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Winny開発者の控訴審開始、弁護側は改めて無罪を主張


大阪高等裁判所
 ファイル共有ソフト「Winny」を開発・公開したことが著作権法違反の幇助にあたるとして罪に問われている金子勇氏の控訴審第1回公判が19日、大阪高等裁判所で開かれた。

 この裁判は、2003年11月に著作権法違反で逮捕されたWinnyユーザー2人について、Winnyを開発した金子氏がその幇助の罪にあたるとして起訴されていたもの。一審の京都地裁は2006年12月、金子氏に対して罰金150万円の有罪判決を下し、弁護側・検察側の双方が控訴していた。

 弁護側は「優れた技術は常に悪用される可能性がある」として、技術を悪用する者が現れた時に、技術者がその罪に問われることがあってはならないと主張。Winnyの開発は純粋に技術的な興味や関心からによるもので、一審判決でもWinnyは価値中立的な技術であると認められているとして、「著作権侵害を蔓延させようと企図して開発した」とする検察側の主張は誤りだとした。

 また、法律面からは、著作権法上の間接侵害や不特定多数に対する幇助を認めることは誤りだとして、法学者らの意見を紹介。原判決の問題点としては、Winnyの利用実態としてコンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)らの調査を引用しているが、調査は統計的に不十分なものだと指摘。金子氏自身も著作権侵害を行わないよう呼びかけていたとして、一審に続いて無罪を主張した。

 一方、検察側は一審判決は量刑不当であり、懲役刑が適当だとして、控訴理由を説明。Winnyは違法行為を助長させる機能や性質を備えて開発されており、ファイル交換ソフト「WinMX」のユーザーが逮捕されたことを契機として開発が開始され、自身もホームページで現在の著作権ビジネスモデルを否定する発言を行っているなど、もっぱら著作権侵害を企図して開発されたものだと主張。また、実質的な違法性は正犯者をはるかに上回り、刑事責任は重大であり、Winnyによる経済的損失による社会的影響も大きいとして、一審判決は軽すぎると訴えた。

 次回公判は6月の予定で、それまでの間に弁護側・検察側の双方がそれぞれ個別に、裁判官に対してWinnyについての説明を行うという。


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  関連記事インデックス:本誌記事に見る「Winny」開発者の有罪判決へ至る経緯
  http://internet.watch.impress.co.jp/static/index/2006/12/13/index.htm

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( 三柳英樹 )
2009/01/19 14:02

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