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Skype社のスコット・ダシュラグCOO
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Skype Technologies S.A.(以下Skype社)のスコット・ダシュラグCOOが来日し、20日に記者懇談会を開催した。
ダシュラグ氏は、「世界の通信市場は年間1兆7000億ドルあり、毎年成長を続けている。通信の市場の中でSkype社の売上はまだ微々たるもので、これからも伸びる可能性は十分にある」と話す。また、「ビデオコミュニケーション市場は20億2000万ドルあり、そこでも伸びる可能性を持っている」とした。
「Skype社ができた当時は、通信市場が徐々にインターネットへシフトしていた。今日では市場の変化が激しく、日々大きく変わっている。特に、通信はハードからソフトの時代になってきた。ソフトが鍵を握る現在の通信市場では、どのようなハードにも対応した通信ソフトを提供する企業が勝ち組になる。その中でSkype社は有利に立っている。」
● Skype成長のための4つの戦略
ダシュラグ氏は、今後の戦略について、具体的に4点を説明した。1つ目は「ビデオ通話」。「Skypeがビデオ通話を導入して以降、そのクオリティは市場にあるビデオ対応インスタントメッセンジャーのすべてを超えてきた」とアピール。「Skypeユーザーのうち約3割はビデオ通話を利用している。また、Skype 4.0のベータ2を見ても、ビデオ関連の機能を強化していることがわかると思う。これからの通信はビデオなくしては語れない」と述べた。
2つ目に「法人向け製品の展開」を挙げた。「ビジネスユーザーはコンシューマよりもきめ細やかなサポートが必要であり、コンシューマ以上の機能も必要となる」と説明。「Skypeユーザーのうち、30%は企業で利用されていることもあり、今後はビジネスユーザー向けのサポートと機能を充実し、法人の規模を拡大していきたい」とした。
3つ目は「携帯電話市場」だ。「現在は、JavaベースのSkypeクライアントのベータ2をリリースしており、ノキアやモトローラなど80機種に対応している。Windows Mobile版のSkypeは1100万件ダウンロードされた」と説明。「今後は、PCと携帯でシームレスにSkypeを利用できるようにすることが課題であり、目標」と述べた。なお、日本の携帯電話やiPhoneの対応については検討中とした。
4つ目は「Skypeプラットフォームのパートナーシップ」だ。ダシュラグ氏によれば、「現在、Skype社以外で1万5000人のデベロッパーがいるほか、世界で50社以上のパートナー企業がSkype対応製品を開発している。具体的には、Skypeの認証を受けたハードが200、ソフトが230ある」という。「パートナーシップはSkypeの成長に不可欠であり、今後も拡大していきたい」とした。
ダシュラグ氏は、「Skype社は四半期ごとに50%増の成長を続けている。この成長を支えていくためには、先に説明した4つの戦略はもちろん、現在、通信市場において我々があまり関与していない分野にも今後は深く関わってきたい。最終的には、Skypeが人間のコミュニケーションを支えるものとなりたい」と語った。
● 中国版Skypeとのチャットはログが保存される可能性も
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「Skype社としても検閲には従うしかない」と話すダシュラグ氏
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ダシュラグ氏によれば、各国語版のダウンロード数から見たSkypeユーザーは、英語圏が圧倒的に多いが、中国も伸びているという。中国国内では、Skype社と中国の通信会社であるTOM社がジョイントベンチャーを設立し、中国版のTOM-Skypeソフトウェアを提供している。
TOM-Skypeだが、第三者機関の調査によって、Skype社が把握していた以上の検閲が行われたことが明らかになった。「TOM社との当初の契約では、特定のキーワードが含まれるテキストチャットを表示しないというものだった」が、現在は、テキストメッセージ、IPアドレス、ユーザー名、関係する固定電話の電話番号、日付などのデータを保存している。検閲対象のキーワードには、台湾独立、法輪功、反中国共産党的メッセージが含まれるという。
ダシュラグ氏は、「2006年にTOM-Skypeを発表したときは、特定キーワードのブロック機能しかサーバーに搭載していなかったが、中国当局が自らサーバーの内容を変えてしまった」と説明。「キーワードをフィルタリングするソフト自体、中国当局がTOM社に提供したもので、ソフトのアップデートも中国当局が行っている。その部分に関してはSkype社もコミュニケーションしておらず、我々も報道によって初めて知った。驚いたと同時に、とてもがっかりしている」と話す。
ダシュラグ氏によれば、「現在では、TOM-Skypeをダウンロードする場合、ユーザーには、チャット内容が監視されていることを知らせる説明文を表示するようにしている」という。チャットログなどが保存されるのは、TOM-Skypeユーザーだけのようだが、「中国版以外のSkypeユーザーがTOM-Skypeと通信を行ったときでも、チャットに特定ワードが含まれていれば、ログが保存されてしまう可能性もある」とした。なお、「検閲はテキストチャットだけで、音声やビデオ通話は対象になっていない」とのことだ。
関連情報
■URL
Skype
http://www.skype.com/intl/ja/
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( 野津 誠 )
2008/10/21 12:41
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