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KDDI研と日立、セキュリティプロトコルの動的生成技術を開発


KDDI研究所の研究成果

日立の研究成果
 KDDI研究所と日立製作所は、端末やICカードなどの利用環境やセキュリティ上の安全が脅かされる“危殆化”状況に応じてセキュリティプロトコルを動的に生成・カスタマイズするセキュリティ技術を開発した。

 開発した技術は、通信機器の処理性能やネットワーク状況に応じて、セキュリティプロトコルを自動的に生成し、その安全性をリアルタイムに検証することにより、利用環境に最適なセキュリティプロトコルにカスタマイズできるというもの。また、セキュリティプロトコル自体や使用されている暗号アルゴリズムが危殆化した場合、ICカードのような制約の厳しいデバイスであっても、別の安全なセキュリティプロトコルへ迅速に置換することが可能という。

 KDDI研究所では、動画コンテンツ配信での利用を想定している。PCなどの端末から動画の購入リクエストをサーバーに送信した際、ユーザーの端末が安全性の低いセキュリティプロトコルを使用していた場合、安全性の高い新たなセキュリティプロトコルをサーバー側で作成し、ユーザー端末のプロトコルを変更する。セキュリティプロトコルの作成およびその安全性を検証するための専用サーバーを設置する。

 一方、日立では、ICカードでの利用を想定する。例えば、手持ちのICカードでは、新しいセキュリティプロトコルを採用するサービスが利用できないという場合、従来だとICカードの再発行をしていたが、今回の技術ではサーバー経由でICカードのプロトコルを適正なものに書き換えられるようになる。なお、サーバー側では新しいセキュリティプロトコルに対応するためのプロトコル定義ファイルを用意するという。

 今回の技術は、KDDI研究所と日立製作所が独立行政法人情報通信研究機構からの委託研究として進めていた「ユビキタスネットワークにおける環境に応じたセキュリティプロトコルの自動生成・カスタマイズ技術に関する研究開発」プロジェクトの成果として発表された。新技術により、「ユーザーは単一デバイスで様々なサービスを受けることができ、サービス提供者はサービス変更に伴うコストの大幅な削減が可能になる」としている。数年後の実用化を目指すという。このほか、滋賀県大津市で1月20日から23日に開催される「2009年暗号と情報セキュリティシンポジウム」内において、同技術を利用した実証実験を実施する予定だ。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www2.nict.go.jp/pub/whatsnew/press/h20/090114/090114.html

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( 野津 誠 )
2009/01/16 16:21

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