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楽天第1四半期決算は増収増益、不景気下でもネット販売好調

医薬品販売規制「業績にはほとんど影響ないが、精神的には許せない」

楽天の三木谷社長

楽天の2009年度第1四半期連結決算の概要
 楽天は12日、2009年度第1四半期(2009年1月~3月)の連結決算を発表した。売上高が663億6000万円(前年同期比11.5%増)、営業利益が98億2000万円(同36.2%増)、経常利益が91億2000万円(同30.4%増)、当期純利益が252億1000万円(同1241.0%増)。楽天が保有していた東京放送(TBS)の株式を売却することに伴って、繰延税金資産が計上(約170億円)されたため、当期純利益が大幅に増加する形となった。

 決算内容について、楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、「不景気下でも高い増益率を達成できた」と語り、銀行事業(イーバンク銀行)がグループ入りしたことに伴い、今後は外部金融機関からの借入金を削減していくとした。

 事業別では、楽天市場事業が売上高172億3300万円(前年同期比24.1%増)、営業利益88億6500万円(同54.2%増)と成長。ユニーク購入者数が717万人(前年同期比20.5%増)と増えた一方で、1人あたりの購入総額は2万4637円で前年同期(2万4726円)から僅かに減少した。

 三木谷社長は、顧客あたりの購入額が下がっていることについて、「家電などの単価がものすごい勢いで下がっているため」としながらも、一方で食品やファッションなどの分野は好調だとして、「こうした状況にも対応できているのは、楽天のビジネスモデルの柔軟性なのかなと思っている」とコメントした。

 「楽天トラベル」などのトラベル事業も、売上高が42億2300万円(前年同期比14.0%増)、営業利益が18億1200万円(同36.5%増)と成長。景気の悪化に伴って出張需要が冷え込んでいるものの、レジャー目的の利用が増加し、広告販売も好調だったとしている。

 今年度から連結対象となった「イーバンク銀行」の銀行事業については、運用ポートフォリオの入れ替えや預金構成の適正化により黒字化を実現したと説明。また、「楽天証券」などの証券事業については、売上高51億5400万円(前年同期比21%減)、経常利益5億円(同37%減)と減収減益となったが、他社と比較して減益幅は小幅に抑えられたとした。

 一方で反省点としては、楽天証券のシステム障害への復旧態勢が不十分だとして、3月24日に金融庁から一部の業務停止命令を含む行政処分を受けたことを挙げ、システム安定化推進委員会およびシステム安定化推進部を設置し、障害復旧態勢とシステム安定運用態勢の整備に努めているとした。

 三木谷社長は、TBS株の買い取り価格について調停を申し立てていることについては、「現時点ではコメントはなるべく控えたい」と述べるにとどまった。また、医薬品のネット販売規制問題については「一言で言えば『終わってるな』」との感想を述べ、「対面でなければ安全は確保できないという科学的な根拠もない規制を、法律でなく省令で決めようとしている。業績にはほとんど影響はないが、精神的には許せない」とコメント。今後については行政訴訟などの法的手段も含めて様々なアクションを検討しているとした。


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  楽天 投資家向け情報
  http://www.rakuten.co.jp/info/ir/

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( 三柳英樹 )
2009/05/12 21:12

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