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「ネットワーク流通と著作権制度協議会」の会長に選任された、新潟大学名誉教授で弁護士の齊藤博氏
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任意団体「ネットワーク流通と著作権制度協議会」の設立総会が21日、東京都内で開催された。「著作権関連ビジネス、ネットワーク関連ビジネスと著作権法に関する有識者により、コンテンツのネットワーク流通に対応した著作権制度の在り方を協議し、協議結果を提言として公表すること」を目的としている。
弁護士や大学教授、権利管理団体の関係者らが発起人となって会員を募り、20日までにレコード会社や出版社、テレビ局の関係者、クリエーターら計100名が入会したという。協議会では今後、分科会を設置して実質的な議論を進めるとともに、研究会や講演会なども開催。協議結果を提言としてまとめ、著作権制度改正などの動きに対してパブリックコメントなどを通じて働きかけていく。
具体的なテーマとしては、コンテンツのネットワーク流通促進方策やフェアユース規定が想定されている。設立総会の後には協議会の理事がパネルディスカッションを行い、これらのテーマについて今後の課題や議論すべき方向性について意見を交わした。
協議会の会長には、新潟大学名誉教授で弁護士の齊藤博氏が選任された。齊藤氏はあいさつの中で、「著作権は、その時代の最先端の技術に常にかかわらざるをえないという、ひときわ大きな宿命を背負った制度。とりわけデジタル技術は、ネットワーク配信の技術と相まって著作物の利用環境に大きな変化をもたらし、著作物の利用者が途方もなく拡散するという状況が作り出されてきている」と指摘する。
なお、ここでいう「利用者」とはエンドユーザーのことではなく、著作物を配信するような立場を指しているという。そして、このように拡散した利用者と著作者とが信頼感に裏打ちされた合意を行い、スムーズに著作物を利用できるようバランスのとれた解決策が必要だとする。
齊藤氏は「利用者を拡散させたデジタルネットワークこそが、著作者と利用者を結び付ける役割を果たしうるということは、アナログ時代と違った大きなメリット。ネットワークを介して関係者それぞれが意志表示を行うことは、今の時代ではいとも容易なこと」だとし、「デジタル時代であるからこそできる積極的な基盤作りを、急ぎ、かつ慎重に推し進めるべき時を今迎えている」と訴えた。
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( 永沢 茂 )
2008/11/25 11:17
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