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未公開Web 2.0企業は成長著しくも未だ利益は出ず、富士通総研


期別の従業員数と売上高(上)、期別の当期利益と従業員1人あたり当期利益(下)
 富士通総研とNPO法人Japan Venture Researchは、調査レポート「Web 2.0企業の実態と成長の動向 未公開企業編」を公開した。Web 2.0企業とは、ユーザー参加型のWebサービスを開発・提供する企業のこと。今回は、上場していないWeb 2.0企業43社のCEOにインタビュー調査を行い、その結果から業界の動向を分析している。

 調査結果によると、未公開のWeb 2.0企業は設立後約3年で平均2億2400万円の資金調達に成功している。既にIPOを果たしたWeb 2.0企業の設立後3年目における1企業あたりの平均資金調達額は1億8500万円だったことから、今回の分析対象とした未公開Web 2.0企業はIPOを果たした企業以上の資金調達を成功させている。ベンチャーキャピタル(VC)や事業会社がWeb 2.0企業に対し、積極的に投資を行っていることがわかる。

 また、現在の経営者の年齢は30代が半数以上であり、その多くは大手のインターネット企業など大企業での職務経験がある。レポートでは、「設立間もない企業が投資家から積極的な投資を受けることができた背景には、経営者のWeb 2.0的ビジネスへの造詣の深さや過去の経歴が関連している可能性がある」と分析している。

 レポートによれば、「現在、黒字転換できている企業は調査対象企業中20%に満たない」と説明。残りの80%以上の企業は赤字額を拡大させていることから、「Web 2.0ビジネスは今のところ企業の利益に結びついていないと思われる」としている。ただし、ベンチャー企業としては売上高や従業員数を毎年増加させており、急成長しているという。

 会社設立以降の決算期ごとの平均従業員数と平均売上高の推移を見ると、従業員数は1年目の6人から、4年目は35人と約6倍に増加しており、この期間の従業員数の平均増加率は80%を上回る。また、売上高は3年間で15倍近くに増加し、この期間の平均増加率は171%に上る。

 一方、決算期ごとの利益を見ると、3年目に若干黒字を出しているものの、それ以外は赤字が続いており、4年目の赤字額は1年目の約1.7倍に増加している。ただし、従業員数1人当たり損失は減少している。レポートでは、「これらの企業は、今後の成長により、黒字転換できる可能性が示唆される」と分析する。


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URL
  ニュースリリース
  http://jp.fujitsu.com/group/fri/topics/2008/0731info.html

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( 野津 誠 )
2008/08/05 13:32

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