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アッカ、イー・アクセスと業務提携でイー・アクセスの子会社に


握手を交わすイー・アクセスの深田社長(中央左)とアッカの須山勇代表取締役社長(同右)。会見には両者取締役も出席した
 アッカ・ネットワークスとイー・アクセスは31日、事業統合に向けた戦略的業務・資本提携について合意したと発表した。今回の提携により、アッカはイー・アクセスの連結子会社となる。

 今回の提携は、ADSLサービスのホールセールという共通のビジネスモデルを展開する両社が設備および業務を統合することで業務効率化による利益の最大化、競争力の維持・強化を図るもの。アッカとイー・アクセスが同一のADSL事業グループとなることで、NTT東日本とNTT西日本を別の事業者とした場合契約数のシェアでは約22%で業界2位になるという。

 具体的にはイー・アクセスのADSL関連設備および保守業務をアッカに統合し、イー・アクセスはアッカに設備使用料を支払うことで引き続きサービスを提供する。また、アッカのネットワーク保守運用業務はイー・アクセスの持分適用会社であるイー・モバイルに統合する。このほかモデムレンタルスキームやモデム物流・オペレーション業務、カスタマーサポート業務を統合することで業務効率化やコスト削減を図るとしている。

 業務提携に際し、アッカがイー・アクセスを対象として普通株式6万1790株の第三者割当増資を実施。イー・アクセスが保有するアッカ株式の議決権割合は45.3%となり、アッカはイー・アクセスの連結子会社となる。イー・アクセスでは10月開催予定のアッカ臨時株主総会の決議を経て、アッカ取締役の過半数となる新取締役を派遣する予定。

 連結子会社化以降もアッカは社名やブランド、経営体制などを現行通り維持する予定。今回の業務提携でアッカは今後5年間で140億円の売上増を見込むほか、アッカで約60億円、イー・アクセスで約10億円のコスト削減効果を見込んでいるという。


資本業務提携の概要 DSL設備の譲渡で保守運用を一元化。将来的なネットワーク統合も見据える

8月15日を払込期日に第三者割当増資を実施。アッカ現経営陣は留任する 業務提携によるシナジー効果

須山社長「総合通信ネットワークグループとしてサービスを提供」

今回の提携目的
 31日の発表会では、アッカ・ネットワークスの須山勇代表取締役社長、イー・アクセスの深田浩仁代表取締役社長が資本業務提携に至る経緯などを説明した。

 イー・アクセスの深田社長は、今回の資本業務提携によって、「DSLマーケットシェア拡大によるスケールメリット」と「事業シナジーの創出による収益拡大」「財務基盤の強化」が期待できると説明。「連結子会社化によって、グループ全体の事業規模拡大も期待でき、モバイル連携など多様な成長戦略が今以上に機動的に実行できると確信している」と述べた。

 DSL市場シェアは両社合計で22%となり、NTT東西のシェアを個別に見た場合ではソフトバンクBBの37.8%に次ぐ第2位の規模になる。アッカの須山社長は「バックエンド業務のシナジー効果で得られた利益を新規顧客獲得のために活用したい」と発言。「市場全体は減少傾向にあるが、当面は1000万規模は続く」と述べ、「2010年までにシェア30%を目指したい」とした。

 第三者割当増資後の10月に開催される臨時株主総会の決議を経て、アッカにはイー・アクセスから過半数の新取締役を受け入れる予定。一方、須山社長をはじめとしたアッカの現経営陣は留任し、須山社長が引き続き代表を務めるという。

 須山社長は「今回の提携は両社にとっての第1歩」と発言。「両社で協力し、固定から無線、バックボーンなど、すべてをカバーする総合的な通信ネットワークグループとしてサービスを提供していく」と抱負を語り、「アッカ自身の企業価値も高め、株主に還元を目指すととともに、事業規模を拡大していきたい」と述べた。


資本業務提携によるメリット 将来ビジョン

千本会長「新体制で前向きに事業へ取り組んでいる」とアッカを評価

発表会後には合意文書の調印式も行われた

イー・アクセスの千本会長
 須山社長によれば、2008年3月の就任前後からイー・アクセスとの話し合いを行っていたという。その後、「イー・モバイルとのMVNO提携を契機に関係が深まった」と語り、今回の資本業務提携に向けた検討作業に結びついたという。

 イー・アクセスの深田社長は「お互いエンジニア出身であり、これまでネットワークや物流面を見てきた」と須山社長との共通点を紹介。「両社が新経営陣体制となって、つまびやかに検討した結果、2カ月間という短期間で双方が納得できる議論ができた」と述べた。深田社長はまた、須山社長を「最良のビジネスパートナー」と評し、両者の良好な関係をアピールした。

 発表会に同席したイー・アクセスの千本倖生取締役会長は、「当社がアッカの株式を取得した頃を含め、アッカの株価は不当に安く評価されている」と発言。イー・アクセスでは、アッカに対して株主提案や株主代表訴訟の準備を行った経緯があるが、「須山社長による新体制となったことで、以前と比べて戦略的に前向きに事業を取り組まれている」と評価し、「深田との個人的シナジーもポジティブで、私が期待した以上の関係が築けた」と語った。

 また、今回の資本業務提携にあたっては「(第2位株主である)NTT Comが一定の理解を示した点も重要な点の1つ」とコメント。その上で、「アッカとの連携によって、固定とモバイルブロードバンド、FMC、その次の部分も含めて大きな絵が描けるのではないかと感じている」と述べた。

 千本氏は加えて、「アッカに所属する技術者の皆さんは、非常に高いレベルにある」と評価。今回の提携によって人事交流も行う考えで、「モバイルという潜在力のあるマーケットセグメントで躍動感のある仕事をしていただける」と語り、「技術者人材は当社でも不足してきており、技術面でも提携効果が得られるのではないか」と期待を示した。

 なお、発表会同日には、アッカの第2位株主であるNTTコミュニケーションズ(NTT Com)が保有株式(1万4546株)を米IGNITE ASSOCIATES L.L.Cに譲渡すると発表。2008年9月(予定)の譲渡後はアッカとの資本関係はなくなるが、須山社長は「NTT ComをはじめとしたNTTグループとは、今後も良いビジネス関係を築いていきたい」と述べ、協力関係を継続したい考えを示した。


提携に合わせて業績予想も上方修正した イー・アクセス側も上昇を見込む

関連情報

URL
  アッカ・ネットワークス 投資家情報
  http://www.acca.ne.jp/ir/index.html
  イー・アクセス 投資家情報
  http://www.eaccess.net/ir/
  NTT Com ニュースリリース
  http://www.ntt.com/release/monthNEWS/detail/20080731_2.html
  関連記事:アッカ決算、今後はモバイルに注力。ソリューションや映像事業は見直し[BB Watch]
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/21896.html
  関連記事:アッカ、イー・モバイルとMVNOによるデータ通信サービス提供で基本合意[BB Watch]
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/21843.html

関連記事
イー・アクセス、アッカの自己株式取得に対して株主代表訴訟を準備(2008/03/19)


( 甲斐祐樹, 村松健至 )
2008/07/31 20:41

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