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ヤフオクで買ったWindowsが偽物だったら〜MSが電話相談受け付け


Windows偽造品の例(左)とWindows XP正規品(右)

「著作権保護」サイト
 マイクロソフトは4日、インターネットオークションを悪用したWindowsの偽造品販売への対策活動を開始したと発表した。電話相談窓口を約1カ月にわたり開設し、偽造品を購入してしまった人からの相談を受け付ける。ヤフーなど、オークション運営会社とも協力して監視体制も強化する。

 マイクロソフトが今回開始した活動では、3つの取り組みを実施する。まず1つめは、不正出品者対策の強化だ。インターネットオークションの運営会社と協力し、出品の監視の強化や、偽造品を出品するIDの削除措置の強化を図る。現時点で、「Yahoo!オークション」を運営するヤフーと合意しており、他のオークションサービス運営会社とも協議を開始しているという。今後、偽造品の出品が見つかり、ID削除などの措置がとられた場合、その情報を捜査当局にも積極的に提供する。

 2つめは、フリーダイヤルによる「Windows偽造品相談窓口」の開設で、今回の取り組みの目玉となるものだ。すでにインターネットオークションでWindowsの偽造品を購入してしまった人、またはその疑いがあるとして不安に思っている人からの相談を電話で受け付ける。偽造品の特徴を説明するほか、希望者には購入したメディアの判別も行う。また、正規品の購入方法も案内する。電話番号は「0120-525-161」、開設期間は2009年1月9日までで、土日祝日や年末年始などを除く。

 なお、同窓口で対象とする製品はWindowsのみ。現状で見つかっている偽造品や、偽造品についての問い合わせは、Windows製品が多いためだ。不正出品の監視にはOfiiceなど他の製品についても行うが、相談窓口での対応については今後の状況を見ながら検討していくという。

 3つめは、今後、Windowsの偽造品を購入してしまう可能性がある人に向けた取り組みとして、注意喚起や啓発を目的とした「著作権保護」サイトを公開した。マイクロソフトでは、オークションを利用している以上、偽造品を購入してしまう可能性はあると指摘。利用者が偽造品を購入しないよう、最近の実例を紹介しながら、偽造品の特徴や危険性について広く認知を図る。同サイトへはオークションサイト各社からリンクしてもらうほか、バナーやメールでも注意喚起を行っていきたいとしている。


偽造品Windowsの出品が常時3000件、年間7万人が落札

マイクロソフト執行役で法務・政策企画統括本部長の伊藤ゆみ子
 伊藤氏によると、今回発表した活動は、マイクロソフトが展開しているソフトウェアの著作権侵害に対する「正規ソフトウェアイニシアチブ(Genuine Software Initiative:GSI)」の一環。

 GSIでは、「教育・啓発」「エンジニアリング」「法的対応」という3本の柱に基づき活動を展開している。このうち「エンジニアリグ」の1つとして、使用中のWindowsが正規品であることを確認する「正規Windows推奨プログラム(Windows Genuine Advantage:WGA)」を2005年7月から実施しており、世界で使用されている5億台以上のPCにおいてライセンスを確認していることを紹介した。

 また、「法的対応」としては、各国の法執行機関や税関とも連携し、偽造品の製造者・販売者への対応にあたっているとした。損害賠償などの民事措置も行っており、日本を含む世界12カ国において、インターネット上での偽造品ソフトの販売に対する提訴を行うことも明らかにした。訴訟の詳細は、米国時間の12月4日に正式発表する。

 こうした中、「日本では『Yahoo!オークション』に代表されるオークションサイトでの偽造品販売が目立っている」として、今回、インターネットオークションでの偽造品販売に的を絞った対策活動を始めることにした。伊藤氏によると、最近の傾向としては、Yahoo!オークションにおけるWindows製品だけでも常時約3000件の違法ソフトが出品されており、1年間で約7万人が落札・購入したと推定されるという。

 この数の中には、偽造品ということを認識して購入している人もいると思われるが、偽造品と知らずに購入してしまった人も多いとマイクロソフトでは見ている。実際、購入したWindowsが本物かどうかという相談が同社の大代表電話番号にかかってくることもあるのだという。


偽造品は、PC付属のリカバリメディアを不正コピーしたもの

「Yahoo!オークション」での出品例
 伊藤氏は続いて、「Yahoo!オークション」での検索結果ページ画面を示しながら、
「正規品XP Home Edition SP2CD+現物ライセンスキー+確認保証」などのタイトルで、偽造品と思われるWindowsが出品されている事例を紹介。「偽造品かどうか、一般の消費者が必ずしも直ちに判断できないかもしれない」と問題点を指摘する。正規品として出品され、商品説明ページの写真だけは本物を写したものを使用するため、「落札して手元に届くまでわからない」こともあるという。

