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学校裏サイト「見たことがない」教員が半数以上~都教育委調査


 東京都教育委員会は9日、7月に実施した「子供のインターネット・携帯電話利用についての実態調査」の結果を発表した。“学校裏サイト”について、児童・生徒、保護者ともに半数以上が「よく分からない」と回答しているほか、教員では「よく知らない」「見たことがない」の合計が75%に上ることがわかった。

 調査は、東京都内の公立学校42校(小学校24校、中学校12校、高校4校、特別支援学校2校)を抽出。児童・生徒1万1032名(小学校4年生以上5050名、中学校4258名、高校1512名、特別支援学校212名)、保護者7300名(小学校4年生以上3701名、中学校2839名、高校538名、特別支援学校222名)、教員800名(小学校337名、中学校214名、高等学校136名、特別支援学校113名)を対象に調査した。


ネットトラブルへの対応、教員の66.8%が「困っている」

 学校の非公式ページ、いわゆる“学校裏サイト”の認知度については、児童・生徒において「自校のものだけ知っている」が4.9%、「自校以外のものも知っている」が8.1%、「見たことも聞いたこともない」が31.1%、「よく分からない」が55.9%だった。保護者では、「子供の学校のものだけ知っている」が9.7%、「子供の学校以外のものも知っている」が10.6%、「見たことも聞いたこともない」が27.0%、「よく分からない」が52.7%だった。

 教員においてては、「自校のものだけ見たことがある」が10.8%、「自校以外のものも見たことがある」が14.2%、「見たことがない」が54.5%、「よく知らない」が20.5%だった。児童・生徒や保護者と比べて「よく知らない」との回答は少なく、認知度は高いと言えるが、「見たことがない」が半数以上おり、「よく知らない」を合わせると75.0%に上る。調査報告書では、「教員が学校裏サイトについて実態を正確に把握しているとは言えない」と指摘している。

 なお、教員における「見たことがない」との回答の校種別の数字は、小学校62.7%、中学校52.4%、高校32.1%、特別支援学校62.9%だった。このことから、高校においては、学校裏サイトに対して教員も比較的注目していることがうかがえる。

 一方、インターネット・携帯ネットのトラブルへに対して、教員の27.9%が「喫緊の課題」、68.5%が「重要な課題」、3.6%が「重要課題でない」と回答。強い問題意識を持っていると見られるが、対応の仕方については66.8%が「困っている」と回答している。困っている内容は「トラブルへの対応の仕方」が56.0%、「インターネット携帯サイト利用の指導」が40.1%、その他が3.9%。報告書では、「教員が具体的な対応の仕方・適切な指導の仕方について身に付けることができるよう対策を講じる必要がある」と指摘している。

 なお、「子供の携帯電話によるトラブルがあった」と回答した教員は39.9%おり、特に中学校では75.1%に上っているという。



児童・生徒におけるネットトラブル、最多は「チェーンメール」

 児童・生徒における携帯ネットでの被害経験は、小学校で11.9%、中学校で23.4%、高校で29.2%、特別支援学校で21.4%が「有り」と回答した。一方、ネットトラブルについて相談を受けたことがある保護者は、小学校で3.5%、中学校で12.5%、高校で10.3%、特別支援学校で6.8%だった。これらの結果から、報告書では「トラブルの実態を保護者が正しく把握しているとは言えない」としている。

 トラブルの種類について児童・生徒にきいた設問では、「チェーンメールを流された」が1007件で最多。以下、「メールで悪口・個人攻撃を受けた」が346件、「プロフィールサイトに誹謗・中傷、画像が掲載された」が207件、「出会い系サイトで被害に遭った・遭いそうになった」が151件、「アダルトサイトからわいせつ画像等が送られてきた」が149件、「個人情報(メールアドレス・パスワード等)を悪用された」が147件、「ゲームサイトで被害に遭った・遭いそうになった」が126件などと続く。

 チェーンメールによるトラブルが多いとの認識は保護者も同様だとしているが、児童・生徒が受けたトラブルの内容と、保護者が受けた相談の内容には乖離があるという。特に「プロフ・ブログ」「学校裏サイト」によるトラブルについて保護者が正確に認識していないとしている。

 このようなトラブルにの対応について、東京都教育委員会としての考え方をまとめた「子供の携帯電話利用についてのアピール」を発表した。児童・生徒に向けては、携帯電話の利用は慎重に行うよう呼び掛けるとともに、保護者にはフィルタリングの利用や使い方のルールを決めるよう呼び掛けている。また、教員に対しては携帯電話の利用についての指導・啓発を、業界に対しては子供が安心して利用できる環境のさらなる整備を求めている。



関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr081009s.htm

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( 永沢 茂 )
2008/10/10 16:06

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