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リッチコンテンツ普及でネット滞在時間が増加、PV数は減少傾向に


総ページビュー数と総利用時間の推移
 ネットレイティングスは23日、4月におけるインターネット利用動向調査の結果を公表した。国内の家庭でのWeb総利用時間は9億2,900万時間で、前年同月の7億8,994万時間から1年間で約18%増加していることがわかった。一方、総ページビュー数は前年同月比で3%減の804億ページビューにとどまった。2006年までは総利用時間、総ページビュー数は連動して増えていたが、最近ではページビュー数が減少する傾向が見られるという。

 その理由としては、ストリーミングやFlashなどのリッチコンテンツや、Ajaxなどクリックを減らす技術が普及したことから、1ページに滞在する時間が長くなっていることを指摘。実際、1人あたりの月間平均ページビュー数は、2006年3月の2,077ページビューをピークに減少傾向にあり、2008年4月には1,667ページビューにまで低下。これは、2004年4月とほぼ同じ水準だ。

 一方、1人あたりの平均利用時間は2001年10月の約10時間から、2008年3月では20時間20分と倍増。また、1ページビューあたりの平均滞在時間では、ダイヤルアップでインターネット接続する家庭が大半だった2001年は34~35秒で推移。ブロードバンド接続が主流となった2004年以降は31秒程度と短くなったが、2005年以降はリッチコンテンツが普及し、1ページビューあたりの滞在時間が増加を続け、2008年4月では41秒にまで増えている。


1人あたりの平均利用時間の推移 1ページビューあたりの平均滞在時間の推移

「職場ではPC、家ではケータイ」という若年層も

ネットレイティングス代表取締役社長兼ニールセン・オンラインチーフアナリストの萩原雅之氏
 また、2008年4月のインターネット利用人口は4,827万人で、2001年以降増加を続けている。個別のサイトの利用者数も同様に増えており、2008年4月ではヤフーが9割、グーグルと楽天は5割以上の利用率があると指摘。特にグーグルは、YouTubeを買収した2006年10月以降、利用者を急速に伸ばしているという。「グーグルが検索やその他のサービスを提供することで、日本の市場を押さえているヤフーにどれだけ迫るかが注目される」(ネットレイティングス代表取締役社長兼ニールセン・オンラインチーフアナリストの萩原雅之氏)。

 2008年3月におけるインターネット利用者の年齢別内訳としては、50歳以上(F3/M3)が23%、35~49歳(F2/M2)が38%、20~34歳(F1/M1)が19%、19歳以下が20%。今後は、50歳以上の人口の絶対数が増えるのにあわせて、中高年の利用比率が増え続けると指摘。この数値には携帯電話からのインターネット利用は含まれていないが、20代では「職場ではPC、帰宅後はケータイ」という層が増え、携帯電話をメインのインターネット機器として使う傾向も見られたという。

 萩原氏は、「企業が携帯電話向けサイトを作るケースが増え、特に今年はナショナルクライアントがこの動きに対応している」と指摘。「『PC向けの企業ホームページがない』という状況が、携帯電話で起こりかねない」と述べ、企業の携帯電話向けサイト構築が重要な課題であることを示した。


インターネット利用人口と主要サイト利用者数の推移 年齢別のインターネット利用者数の推移

2008年はQ&AサイトやYouTubeを使った企業マーケティングが進む

 このほか萩原氏は、2008年の注目動向として、1)知識・経験プラットフォーム、2)動画プラットフォーム、3)タレントブログプラットフォーム――を企業が活用し始めると予想する。

 まず、「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」などのQ&Aサイトを含む知識・経験プラットフォームについては、旅行分野での活用事例を紹介。「楽天トラベル」をはじめとする旅行サイトでは口コミ機能を提供したり、「地球の歩き方ドットコム」ではQ&Aサイトを提供しているが、こうした旅行サイトの取り組みには限界があるという。

 その理由としては、ユーザーの多くが日記や写真などを1つのコミュニティ内にまとめる傾向があることを指摘。例えばmixiでは旅行に関するコミュニティが多く、こうしたコミュニティ内でQ&Aなどの情報交換が行なわれているためだという。「ユーザーは、普段使っているコミュニティで情報を求めるのが自然の流れ。mixiには日記だけでなく、写真や動画をアップロードできるため、ユーザーが投稿するコンテンツが自然と集まってくるだろう」。

 また、エイチ・アイ・エスをはじめとする多くの旅行サイトが旅行分野に特化した動画投稿サイトを提供しているが、これらの多くが低調であることを指摘。長期的には、これらの旅行サイトが、YouTubeやmixiのようなオープンプラットフォームを活用するようになるのではないかとの見方を示した。


Q&Aサイトを含む知識・経験プラットフォームが企業マーケティングに活用されるという 動画投稿コンテンツに対応する旅行サイトも多いが、長期的にはYouTubeやmixiのようなオープンプラットフォーム活用にシフトすると見ている

 次いで、動画プラットフォームの活用に関しては、YouTubeをめぐる動向を紹介。英国王室が2007年12月に公式チャンネル「THE ROYAL CHANNEL」を公開したり、米カリフォルニア大学バークレー校が2007年10月に講義を無料公開したほか、日本でも2007年12月の自民党以来、主要政党がYouTubeに公式チャンネルを開設したことを挙げた。

 さらに、国内初というYouTubeを使った企業マーケティングの事例として、東芝が展開したノートPCのキャンペーンを紹介。バナー広告やGoogle AdWordsから、YouTubeに用意した公式チャンネルに誘導する事例を挙げた。「YouTubeの各動画にはパーマリンクが付いているので、動画に興味を持ったユーザーが自分のブログなどに貼り付けることが可能で、口コミ効果が非常に高い」。最近ではコカ・コーラもYouTubeを使ったマーケティングを展開しているが、今後はYouTubeが企業マーケティングで活用される傾向がさらに高まると見ている。


YouTubeでは2007年12月に自民党が公式チャンネルを開設して以来、主要政党もこれに続いた 今後は企業マーケティングでYouTubeを活用する事例が増えると予想している

上地雄輔が「ブログの女王」超え、アメブロでタレントブログを使った企業マーケティングも

 最後にタレントブログプラットフォームでは、特にサイバーエージェントが提供する「Ameba(アメブロ)」では、1,500人以上のタレントがブログを開設していると説明。特徴としては、1時間に数十人のタレントが記事を更新していることを挙げ、現在最も人気を集めている「上地雄輔ブログ」は、1日の訪問者数が100万人前後、1エントリーに数時間で10,000~15,000のコメントが付く盛り上がりを見せているという。なお、2008年4月におけるアメブロの利用者数は1,130万人、ページビュー数は3億7,837万。

 「一昔前は、眞鍋かをりや中川翔子が『ブログの女王』と言われ、1日に数十万のアクセスを集めていたが、上地雄輔の人気は『ブログの女王』を遙かに超えている。その要因としては、若い女性がケータイからコメントを付けていること。今後は、ユーザーとタレントの関係がブログによって劇的に変わることが予想される。現在、ブログはタレントのプラットフォームとなっているが、サイバーエージェントは将来的に、タレントを使った企業マーケティングでブログを活用することを考えているだろう。」


企業マーケティングでは、タレントブログの活用が進むという アメブロの利用者数・ページビュー数の推移

関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://csp.netratings.co.jp/nnr/PDF/Newsrelease05232008_J.pdf

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ネットレイティングス、「mixi」の利用者急増などを指摘(2006/05/26)


( 増田 覚 )
2008/05/23 15:39

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