 そこでマイクロソフトでは、偽造品の特徴や出品パターンなどをまとめ、今回開設した「著作権保護」サイトで伝えるとともに、電話相談窓口でも説明する。

 特徴としてまず挙げられるのは、PCメーカーのリカバリメディアを違法コピーしている点。WindowsがプリインストールされているPC製品に、再インストール用として付属しているDVD-ROMなどだ。また、使用するにあたって必要となるプロダクトキーがノートPCなどでは本体底面に貼ってあるが、これが不正な形態で添付されているという。

 具体的には、違法コピーしたリカバリメディアのパッケージに、別のPCメーカーのプロダクトキーのシールを貼り付けて送ってくるものや、そのシールだけを封筒に入れて送ってくる例もあるとした。また、DVD-Rの盤面やマニュアルに直接プロダクトキーを印字しているものもある。

 さらに、送付されてくる際のパッケージは「割と簡単な茶封筒で送られてくる」。また、インストール後に必要となるアクティベーションの不正なやり方を説明したマニュアルも添付されてくるという。

 伊藤氏は、「こういった特徴があるソフトをオークションで単体で買った場合、それが偽造品である可能性は高い」とした。


偽造品の例 偽造品の特徴

偽造品Windowsの国際的・組織的な製造・流通ルートが存在

偽造品の流通ルート
 こうした偽造品の流通ルートとしては、中国などの海外でリカバリメディアが偽造され、それが日本に輸入、インターネットオークションで複数の出品者を通じて販売されていることが最近の特色。日本や中国の捜査当局も関心を持っており、実際に税関で押収された事例もあるとした。

 ただし、リカバリメディアの偽造が行われているのが海外であり、一連の流れが国際的・組織的に行われていることから、偽造場所を特定して摘発するのは国内と比べて難しいという。今回、注意喚起や相談窓口という手段で対策活動を行うに至った背景には、「購入者に対して、買わないように訴えるしかない」ということもある。

 伊藤氏は、インターネットオークションを通じた組織的なWindows偽造品販売の流れが秋頃に明らかになったとして、今回のタイミングで対策活動を開始したと説明する。また、これから年末年始にかけてWindowsを購入する機会が増えることも考慮した。なお、電話相談窓口の開設期間が現時点で1カ月あまりとなっている点については、今後、相談状況を見ながら検討していくという。


偽造品は利用者にもリスク、米国ではマルウェア入りも

 伊藤氏は、こうした偽造品は、著作権法違反という出品者側の問題であるとともに、利用者側にもリスクがあることについて指摘した。

 まず、不正なプロダクトキーが添付されているとすれば、そもそもインストールして正常に動くのかという問題がある。また、正規品ではないために、インストール時などにトラブルがあったとしても、PCメーカーやマイクロソフトからサポートを受けられない。

 さらには、マルウェアが混入されている危険性もあるという。単にWindowsを違法コピーしてマイクロソフトの権利を侵害しているだけでなく、システムをクラッシュさせるカーネルドライバなどが入っていた事例も米国で報告されているとし、利用者にセキュリティ上の脆弱性がもたらされたり、データが流出する恐れもあるとした。

 伊藤氏は「何よりも、偽造品Windowsの被害に遭う方々がいる。被害に遭わないこと、また、不幸にして被害に遭ってしまった方々に偽造品に伴うさらなる被害が生じないように努力していきたい」と強調した。このほか、「国際的な犯罪組織に、図らずも資金を提供することになってしまう」ことも問題点として挙げた。

 記者説明会では、マイクロソフトのビジネスWindows本部本部長である中川哲氏もコメント。マルウェア入りの偽造品の比率は少なく、まだ日本では実例が見つかってないというが、その危険性も挙げながら「マイクロソフトのWindowsだと信じて購入した消費者に被害が発生しないようにしたい。まずはそこを重要視し、消費者救済に主眼を置いて活動をスタートした」と説明した。

 なお、マイクロソフトに相談した結果、偽造品ということが判明した場合については、単に「正規品を買いなおしてください」というだけでなく、個別に何らかの救済措置もあることを匂わせたが、中川氏はそれ以上の言及は避けた。公表することで、ブラックマーケットなどでその制度が悪用されることも考えられるためだという。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3592
  「著作権保護」サイト
  http://www.microsoft.com/japan/piracy/auction/antipiracy.mspx

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( 永沢 茂 )
2008/12/04 18:05

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