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IPAへのウイルス届出件数、2007年は34,334件で大幅減


 情報処理推進機構(IPA)は7日、2007年におけるウイルス・不正アクセスの届出状況を公表した。2007年にIPAに寄せられたウイルスの届出件数は34,334件と、前年の44,840件から大幅に減少し、2005年の54,174件をピークに減少傾向にあるという。IPAでは、大規模な感染拡大を引き起こす大量メール配信型のウイルスが出現していないことから、届出件数が減少したと推測している。

 届出件数のうち実際にパソコンに感染した(実害があった)のは68件で、2006年の89件から減少傾向にあった。感染率では2007年と2006年は0.2%だった。届出されたウイルスは166種類(2006年は156種類)で、そのうち2007年に初めて届出されたものは46種類(同29種類)。新たに届出されたウイルスは増加したが、感染が大きく拡大したウイルスはなく、届出件数の上位は2006年と同じ傾向だったとしている。

 届出ウイルスのうち検出数の多い順は、上から「W32/Netsky」が5,566,319件、「W32/Stration」が236,768件、「W32/Mytob」が234,695件だった。W32/Netskyは、2004年2月に初めて届出のあったウイルスだが、2004年から毎年最も多くの届出が寄せられている。

 また、2007年に寄せられた不正アクセスの届出件数は218件となり、2006年の届出件数331件と比べて約34%減少した。これに対して、届出のうちで実際に被害にあったケースでは237件で、2006年の229件から3%の微増。被害の内訳では、「ファイルの書き換え(プログラムの埋め込み含む)」が93件で最も多く、「ホームページの改ざん」が13件で続いた。「その他」(115件)の内訳としては、「オンラインサービスにおける本人へのなりすまし」や「外部サイト攻撃の踏み台として悪用された」が多かったとしている。

 被害の原因では、「ID・パスワード管理・設定の不備」が27件(17%)で最も多く、以下は「古いバージョン使用・パッチ未導入など」が23件(14%)、「設定不備」が6件(4%)となっている。原因が不明というケースは80件(49%)と前年の57件から大幅に増加しており、IPAでは「ますます不正アクセスの手口が巧妙化するとともに原因究明が困難な事例が多くなっている」としている。


「VirusuWadame」や「KansenNashi」などローマ字表記の偽セキュリティソフト

 このほかIPAでは、2007年では毎月、セキュリティ対策ソフトの押し売り行為に関する相談が相当数寄せられ、中には「製品名称がローマ字表記であったため、もっともらしく感じて、安易にインストールしてしまった」といった相談例があったという。

 セキュリティ対策ソフトの押し売り行為とは、インターネットを利用していると突然、「あなたのパソコンからウイルスが発見されました」といった内容のメッセージ画面が表示され、この問題を解消するためには画面に表示されている「セキュリティ対策ソフト」を購入するように勧められる。実際にはほとんどの場合、メッセージを偽って表示し、問題が無くても問題があるように見せかけ、セキュリティ対策ソフトの代金を支払わせようとする悪質な行為としている。

 このような押し売り行為は以前から存在していたが、従来は表示されるメッセージや製品名に英語表記が多かったため、被害から免れられるケースが少なくなかった。しかし、最近は表示されるメッセージも日本語になり、製品名も「VirusuWadame」(ウイルスはダメ)、「KyoiKanshi」(脅威監視)、「KansenNashi」(感染なし)などのローマ字表記の名称が使われているものが確認されているとしている。

 IPAでは、インターネット利用中に「あなたのパソコンからウイルスが発見されました」といったメッセージ画面が表示されても、あわてて画面上のボタンなどをクリックせずに、そのままブラウザを終了させることを勧めている。仮にこの「セキュリティ対策ソフト」をインストールしてしまい、購入を促す画面が消えない場合は、その「セキュリティ対策ソフト」を[スタート]->[コントロールパネル]->[プログラムの追加と削除]から削除してほしいとしている。


関連情報

URL
  ウイルス・不正アクセス届出状況について(2007年12月分および2007年年間)
  http://www.ipa.go.jp/security/txt/2008/01outline.html

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( 増田 覚 )
2008/01/07 17:27

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