米セキュリティ企業のIOActiveは23日、米国の次世代電力インフラの基となる「スマートグリッド」に深刻な脆弱性が存在すると発表した。同社は、設計と実装の段階においてこの脆弱性が修正されなければ、将来広く利用されるようになってからでは修正に莫大なコストがかかると警告している。
現在の電力インフラは、大規模な発電所から地域に向けて送電する方法が一般的だ。スマートグリッドでは、各家庭に設置された太陽光発電システムや地域の風力発電システム、電気自動車に蓄電された電力などを地域の需要に応じて融通し合うシステムを目指している。そのために双方向通信や分散コンピューティング技術を使った高度な電気メーター端末を各家庭に設置し、地域全体の大規模分散型インフラを構築することにしている。
IOActiveの調査では、これらのインフラに使用されている技術の中に、プロトコルの不正操作やバッファオーバーフロー、ルートキット、コード感染などの一般的なセキュリティ上の脆弱性を抱えていると結論付けている。この脆弱性を悪用すれば、第三者がスマートグリッドプラットフォームに対して攻撃を仕掛けることが可能になるとしている。
スマートグリッドは、オバマ政権の掲げる環境政策と合わせて、次世代電力インフラの目玉となっている。しかしIOActiveのJoshua Pennell社長兼CEOは、3月16日に開かれた国家安全保障委員会におけるプレゼンテーションにおいて「スマートグリッドインフラは、いくつもの世代にわたって著しい利点を我々に約束してくれるが、我々はその前に、この技術特有の脆弱性を修正しなければならない」と警告した。
IOActiveは1998年に設立されたセキュリティ企業で、アドバイザリボードにはApple創業者の1人であるSteve Wozniak氏を招いているほか、経営陣にはDNSキャッシュポイズニングの脆弱性を発見したDan Kaminsky氏を招くなど、多くの専門家を抱えている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文、PDF)
http://www.ioactive.com/pdfs/AMIPressRelease032309.pdf
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2009/03/24 12:20
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