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MSがプライバシー保護方針を説明、技術とコントロールを利用者に提供


米Microsoftの最高プライバシー責任者を務めるPeter Cullen氏
 マイクロソフトは11日、米国本社で最高プライバシー責任者を務めるPeter Cullen氏の来日に合わせ、マイクロソフトのプライバシーへの取り組みに関する説明会を開催した。

 Cullen氏は、マイクロソフトのプライバシーへの取り組みは、2002年にマイクロソフトが提唱した「Trustworthy Computing」(信頼できるコンピューティング環境)から始まっていると説明。2002年当時は、BlasterやSlammerといったウイルスからPCを保護することが重要だったが、現在では犯罪者はマルウェアやフィッシング詐欺などでユーザーの個人情報を狙うようになっており、個人情報保護の重要性がさらに高まっているとした。

 プライバシー保護の現状としては、企業からの情報漏洩などを受けて、多くの国で個人情報保護に関する新たな法律や政策が導入されており、マイクロソフトでもこうした各国の政策作りに協力していると説明。一方、国や地域によって法整備の度合いは異なっており、今後は国際協調や業界・組織横断的な共通ルールが求められるが、マイクロソフトとしては「どのような法規制の要求以上に高いレベルのプライバシー保護を提供していきたい」と語った。

 一方で、利用者の側は相次ぐ個人情報漏洩やオンライン詐欺の急増により、ますます不安を感じていると説明。「米国およびドイツでは、およそ3割の利用者がID盗難やオンライン上の商品への懸念から、インターネットの利用を控えている」といった調査結果を紹介し、こうした信頼の低下は世界的な傾向だとして、企業には信頼回復のための対策が求められているとした。

 また、個人情報に対する考え方も、従来はユーザーの氏名やメールアドレス、クレジットカード番号といったものだけを対象としていたが、IPアドレスやユーザーのクリック履歴などの情報についても、どのように保護すべきかを各国の政策やサービス提供側でも見直すようになってきていると説明。こうした状況からCullen氏は、「Trustworthy Computingは第2世代を迎えようとしている」として、マイクロソフトでもプライバシー保護のために技術やガイダンスの提供、パートナーシップによる取り組みを進めていると語った。

 利用者のプライバシー保護に向けた施策としては、「侵入の最小化」「情報の管理」「攻撃からの保護」の3点を挙げ、このうち攻撃からの保護の実例として、Internet Explorer 8(IE8)に搭載するフィッシング対策機能や、プライバシー情報を残さずにWebを閲覧できる「InPrivate」機能などを紹介。こうしたプライバシー保護機能を製品設計の段階から盛り込んでいくことが重要だとした。

 一方で、フィッシング対策機能については「興味深いジレンマを抱えている」とコメント。フィッシング対策を行うには、ユーザーがアクセスするURLを確認する必要があるが、そのためにURL情報をマイクロソフトに送信することについては、「マイクロソフトとユーザーがURLを共有することになるので、疑念の声が挙がるのももっともだ」と説明。マイクロソフトでは、URLは必要な部分だけを送信し、確認後はIPアドレスなどの情報は削除するといった対応により、ユーザーの理解を求めていきたいとした。


 また、ユーザーの訪問履歴や行動分析などを利用する広告についても、「消費者にとって意味のある広告が提供されることは望ましいが、そのために企業が個人を特定する必要はない」とコメント。マイクロソフトでは、こうした情報が企業に提供されるのが嫌だというユーザーに対しては、それをオプトアウトできる仕組みも提供していくとして、「こうしたコントロールをユーザーに提供することが、信頼を提供することにつながる」と語った。


関連情報

URL
  マイクロソフト
  http://www.microsoft.com/japan/

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IE8には閲覧履歴などのプライバシー管理機能が搭載(2008/08/26)


( 三柳英樹 )
2008/11/12 17:28

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