World Association of Newspapers(世界新聞協会)は15日、現在計画されているGoogleとYahoo!のネット広告分野における提携に強い懸念を表明する公式声明を発表した。
世界新聞協会では、報道の自由は新聞社の経済的基盤が独立していて初めて成り立つと考えており、GoogleとYahoo!の提携はこれを脅かすものとみている。
世界新聞協会はまず、GoogleとYahoo!の提携によって、新聞社の利益が減ることを懸念。今回の提携計画によって、Yahoo!よりもGoogleに広告を出稿する方にメリットがあると広告主が考え始め、さらに、Yahoo!の広告表示に制限が加えられていることから、Yahoo!よりもGoogleの広告ビジネス価値が増加するとしている。
さらに、新聞社のWebサイトがサーチエンジンの検索結果と検索広告に大きく依存していることを指摘。つまり、GoogleとYahoo!の提携によって検索広告の価格が上がれば、それは新聞社にとって打撃となる。また、この提携によってYahoo!のサーチエンジンとしての競争力が低下する結果、Googleが検索結果を操作する危険性が増加することを懸念している。一例として、Googleが「Knol」のような独自のコンテンツビジネスを拡大する可能性についても指摘した。
そして3つ目に、この提携によってGoogleへの依存がますます強まることを警戒する。Googleが検索広告とコンテンツ広告の90%をコントロールすることにより、Googleは新聞社に対して大きな力を持つことになる。
特にGoogleが、新聞社や他のクリエイターが作成したコンテンツと競合するコンテンツサイトを複数保有している点を指摘。さらに、「YouTube」や「Google Book Search」が関係する訴訟にも注意を向け、Googleの著作権に対する考え方にも懸念を表明した。
こうしたことから世界新聞協会では、「報道の自由は、一企業を信頼して任せるには余りにも重要すぎるものだ」とコメントし、規制当局にこの取り引きを中止するよう声を上げていくことを宣言した。
関連情報
■URL
共同声明(英文)
http://www.wan-press.org/article17866.html
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/09/16 11:58
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