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I-ROIが健全サイトの評価項目を公開、9月運用開始予定


 インターネットコンテンツ審査監視機構(Internet-Rating Observation Institute:I-ROI)は17日、Webサイトをレイティングする際の審査基準や運用方法などについて記者発表を行った。コンテンツ事業者から申請のあったサイトについて、I-ROIが審査を行い、認定マークを付与する。今秋以降のコンテンツ審査業務開始を目指す。

 I-ROIの襟川恵子代表理事代行(コーエー取締役名誉会長)は、「自民党らが研究会を立ち上げているが、法律による規制ではネットの自由は守られない」と述べ、学識経験者・有識者が集まった民間の第三者機関による監視の必要性を訴えた。また、「認定マークを付与してもすべてが解決するわけではない。一番必要なのは、親による教育。有害サイトは親の認識以上に子供に見られている。親のリテラシー教育もI-ROIの重要な活動」とコメントした。

 I-ROIの相磯秀夫代表理事は、I-ROI設立の経緯や目的を説明した上で、おおまかな運用プロセスを紹介した。「まず、ネットコンテンツの事業者から申請を受け付ける。申請があったサイトをI-ROIが審査・認定する方向で進めている」という。また、「年齢層など、ユーザーの利用環境ごとに認定マークを提供する。それをベースにしてユーザーはコンテンツ利用の可否を判断する」と述べた。「認定マークは、利用者がフィルタリングなどを利用するときの判断材料にすぎない。最終的な判断は親が行うべき」とした。


I-ROIの相磯秀夫代表理事 I-ROIの襟川恵子代表理事代行

事業者の自己評価を基にI-ROIが認定マークを付与

 記者会見終了後に「I-ROI設立記念シンポジウム」が開催された。シンポジウム第1部の基調講演では、相磯代表理事が、I-ROIの活動概要について説明した。I-ROIの活動項目は、ネットコンテンツの「健全性認定」と「安心利用教育」になるという。

 認定は、「第三者機関として客観的に行うこと」「認定マークにより、ユーザーの利用判断やフィルタリングに貢献すること」「コンテンツ事業者は、I-ROIの策定したセルフレイティング基準を使って自己評価をし、認定の申請を行うこと」が考えられている。認定開始時期は9月の予定だ。

 認定対象は、「企業や各種法人、その他組織が提供するネット上のコンテンツ」としており、当面は個人を対象としない。主に、I-ROI会員企業が認定申請を行うが、会員以外からも受け付けるという。なお、資本金や事業規模などにより3段階の会員ランクを設けている。2008年度中に1000社の会員登録を目指す。

 認定サイトは、PC向け、携帯電話向けを問わず、ネット上で配信しているコンテンツ全般を対象にする。当面は、映像や画像、電子書籍、ゲームなどの「表現型コンテンツ」について認定作業を行う。いずれは、掲示板やブログ、SNSといった各種投稿・コミュニティサイトの「参加型コンテンツ」も対象にしていくという。

 「表現型コンテンツ」では、「描写」「言語」「その他」の分類・着眼点で、合計11の評価項目を用意する。描写では性・暴力表現などの描き方で5項目、言語では差別や粗暴表現にかかわる文章で3項目、その他では勧誘・依頼などで3項目を設けている。また、3種類の年齢区分「12歳未満」「12歳以上」「15歳以上」も設定し、それぞれの項目・年齢区分ごとに「安心して推奨できる」「やや注意を要する」「利用に注意を要する」といった評価を行う。


表現型コンテンツのレイティング基準 参加型コンテンツのレイティング基準

 コンテンツ事業者は上記レイティング基準にてサイトの自己評価をし、I-ROIに提出、認定申請を行う。申請内容には、基本的な企業情報も含まれる。I-ROIではセルフレイティング情報を基にサイトを審査し、「12歳未満推奨」などの認定レベル決定、および認定情報のデータベース登録を行い、事業者に認定マークを付与する。事業者は認定マークをサイトに貼る。ユーザーは、認定マークを参考にして、子供が(あるいは自分が)閲覧して良いサイトなのかを判断する。

 I-ROIでは、認定マークを付与した後もコンテンツの監視を行う。常時監視するわけではなく、「ユーザーホットライン」を設置し、認定マークにそぐわないコンテンツがあったなどの報告を受け付ける。報告のあったサイトは、I-ROIが「マーク使用継続の審査」を行い、当該事業者に対し、「マークの継続」「是正(コンテンツの改善要求)」「マーク取り消し」を通告する。このように、運用システムは、「ユーザーと一緒になってブラッシュアップしていく」という。

 相磯代表理事は、「秋に向かって審査基準を確定する。法律に関係する部分もあるので、そう簡単にはできないだろう。段階を踏んで作成していきたい」と話す。「まずは、運用システムのバージョン1を作成。ISPやコンテンツプロバイダーへ提示し、会員企業を中心に運用していきたい。さらに、研究やディスカッションを重ねて、より良い物に作り上げる」とした。将来的には、「I-ROIの成果を国際的な立場で公表し、日本の姿勢を示したい」という。このほか、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)など、他の第三者機関については、「複数あることが望ましい。さまざまな価値観を併存させ、利用者の選択肢を増やせるよう相互の機関に働きかける」との考え示した。


運用イメージ 認定フェーズ

再審査フェーズ 普及フェーズ

関連情報

URL
  コンテンツアドバイスマーク(仮称)推進協議会
  http://www.amd.or.jp/activity/advice_mark.html

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ネット全般を対象に健全サイト認定、第三者機関「I-ROI」設立へ(2008/04/25)


( 野津 誠 )
2008/07/17 20:45

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