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楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長
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楽天は8日、2008年第2四半期(2008年4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は622億9100万円(前年同期比23.4%増)、営業利益は110億5300万円(同51.5%増)、経常利益は104億200万円(同35.0%増)、当期純利益は54億300万円(同48.6%増)だった。
増収の背景には、「楽天市場」「楽天トラベル」の売上高が順調に拡大したことや、フュージョン・コミュニケーションズが連結対象となったことがある。一方、増益の背景には、楽天KCの損益が大幅に改善したことや、楽天市場の増益、経営管理施策「Project V」の効果があるという。
楽天会員は6月末時点で3995万人で、7月3日には4000万人を突破。三木谷浩史代表取締役会長兼社長は「会員増加がうまく進み、楽天経済圏が拡大している」と評価する。
● 楽天市場、原油高の影響で日曜日の注文が増加?
楽天市場事業は、第2四半期の売上高が154億400万円。成長率は前年同期比22.1%増になるという。注文件数は2078万件(前年同期比28.7%)で、四半期ベースで2000万件を超えた。第2四半期に1回以上購入したユニーク購入者数は633万人(同23.2%増)で、流通総額をユニーク購入者数で割った1人あたりの購入総額2万4413円だった。
三木谷社長は「インフレ、原油高と、リアルな経済では逆風が吹いているが、楽天市場はあまり関係ない」とし、逆に「追い風」になっていると指摘する。
この理由については、クルマに乗って家族で買い物に行く時間が減り、家にいる時間が増えたことにより、ECを利用するようになったのではないかと説明。また、特に家電を中心にネットのほうが安い例も出てきており、これが消費者に認知されるようになったこともあるという。このほか、エネルギー効率の面でも、各家庭が店舗に出向くより、ECで購入した商品を宅配業者が配達したほうが優れているとも指摘した。
また、正確は理由はわかっていないが、日曜日の流通量が増えていることも最近の傾向だという。これについては、全くの推測だとしながらも、週末に家にいることが多くなったことを受け、「家族で相談して日曜日に買っているのではないか」「土曜日は我慢していたが、日曜日になって我慢できずに買っているのではないか」との見方を示した。
なお、「楽天オークション」については、「オークションは我々にとって新規分野。これまでヘビーにやってきたが、下半期には黒字に転換する」との見込みを示した。
● フュージョン・コミュニケーションズが6月に単月黒字化
通信事業では、2007年に楽天傘下に入ったフュージョン・コミュニケーションズの事業再構築が進んだ。営業損益が、2008年4月には9700万円の損失、5月には4100万円の損失だったのが、6月には1億4400万円の黒字となり、四半期ベースでも500万円ながら黒字化を達成した。
● イーバンクとの資本提携「かなりの深い関係性が必要」
4日に資本・業務提携を発表したイーバンク銀行への出資比率について、一部報道では、三木谷社長が「将来的には過半数をとりたい」と述べたことが報じられた。これについては、「持ち分については先方との相談の上で、事情が許せばそういうこともやぶさかではないが、我々が強引に推し進めることではない。しかしながら、単純に株主というだけではつまらない。業務提携の強化がポイントになってくる。楽天経済圏への取り込みという意味では、かなりの深い関係性が必要になってくるのではないか」とコメントした。
また、インターネットバンキング分野では、楽天はすでに東京都民銀行と提携して決済サービスなどを展開している。今回、イーバンクと提携したことによる東京都民銀行との関係については、「いきつくところで言えば、2つ持っていても特段メリットはないと考えている。今後、話し合いをしていかなければいけないかもしれない」とコメントした。
なお、楽天は2008年中間期(2008年1月~6月)の連結決算も発表している。売上高は1218億1400万円(前年同期比23.1%増)、営業利益は182億6600万円(同35.7%増)、経常利益は173億9500万円(同16.0%増)、当期純利益は72億9300万円(同25.7%増)だった。
関連情報
■URL
楽天株式会社 投資家向け情報
http://www.rakuten.co.jp/info/ir/
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( 永沢 茂 )
2008/08/08 19:59
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