5月29日に開催予定だった「私的録音録画小委員会」が延期することが決まった。延期の理由について文化庁著作権課は、「補償金問題について、一部の委員から回答を得られなかったため」と説明。次回の小委員会開催日は未定としている。
5月8日に開かれた私的録音録画小委員会の第2回会合では、事務局の文化庁著作権課が今後の補償金制度についての試案を提出。iPodやハードディスクレコーダーなど「録音録画が主な用途となっている機器や媒体」は、補償金制度の対象とすることなどが盛り込まれていた。29日に開催予定だった会合では、各委員が試案をもとに意見を調整した上で、議論を進める予定だった。
メーカー側代表として委員に出席する電子情報技術産業協会(JEITA)の広報によれば、「29日の小委員会で何らかの意見を述べるために調整していたが、現在も意見の集約を図っているところ」とコメントしている。
● 「メーカー側が議論を振り出しに戻した」権利者側が非難
なお、音楽や映像などの権利者団体で構成される「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」は27日、小委員会が延期したことについてメーカー側の対応を非難。JEITAの委員が、2008年4月の第1回会合では「文化庁案に沿って真摯に努力する」と発言したものの、前回の第2回会合では「補償金制度の縮小・廃止に向けた道筋が見えない」など、これまでの議論を振り出しに戻すような発言に終始したと指摘し、29日に「メーカーの社会的責任と補償金制度」と題した記者会見を開くことを発表した。会見では、ダビング10と補償金制度の問題点を改めて明らかにし、問題解決に向けた意見を示すとしている。
地上デジタル放送の新録画ルール「ダビング10」をめぐっては、6月2日に運用を開始することが予定されていたが、権利者側は「権利者への対価の還元が前提」として、補償金制度の見直しを要求。この問題に決着が付かなければ、ダビング10の開始にこぎ着けられない状況になっている。
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■URL
文化庁
http://www.bunka.go.jp/
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( 増田 覚 )
2008/05/27 18:39
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