米Microsoftは14日、米Yahoo!が12日に発表したプレスリリースに間違いが含まれていると反論した。Yahoo!が拒否したMicrosoftとCarl Icahn氏による共同提案は、Yahoo!会長によって依頼された提案であったことを明らかにした。
また、これに関して、Icahn氏もプレスリリースを発表し、Yahoo!の主張に間違いがあると指摘している。
両陣営のすれ違いは続いており、8月1日の株主総会に向けて、委任状争奪戦がますます過熱している。
● Microsoftは「提案はたたき台だった」と説明
MicrosoftとIcahn氏の主張を総合すると、MicrosoftとYahoo!を結び付ける仲介策をIcahn氏がGoldman Sachsとともに練り上げ、その案にYahoo!が関心を示したことから、Yahoo!側から交渉のテーブルに乗るようMicrosoft側に依頼がなされたことになる。
これは、Yahoo!の12日付のプレスリリースで、MicrosoftとIcahn氏が一方的に共同提案を提示し、24時間に満たない期間内の回答を求めたとする主張と大きく食い違っている。
Microsoftによると、7月10日木曜日の午後に、Yahoo!会長のRoy Bostock氏が、MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏と連絡を取った。その電話の中でBostock氏は、「十分な量の保証金がテーブルに乗り、トラフィック獲得コストが上積みされたのだから、検索に限定した取り引きの柱は出来上がった」と述べたとされる。そしてBallmer氏に対し、検索ビジネスに限定した取り引きの提案を行うよう促したという。
Microsoftはこの会話を受け、Yahoo!の提案を吟味した結果、金曜日の遅くになって、検索ビジネスに限定した取り引きを新たに提案したとされる。これが、Yahoo!の12日のプレスリリースに書かれていた共同提案ということになる。
Microsoftによると、この提案の中にYahoo!経営陣の入れ替えなどに関するコーポレートガバナンス問題は含まれていなかったとされる。また、Microsoftによるこの提案は、あくまで今後、さらに細かい論点を詰める前の段階のたたき台であり、交渉を受け入れるか拒否するかといった種類のものではなかったと説明している。
● 検索部門を10億ドルで買収するなど、総額77億ドルの取引を提案
Icahn氏が14日に発表したプレスリリースは、Microsoftのプレスリリースの内容をさらに詳しく補っている。
これによると、Icahn氏はGoldman Sachsとともに、Microsoftが関心を持ちそうなYahoo!との取り引きについて先週議論をしていたという。その結果、MicrosoftがYahoo!の検索ビジネスのみを買収し、Yahoo!をコンテンツ企業に変え、Yahoo!のコンテンツから発生する検索に対して金銭を支払うというものだった。話し合いの結果、Yahoo!側は、もし現在の収入と同額を受け取ることをMicrosoftが保証するなら関心を示すとして、取り引きの詳細が見えてきたとされる。
Yahoo!が関心を示したこの取り引きについて、Icahn氏がBallmer氏と話し合った結果、Microsoftが検索ビジネスを10億ドルで買収し、28億ドルのローンと、Yahoo!株主に対する39億ドルの公開買い付けを行うという、総額77億ドルの取り引きの枠組みがまとまった。
その結果、Yahoo!はコンテンツビジネスに専念し、サーチエンジンのための研究開発費と維持費を持たなくて済む。また、Yahoo!が開発したサーチエンジンをそのまま利用することができ、コンテンツ企業としても生き残れる。Microsoftは、残ったYahoo!の株式の一部を持つことになる。
この提案について、金曜日にMicrosoft、Icahn氏、Yahoo!との間で話し合いが持たれた。しかしIcahn氏によると、この話し合いで、Yahoo!側はMicrosoftの提案内容よりも、誰がYahoo!を経営するかに関心を持っていたように見えたという。Ballmer氏は、金曜日の残りの時間をYahoo!のコーポレートガバナンス問題に費やすことを好まず、「まず、この取り引きに関心があるかどうかだけを教えてくれ」と話したとされる。
さらにIcahn氏は、12日のYahoo!プレスリリースには、間違いが多々含まれていることを指摘。まず、Yahoo!側が与えられた時間が24時間に満たなかったと主張しているのに対して、もし株主総会を短期間延期するつもりがあるのなら、さらに多くの時間が与えられることになっていたと説明。また、Microsoftが示した金銭的保証についての詳細も、Yahoo!側のプレスリリースでは述べられなかった。また、Yahoo!のガバナンスに関しても、取締役会の数人を残すこと、Yahoo!の現CEOであるJerry Yang氏に「Chief Yahoo!」の肩書を与えることなどについて述べたにもかかわらず、このことが隠されていた。
こうしたことに対して、Icahn氏は、強い不快感をあらわにしている。
関連情報
■URL
Microsoftによるプレスリリース(英文)
http://www.microsoft.com/Presspass/press/2008/jul08/07-14statement.mspx
Carl Icahn氏によるプレスリリース(英文)
http://www.icahnreport.com/report/2008/07/icahn-issues-pr.html
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・ 米Yahoo!、MicrosoftとIcahn陣営の秘密共同提案を拒否(2008/07/14)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/07/15 13:12
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