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P2P技術の普及に向け立法措置も、東大・江崎浩教授らが提言書


ブロードバンド・アソシエーションP2P関連問題研究会の委員長を務める、東京大学・大学院教授の江崎浩氏

「P2P基本提言」をとりまとめたP2P関連問題研究会のメンバー

「P2P基本提言」の主旨
 NPO法人ブロードバンド・アソシエーションのP2P関連問題研究会は18日、「P2P基本提言」をとりまとめた。社会的インフラとしてP2P技術を積極的に取り入れる必要性や、日本の技術者が安心してP2P技術の開発に取り組める環境の実現などを訴えている。

 22日、ブロードバンド・アソシエーションの主催により「ブロードバンド特別シンポジウム〜インターネットのP2Pに関連する技術的・社会的諸問題を考える」が開催され、同研究会の委員長を務める江崎浩氏(東京大学・大学院教授)が提言について説明した。

 基本提言ではまず、インターネットにおける通信負荷の一極集中の問題を解決する手段としてP2P技術が今後不可欠とし、社会的インフラとして積極的に取り入れられるべきと主張する。一方で、著作権侵害や情報漏えいなどP2Pに関連して問題とされている事項は、P2P技術の本質的な問題ではなく、商用化されているP2Pネットワークでは解決済みと説明。また、著作権侵害に関連する裁判などによって、日本におけるP2P技術の開発が萎縮しているとし、技術者が安心して開発できる環境を実現する必要性を訴えている。

 さらに、P2P技術への移行が世界的潮流であるにもかかわらず、日本が世界に立ち後れているとし、その原因として、硬直的な著作権を含む法律や規定、消極的な産業など多くの原因があると指摘。日本の国際競争力向上の観点から、立法を含めた諸制度の改善を行うべきとしている。

 江崎氏は、提言の主な理由を説明。P2Pネットワークの優位性について、「資源の効率的活用」「耐故障性」「スケーラビリティ」に加えて、「創発性」という4点を挙げる。創発性とは、「新しいシステムを開始する上でも役割に制限がないため、サービスの提供に必要なネットワークを、誰もが自律的に組み上げることができる」ということだ。

 また、P2Pの問題が著作権侵害や情報漏えいとセットで考えられる風潮について、「全く別の問題」としながらも、「P2Pがこの問題を増幅しているのは確か」とコメント。今後、司法当局や著作権者側とも意見交換しながら、基本提言をブラッシュアップしいきたいと述べた。

 P2P関連問題研究会は、江崎氏が委員長を務めるほか、副委員長に石川宏氏(ブロードバンド・アソシエーション理事、NTTアドバンステクノロジ特別顧問)、幹事に津田大介氏(IT・音楽ジャーナリスト)と斉藤賢爾氏(慶應義塾大DMC機構専任講師)、委員には古川享氏(慶応義塾大学、元Microsoft)、安田浩氏(東京電機大学)、壇俊光氏(弁護士、Winny開発者弁護団事務局長)、伊勢幸一氏(ライブドア)ら14人が名を連ねる。基本提言書もこれらメンバーが策定した。


関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.npo-ba.org/public/20080918p.pdf
  ブロードバンド特別シンポジウム
  http://www.npo-ba.org/symposium200809.html

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( 永沢 茂 )
2008/09/22 14:56

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