記事検索
バックナンバー

趣味のインターネット地図ウォッチ

第142回:残り少ない夏休みを楽しむための位置情報関連イベント ほか


iPhoneアプリ「横濱時層地図」で文明開化から現代までの地図を比較

 財団法人日本地図センターは、iPhoneアプリ「横濱時層地図」を提供開始した。App Storeからダウンロード可能で、価格は1200円。

 同アプリは2010年にリリースされた「東京時層地図」の横浜版。文明開化から現代までの各時代の地図を比較しながら、横浜エリアの変遷を調べられる。収録範囲には横浜だけでなく川崎市や鎌倉市の一部も含まれる。

起動画面

 収録している地図は以下の通り。

1)文明開化期

提供機関:陸軍参謀本部
使用地図:第一軍管地方2万分1迅速測図原図[1881〜1882年(明治14〜15年)測図]

文明開化期

2)明治のおわり

提供機関:陸地測量部
使用地図:2万分1正式図[1906〜1909年(明治36〜39年)測図]

明治のおわり

3)関東地震直前

・横浜近郊
提供機関:陸地測量部
使用地図:1万分1地形図[1922年(大正11年)測図]

・郊外
提供機関:陸地測量部
使用地図:2万5千分1地形図[1921〜1927年(大正10〜昭和2年)測図・修正]

関東地震直前

4)昭和戦前期

・横浜近郊
提供機関:陸地測量部
使用地図:1万分1地形図[1928〜1936年(昭和3〜14年)第1回修正]

・郊外
提供機関:陸地測量部
使用地図2万5千分1地形図[1929〜1932年(昭和4〜7年)鉄補・要修]

昭和戦前期

5)戦後転換期

・横浜近郊
提供機関:地理調査所
使用地図:1万分1地形図[1948〜1957年(昭和23〜32年)第2回修正]

・郊外
提供機関:地理調査所
使用地図:2万5千分1地形図[1951〜1954年(昭和26〜29年)資修・修正]

戦後転換期

6)バブル期

提供機関:国土地理院
使用地図:1万分1地形図[1984〜1990年(昭和59〜平成2年)編集・修正]

バブル期

※用語説明
測図:測量して地形図を初めて作成すること。
修正:「修正測量」のことで、現地調査をもとにした地図の全範囲の修正を意味する。
鉄補:鉄道の線路を入れること。
要修:「要部修正」の略で、狭い範囲を修正すること。
資修:「資料修正」のことで、資料をもとに修正すること。
編集:大縮尺の地図をもとに小縮尺の地図を作成すること。

 このほかに現代地図もGoogle マップで見られるようになっており、衛星写真も見られる。また、国土地理院の数値地図5mメッシュ(標高)のデータも見られる。

数値地図5mメッシュ(標高)

 地図を表示している時に下部のメニューから現在地の測位ボタンをタップすると、地図に表示されているエリア内にいる場合は現在地が表示される。また、時代ごとに凡例も用意されており、凡例ボタンをタップすればすぐに一覧を見られる。

凡例 時代ごとの解説も収録

 好きな施設をGoogle マップ上に表示させてから時代を切り替えれば、その施設のある場所に昔は何があったのか、その変遷がわかる。例えば現在の横浜駅の周辺は文明開化の時に入江が埋め立てられたが、このアプリではその時代の地図が見られて面白い。また、「月見橋」など今も残る橋がそのころからあったことを確認できる。

 価格は古地図アプリとしては高めだが、「東京時層地図」が1900円なのに比べると700円安く、収録されている時代が多いので、古地図が好きな人はきっと満足できると思う。港町の移り変わりを時代ごとに楽しめるアプリとして注目だ。

URL
 横濱時層地図
 http://www.jmc.or.jp/app/iphone/yokohama/
 横濱時層地図(App Store)
 http://itunes.apple.com/jp/app/id536800964?mt=8

関連記事
 ・第96回:現在地の移り変わりを古地図で確認、iPhoneアプリ「東京時層地図」
  http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/chizu/20101014_399832.html

ARで目的地を示すiPhone地図アプリ「ARマップ」

 株式会社クロスフェーダーは、AR機能を活用したiPhone向け地図アプリ「ARマップ」を提供開始した。App Storeから無料でダウンロードできる。

 同アプリはカメラで写した画面上で目的地の位置を確認できるアプリ。目的地を指定するとGoogle マップ上にルートが表示されて、残りの距離が画面左上に表示される。この時に下部のメニュー内の「MAP」をタップすると上半分がAR画面となり、目的地が「G」というARタグで表示される。

 画面の下半分はGoogle マップがバーズアイビューのように視点が斜めになり、立体感のある地図として表示される。地図画面は自分が向いている方向に連動して回転し、ヘディングアップ表示となる。

 目的地の検索は「キーワード検索」「地図から検索」「最寄りから検索」「電話帳から検索」「履歴から検索」の5通りが用意されており、「最寄りから検索」を選ぶと「ホットペッパー」または「じゃらん」のグルメ情報や宿泊情報が地図上に目印で表示される。

