シマンテックは7日、世界12カ国のインターネットユーザーを対象に実施した「ノートン・オンライン生活レポート 2009」を発表した。日本の特徴として、オンラインで子供を保護するのは「子供自身の責任」と考える人が、他の調査国に比べて多かった。
レポートは、調査会社のHarris Interactiveに委託して、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン、中国、日本、インド、オーストラリア、ブラジルの12カ国で実施したもの。1カ月に1時間以上、PCおよび携帯電話でインターネットを利用している18歳以上の大人6427人(8~17歳の子供を持つ親1297人を含む)と、8~17歳の子供2614人を対象に、2008年11月と12月にオンラインアンケートを行った。
● 発展途上国ほどネットでの対人関係に積極的
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ネットの友人と会ったことがある74%
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レポートによると、ネットを通じて友人ができた大人は全体で58%。国別では、中国が86%で最も多く、次いでインドの83%、ブラジルの82%など。日本は38%だった。また、ネット上の友人の平均人数は全体で41人。国別では、ブラジルの66人がトップだった。
ネット上の友人と実際に会ったことがある大人は全体で74%。国別では、中国の82%が最も多く、次いでスウェーデンの79%、イタリアの76%など。日本は58%で、12カ国のうち最低値だった。また、実際に会った平均人数でも日本が6人で一番少なかった。
ネットが対人関係を良くしたと思う大人は全体で68%。国別では、インドが90%でップ、次いで中国が87%、ブラジルが82%など。さらに、ネットで家族との関係を改善させたとする考えは全体で45%。国別の上位は、インドが75%、中国が58%、ブラジルが54%など。
長く連絡を取っていない友人とネットを通じて再会したことがある大人は全体で56%。国別では、インドが83%でトップ、次いでブラジルの78%、中国の67%など。また、ネットを通じてかつての恋人関係を再熱させたことがある大人は全体で14%。国別では、インドが37%でトップ。日本は最も低い6%だった。
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オンラインでの出会いと再会
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かつての恋人関係を復活14%
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● 日本の親、子供のネット利用は子供自身の責任
子供が1カ月で何時間ネットを利用していると思うか親に尋ねたところ、全体平均は21時間だった。しかし、子供に1カ月のネット利用時間を尋ねたところ、全体平均は39時間だった。
子供のネット利用について「時間が長すぎる」と思う大人は62%だった。さらに、子供はネット利用で「時間の無駄使い」をしていると思う大人は51%。一方、子供は62%がネットで「重要なスキルの学習」をしていると答えた。
親が、子供のネット利用で「親が禁止する行動を発見した」は全体で22%だった。国別では、スウェーデンの35%、カナダの32%、ブラジルの31%が多かった。また、ネットで子供を保護する責任があるのは誰かを尋ねたところ、「親」が90%で大半を占めた。国別では、カナダの99%が「親」と回答している。
一方、日本では「親」との回答は79%で、12カ国のうち最も低い。さらに、オンラインで子供を保護する責任は「子供」自身だと回答した国は、日本が40%で最も多かった。また、ネットの安全な利用について子供と話したことがあるのは、カナダが87%でトップ。日本は22%で最も低かった。このほか、自分の子供が友達の家でネットを利用していると把握しているのは、スウェーデンが53%でトップ。日本は9%で最も低かった。
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子供のネット利用を把握しきれていない
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ネット利用は子供自身が責任を持つべき
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日本の親は子供とネットについて話さない
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● 日本はオンライン活動が消極的で、セキュリティ対策も希薄
シマンテックは7日、今回のレポートに関する記者説明会を開催した。リージョナルプロダクトマーケティングシニアマネージャの風間彩氏は、日本の傾向について、他の調査国に比べ、「オンラインでの活動が消極的」「子供のネット利用の対策が不足」していることなどを説明した。これには、国民性や文化の違いが大きいという。
オンラインでより良い人間関係を作るためのヒントとして、「SNSやビデオチャットの活用など、友人や家族との関係性を築くために新しいことを試してみること」「個人情報を最初から開示しすぎないなど、基本的なことに注意すること」などを説明した。子供のネット利用対策については、「頻繁に話し合いの機会を作ること」「ネット接続時間を限定するなど、現実的なルールを作ること」「子供たちのネット利用に参加すること」を挙げた。
セキュリティ対策については、日本のネットユーザーは「頻繁にスキャンをしている」が52%で、他の調査国に比べて、最も低かった。また、「個人情報の安全に自身がある」「ネット利用時に個人情報の安全を守る方法を知っている」に「同意しない」とした回答も日本が最も多い。「ファイルのバックアップやウイルススキャンに積極的ではなく、オンライン利用時の個人情報保護についても対策が遅れている」とした。
このほか、インターネット協会主幹研究員の大久保貴世氏が、協会に寄せられる相談などをもとに、日本における大人と子供のネット利用の現状について説明した。全体的な傾向として、「大人は、現実の問題がネットのトラブルに発展する。子供は、ネットでの問題行動が現実のトラブルに発展する」という。
さらに、ネットにおける大人と子供の境界線は「高校生」だと説明。「昨今は、小中学生のころにネットでいろいろな経験をし、高校生になればある程度の常識やマナーがわかるようになっている」。
親もニュースサイトを見たり、ショッピングなどでネットを利用しているが、子供に人気のCGM系サービスを知らないと、「問題があってから初めてサービスの存在を知る」ことになる。また、掲示板サイトは誰が運営・管理しているのかといった構造や仕組みがわからず、対処ができない親も。
例えば“プロフ”や“リアル”で何らかの問題を発見した場合、対処方法がわからずに相談を受けるケースがあるという。「今は過渡期だと思う。今後はCGMを熟知した親が増えてくるのではないか」と述べた。
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実際は子供たちがネットで何を見ているのか知らない
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日本のオンラインユーザーの特徴
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高校生になってわかること
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プロフに悩まされる親
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履歴は子供が削除する例も
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20090407_01
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・ 「まさか自分は被害に遭わないだろう」が日本のネットユーザーの意識に?(2008/02/21)
( 野津 誠 )
2009/04/07 21:22
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