ヤフーは27日、オンライン百科事典サービス「Yahoo!百科事典」のベータ版を開始した。利用は無料。小学館の百科事典「日本大百科全書(ニッポニカ)」全26巻のデータ(見出し約13万項目、キーワード約50万語)をベースに、毎月新情報を追加する。
「Yahoo!百科事典」では、自然科学、植物、産業、哲学、宗教、経済、法律など16の分野から、任意のキーワードで検索し、解説を閲覧できる。トップページでは、キーワード検索やカテゴリ一覧をはじめ、過去の出来事がわかる「今日は何の日?」を用意する。
解説ページでは、テキストだけでなく、画像や動画といったマルチメディアデータも参照できる。動画はWMV形式で、再生ボタンをクリックするとWindows Media Playerが起動する。また、解説文中に他の項目へのリンクを設置するほか、見出し語の「関連項目」も用意する。
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Yahoo!百科事典
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左から、小学館コミュニケーション編集局の森田康夫プロデューサー、小学館の中村滋専務取締役、ヤフーの喜多埜裕明取締役最高執行責任者、ヤフー検索事業部の一戸美穂氏
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● Yahoo!検索の信頼性向上につながる
ヤフーの喜多埜裕明取締役最高執行責任者は、「これまでも小学館のコンテンツを扱ってきたが、今回は百科事典ということで、よりアカデミックな分野に強くなる」とコメント。「12月末からは、既存の検索サービスとも連動する。今後は、単なる事典ではなく、ヤフーの他のサービスとも連携していきたい」との考えを示した。
ヤフー検索事業部の一戸美穂氏は、サービス概要をデモも交えて説明。「プロの手で編集された完全無料のオンライン百科事典は日本初」とアピールした。ヤフーが実施したオンライン百科事典に関するアンケートの結果によれば、「利用意向は合計で87%。20代と50代以上でのニーズが高い」という。20代に関しては、学生の卒論や就職試験前に勉強で調べるときに利用するようだ。
「Yahoo!検索」との連動については、Web検索の結果と同時に「Yahoo!百科事典」の当該項目を表示するという。辞書検索との統合などについては、「今後検討する」とした。将来的には、百科事典に追加してほしいキーワードや最新情報をユーザーから受け付ける窓口も設置する考え。それが整った段階で正式サービスに移行する。「百科事典サービスは、Yahoo!検索の質の向上に貢献する。また、ヤフーのサービスの知識基盤にしていきたい」と語った。
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Yahoo!百科事典の機能
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Yahoo!検索との連動
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オンライン百科事典に関するアンケートの結果
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小学館の中村滋専務取締役は、同社の百科事典の歴史を紹介。1984年にニッポニカを発行し、当時としては最大の情報量を誇ったという。「近年、印刷物としての百科事典は縮小傾向にあり、ビジネスとしては厳しい。一方、デジタル化を推進しており、DVD-ROM版の百科事典を発売している。Webでは知識検索サイト『JapanKnowledge』でオンライン事典を提供しており、世界の主要教育機関に採用されている」と説明した。
ただし、「JapanKnowledgeは有料コンテンツであり、一般ユーザーは少数」とのこと。「ニッポニカをYahoo! JAPANで提供することにより、広く一般に使ってもらえる。かつては“一家に一冊”の百科事典だったが、これからは“1人にいつでも百科事典”を実現する。新しい百科事典の誕生に期待している」と語った。「多くのユーザーに使ってもらい、ユーザーからの意見を反映することで、百科事典の質の向上にもつながる」。
小学館コミュニケーション編集局の森田康夫プロデューサーは、Wikipediaなどユーザー参加型の無料オンライン百科事典について、「カバーする項目の広さや、いろいろな人が集まって編集するというアイデアは良いと思う」としたが、「出版社の事典は、プロが編集し、解説ページに署名も付けることで、情報の信頼性を高めている」と話した。
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Yahoo!百科事典の位置付け
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今後の展開。ユーザーからの指摘や情報提供を編集に生かす
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://pr.yahoo.co.jp/release/2008/1127a.html
Yahoo!百科事典
http://100.yahoo.co.jp/
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( 野津 誠 )
2008/11/27 18:23
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