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LED灯器から2km地点の様子(写真提供:海上保安庁)
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可視光通信コンソーシアム(VLCC)は23日、交通信号機や灯台のLEDの光を利用したイメージセンサ通信方式による可視光通信の実験に成功したと発表した。
VLCCによると、可視光通信の受信部はフォトダイオードなどを利用するのが一般的だという。これに対して、デジタルカメラなどに利用されているCMOSなどのイメージセンサを利用する方式では、複数の受信チャンネルを持つことができる、送信機の位置が特定できる、長距離の通信が可能――といった特徴があるとしている。ただし、構造的にコストはフォトダイオード方式よりも高価になる。
VLCCの実験は、「交通信号機サブプロジェクト」と「灯台サブプロジェクト」で行われた。まず、「交通信号機サブプロジェクト」ではカシオ計算機、NEC、東芝、日本信号株式会社が参加。2月に日本信号の久喜事業所において、同社が用意したLED信号機を送信機とし、約160m離れた場所に各社の受信機を設置して実験した。予備実験では、約260mの距離でも通信に成功しているという。
「灯台サブプロジェクト」では、イメージセンサ通信方式が長距離の通信を行いやすい性質に特に着目して実験を行っている。千葉県の九十九里浜において2008年10月、海上保安庁、カシオ、東芝が参加して、灯台のLED明器からの発光信号による基礎実験を実施。通信距離が2kmで1022bps、1kmで1200bpsを記録した。これは、社会インフラとして世界に広く普及している、広く拡散する光源を用いた空間光通信としては世界最長距離だという。
VLCCでは、イメージセンサ通信普及促進キットを2009年上期中に用意し、コンソーシアム会員から応用開拓を進める予定だとしている。VLCCは2003年11月発足。前述の企業・団体のほか、東京電力、KDDI、パナソニック電工、シャープ、フジテレビジョンなど25社が参加している。
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フォトダイオード通信とイメージセンサ通信の特徴
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関連情報
■URL
可視光通信コンソーシアム
http://www.vlcc.net/
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( 永沢 茂 )
2009/03/23 19:08
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