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著作権保護期間の延長については結論を得られず、文化審小委員会


文化審議会著作権分科会の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」第8期第7回会合
 著作権の保護期間や著作物の利用円滑化方策などについて議論を行ってきた文化審議会著作権分科会の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」は6日、これまでの議論を踏まえた報告案をまとめた。報告案では、権利者不明の場合やアーカイブ化など著作物利用の円滑化については必要な措置を講じることが適当とされたが、著作権の保護期間延長については賛成・反対双方の意見がまとまらなかったため、引き続き検討を進めるとしている。

 今回の報告案は、小委員会が2008年9月にまとめた中間整理とほぼ同内容のもので、その後実施したパブリックコメントの結果などを加えた上でまとめたもの。パブリックコメントには団体23通、個人153通の合計176通の意見が寄せられた。

 パブリックコメントでは、保護期間のあり方について100件以上の意見が寄せられたが、保護期間の延長については賛成・反対の意見がそれぞれ多数挙がっている。報告案では、こうした賛否双方の意見はこれまでの小委員会の議論と同様の構図となっており、意見の一致は見られていないと指摘。議論においては、保護期間延長に伴うメリットやデメリットについては概ね整理されたことを踏まえ、今後の方向性としては、著作権制度全体として保護と利用のバランスの調和の取れた結論が得られるよう、検討を続けることが適当だとしている。

 一方、過去の著作物の利用円滑化方策に関しては、権利者が不明となっている著作物の利用について、文化庁長官による裁定制度の手続きを明確化するなど、可能なものから早急に制度的対応を実施することが適当だと結論付けている。また、著作物のアーカイブ化については、国会図書館において納本された後にデジタル化できるように法的措置を講じることについて、早期に実現されることが適当としている。

 著作権保護期間については、2006年9月に著作権関連団体が保護期間の延長を求める共同声明を発表。現在「著作者の死後50年」となっている著作権の保護期間を、欧米などと同等の「著作者の死後70年」に延長するよう訴えていた。この訴えに対しては反対の声も挙がり、2007年3月からは著作権分科会の小委員会で議論が続けられてきたが、保護期間の延長については意見がまとまらなかった。文化庁では、来期の著作権分科会でも引き続きこの問題については議論を進めるが、小委員会の構成などについては現在検討中としている。


関連情報

URL
  著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会
  http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/index.html

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( 三柳英樹 )
2009/01/06 15:02

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