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IPAへのウイルス被害届出、2008年は減少も手口は巧妙化


 情報処理推進機構(IPA)は7日、2008年年間および2008年12月単月のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況を公表した。

 2008年年間のウイルス届出件数は2万1591件で、2007年の3万4334件から37.1%減少。2005年(5万4174件)をピークに減少傾向が続いている。IPAでは、大規模な感染拡大を引き起こす大量メール配信型のウイルスが出現していないことから、届出件数が減少していると推測している。

 2008年に届出のあったウイルスは136種類で、そのうち初めて届出のあったウイルスは19種類。検出数は、1位が「W32/Netsky」の約233万個、2位が「W32/Autorun」の約19万個、3位が「W32/Mytob」の約5万8000個。検出数ではW32/Netskyが継続して大きな割合を占めているが、2008年9月にW32/Autorunが増え始め、10月には急激に検出数が増加した。

 2008年12月単月のウイルス届出件数は1795件で、11月の1830件から1.9%減少。ウイルス検出数は約17万3000個で、11月の約25万6000個から32.5%減少した。検出数の1位は「W32/Netsky」の約14万4000個、2位は「W32/Autorun」の約1万3000個、3位は「W32/Mydoom」の約4000個。

 IPAでは、2008年のウイルスの傾向として、感染の手口が巧妙になってきたと指摘。2008年に流行した手口としては、PDFやWordファイルなどからソフトの脆弱性を狙って感染させる手口や、有名な企業や組織のWebサイトを改ざんして閲覧者のPCにウイルスを感染させようとする手口、USBメモリを介した手口などが目立ったとした。

 こうしたことからIPAでは「ウイルス感染の危険と隣り合わせの状況を知ろう!」を今月の標語として、ウイルス対策の基本を再確認するとともに、新しい感染の手口を認識し、ウイルス感染の被害に遭わないよう呼びかけている。

 2008年年間の不正アクセス届出件数は155件で、2007年の218件から減少。件数は2004年の594件から減少傾向にある。届出の種別は、侵入が55件、DoS攻撃が11件、アドレス詐称が9件、その他(被害あり)が45件など。被害内容の分類では、ファイルの書き換え(プログラムの埋め込みを含む)が54件、サービス低下が10件、ホームページ改ざんが5件など。

 被害原因は、IDやパスワード管理の不備が35件、古いバージョン使用やパッチ未導入などが16件、設定不備が4件など。また、原因が不明なケースも39件あり、全体の3割を占めている。対策としては、基本的なセキュリティ対策を実施していれば被害を免れていたケースが非常に多く見られたとして、システム管理者に対してはIDやパスワードの厳重な管理および設定、セキュリティホールの解消、ルータやファイアウォールなどの設定やアクセス制御、こまめなログのチェックなど、総合的な対策を行うよう呼びかけている。


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URL
  ニュースリリース
  http://www.ipa.go.jp/security/txt/2009/01outline.html

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( 三柳英樹 )
2009/01/07 17:09

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