シックス・アパートは2日、2009年の事業戦略説明会を行った。同社の関信浩代表取締役が、ブログ市場の動向や今後の取り組みについて話した。
● 次の流れはソーシャル化
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「2008年12月2日でシックス・アパート日本法人は5周年になる」と話す関代表。同社の最初の案件はニフティへのTypePad納入(ココログ開始)だった。
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関氏は、「ブログの過去と現在」について説明。個人利用では趣味から仕事(キャリア)へ、企業では実験的な扱いからオンライン戦略の1つへ、マーケット分野では“炎上”などのリスクで敬遠されていたものから、マスメディア以外の媒体として活用するものへと変化しており、「ブログは活動的なレベルから、ビジネス・産業になった」と解説した。
インターネットにおいてブログが果たした役割については、「個人が気軽に情報発信できるようになったことが大きい」と話す。「既存メディアがネットに参入してきても、結局はテレビや雑誌の代替えでしかなかった。少数の発信者と、多くの受け取り手という構造は変わらなかった。しかし、ブログが登場したことで、個人も発信者になり、メディアは分散・協調していった」。
関氏は、「次の流れはソーシャル(コミュニティ)化」だと指摘する。「現在のソーシャルメディアは、巨大化した一部のSNSに集中しているが、SNSも分散・協調していくだろう」としたほか、「誰もが簡単に使えるブログが広まり、さらにSNS的な機能が加わることで、Webのソーシャル化が促進する」と説明。また、「大手SNSなどが持つユーザーデータのオープン化もキーになる」とした。
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ブログは「活動」から「産業」に
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ブログがメディアに与えた影響
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今後はブログがソーシャルメディアを変える
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データはサービス事業者のものではなく、ユーザーのもの
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● “ブログ界の今”がわかるメディアを創刊
シックス・アパートでは、今後も「技術」「サービス」「メディア」を軸に展開する。技術面では、Webサイトやブログを構築するためのプラットフォーム製品や標準技術を開発・提供し、同時に、サイト制作のディレクションやシステム統合などのソリューションをサービスとして提供する。
ソーシャル化の流れの中で、主要製品のソーシャル機能強化も行う。8月には、Movable Type上で掲示板などのコミュニティサービスを作成・管理できる「Movable Typeコミュニティ・ソリューション」をMovable Type 4.2の標準機能として搭載。また今回、複数ブログのコメントを一元管理できる「TypePad Connect」も発表した。
さらに、「企業の公式ブログとしてではなく、自分の仕事に関わる専門的な内容を個人ブログで書いているプロフェッショナルなブロガーが増加している」として、それを生かしたブログメディアの構築・運営も行う。米Six Apartでは、メディア事業としてブログ情報サイト「Blogs.com」を8月に開設した。日本版は2009年第1四半期の開始を予定する。
「Blogs.com」は、「“ブログ界の今”がわかるメディア」とのこと。ブログで話題になっていることについて、Blogs.com専門の編集者が記事で紹介する。英語版では、ビジネス、エンターテインメント、ニュース・政治、テクノロジーなどのカテゴリー別に掲載しているが、「日本のブログはジャーナリスティックな部分が米国に比べて弱いので、そのあたりも考慮し、日本向けに改良していく」という。
関氏は、ブログメディアの必要性について、「マスメディアだけでなく、個人の論調も重要視されてきている。プロフェッショナルなブロガーのブログが、より多くの人に見てもらえる場を作りたい。さらに、企業はエンドユーザーのタッチポイントの場として活用できる」と説明した。このほか、今後の事業・製品ロードマップを紹介し、Movable Typeの次期バージョンを2009年夏にリリースすることも明らかにした。
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シックス・アパートの事業3本柱
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各事業における製品やサービス
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Blogs.com英語版
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2009年の製品・事業ロードマップ
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関連情報
■URL
シックス・アパート
http://www.sixapart.jp/
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( 野津 誠 )
2008/12/02 20:15
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