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リバースエンジニアリング適法化など、文化審小委が中間まとめ


19日に開催された文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の第9回会合
 文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会は19日、2008年度の中間まとめを行った。中間まとめでは、リバースエンジニアリングや研究開発目的での著作物利用、通信の円滑化・効率化を目的とした一時的な蓄積などについては、著作権が及ばないとする権利制限を認めるべきである方向性が示された。

 法制問題小委員会では2008年度の課題として、デジタルコンテンツの流通促進法制や、私的使用目的の複製の見直し、機器利用時・通信課程における蓄積などの取り扱いについて検討を進めてきた。

 また、2008年6月18日に知的財産戦略本部で決定された「知的財産推進計画2008」において、1)検索サービスの適法化、2)通信課程における一時的蓄積の法的位置付けの明確化、3)研究開発における著作物利用の適法化、4)コンピュータプログラムのリバースエンジニアリングの適法化――の4つの課題について、2008年度中に法的装置を講じるべきことが盛り込まれたことから、リバースエンジニアリングと研究開発における著作物利用の適法化についても検討を行ってきた。

 これらの課題のうち、検索サービスの適法化については、2007年度の法制問題小委員会において、著作者の権利との調和に配慮しつつ権利制限を講じることが適切であるという方向性が既に示されているため、その他の課題についての議論が中間的にとりまとめられた。

 コンピュータプログラムのリバースエンジニアリングについては、リバースエンジニアリングの課程で生じる複製や翻案が著作権侵害にあたるのではないかという指摘があることから、適法性の範囲について検討が行われた。検討の結果は、相互運用性の確保や、障害・脆弱性の発見など、一定の目的のための調査・解析については、著作権が及ばないとする権利制限を認めるべきだということで、委員の間で概ね意見の一致が見られたとしている。

 一方で、競合プログラムを開発する目的など、リバースエンジニアリング行為全般については、目的によっては権利制限が許容される場合もあるとの指摘はあったが、具体的な範囲や条件について引き続き検討が必要だとしている。

 また、通信の円滑化・効率化を目的としたキャッシュなどの一時的蓄積についても、公益性を有するものであり、コンテンツの配信ネットワークなど権利者にとっても有益なものであることから、権利制限を認めるべきだとしている。ただし、立法にあたっては、権利者の不利益とならないための配慮が必要だとしている。

 このほか、デジタルコンテンツの流通促進法制については、権利者不明の場合の著作物利用に関する制度措置について、できる限り早期に実施に移すよう検討することが適当であるとしている。また、違法複製・違法配信からの複製については私的複製の対象外とするいわゆる「ダウンロード違法化」について、録音録画の分野だけでなくコンピュータプログラムも同様の検討が必要だとする要望に対しては、私的録音録画小委員会の検討の方向性も踏まえた上で、利用者に混乱を生じさせないとの観点にも配意しつつ検討を行っていくことが適当だとしている。


関連情報

URL
  文化審議会著作権分科会法制問題小委員会
  http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/index.html

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( 三柳英樹 )
2008/09/19 17:02

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