祐美子氏、飯野嘉郎氏。
関連情報
■URL
特定非営利法人ブロードバンド・アソシエーション
http://www.npo-ba.org/
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( 野津 誠 )
2008/05/09 21:21
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