 目印をタップすると施設の写真や住所、ウェブサイトへのリンクボタンなどが表示される。なお、ルート検索は徒歩または車から選択可能。また、地図の右側にある縦のバーをタップすると、表示されている検索結果の一覧リストを見られる。

 ルート検索後に地図右側のバーをタップすると、「北東に進む」「道路を渡る」「左折する」などのナビゲーション情報も表示されるので便利だ。

 実際に使ってみると、現在地の測位に誤差が生じる場合があり、目的地の場所などがずれることもあったが、目的地に向かう時にだいたいの方向がわかるのは便利だ。自分の進む方向がどちらなのかを見失うことが多い人は、ヘディングアップ表示でわかりやすく目的地への方向を示してくれるこのアプリは重宝すると思う。

起動画面 多彩な検索方法を用意
ルート検索結果 目的地がARで表示される
ナビゲーション情報

URL
 ARマップ
 http://ar-maps.com/
 ARマップ(App Store)
 http://itunes.apple.com/jp/app/armappu/id543874674?mt=8

渡り鳥の生態をGoogle Earth上で見られる「鳥類アトラスWeb版」

 環境省の自然環境局は、渡り鳥などの生態を調査するための「鳥類標識調査」のウェブサイトを今年6月に公開し、その調査結果をGoogle Earth上で見られる「鳥類アトラスWeb版」も提供開始した。

 鳥類標識調査とは、野生の鳥に個体識別のための足環などを装着して放鳥し、再捕獲や観察によって情報を収集・解析することにより、鳥類の渡りの実態や生態を明らかにする調査のこと。環境省が山階鳥類研究所に委託して実施している。

 この渡りの記録をGoogle Earth上に表示したものが「鳥類アトラスWeb-GIS」で、これは2002年に「鳥類アトラス」としてまとめられた1961〜1995年の回収記録をウェブ版として再編成したもの。各回収記録の放鳥・回収年月日や性別などの詳細情報が表示されるほか、今後は新放鳥数や回収総数など新しい調査結果も追加していくとしている。

 利用方法は、「鳥名(和名)」で鳥を直接指定するか、都道府県別のリストから調べたい鳥を指定する。各鳥形態や分布、生態などを解説した詳細ページが表示されるので、このページの下部にある「移動データのGoogle Earthでの閲覧はこちら」をクリックするとkmlファイルをダウンロードできる。

 ダウンロードしたファイルをGoogle Earthで開くと、放鳥地点と回収地点、そして両地点を結んだ線がGoogle Earth上に表示される。詳細ページには最長移動距離や最長回収期間などのデータも載っているので、これらとあわせて見ると、各鳥の生態を知る上での参考になる。鳥の生態に興味がある人には注目のサイトだ。

鳥類標識調査

鳥類アトラスWeb版

鳥名で検索

都道府県別で検索

詳細情報ページ

Google Earth上で放鳥地点と回収地点を表示

URL
 鳥類アトラスWeb版
 http://www.biodic.go.jp/birdRinging/top.html
 鳥類標識調査
 http://www.biodic.go.jp/banding/atlas.html

残り少ない夏休みを楽しむための位置情報関連イベント

 8月も残すところあと1週間あまりとなったが、ここでは今年の夏に開催中の位置情報関連の期間限定イベントを紹介しよう。夏休みの最後に、スマートフォンや携帯電話を持って位置情報イベントへ参加してみてはいかがだろうか?

1)夏のリアル駅コレ 鉄道に乗って箱庭鉄道を作ろう!

 まず紹介するのは「全駅制覇!駅コレクション(駅コレ)」において開催されている「夏のリアル駅コレ 鉄道に乗って箱庭鉄道を作ろう!」。このイベントは茨城県のひたちなか海浜鉄道と、秋田県の由利高原鉄道、山形県の山形鉄道様とのコラボイベントで、8月31日までの期間限定で開催されている。

 「駅コレ」は携帯電話やスマートフォンで駅を記録するゲームで、駅を記録するためには実際にその駅の近くに行く必要がある。ひたすら駅を記録して1つの路線の駅をすべて制覇すると、特別ボーナスとともに称号をもらえる。

 今回のイベントは、窓口で各路線の1日フリー切符(山形鉄道と由利高原鉄道は土日祝日のみ)を購入し、その切符を使って列車に乗りながら駅コレをする。全駅制覇すると駅コレに「制覇証明書」が表示されて、これを駅係員や直営ショップに切符とともに見せると、記念品がプレゼントされる。

 さらに、各路線で位置登録をすると、沿線に関連した「パーツ」がゲーム内で手に入り、これらのパーツを集めると、ゲームの中で沿線地域の世界観を反映した「箱庭鉄道」が作成される。「箱庭鉄道」はイベント終了後もゲーム内で保持することが可能。従来から駅コレで楽しんでいるユーザーはもちろん、今回イベントが開催される路線の近くに住んでいる人は、これをきっかけに駅コレを始めてみるのもおすすめだ。

全駅制覇!駅コレクション

夏のリアル駅コレ 鉄道に乗って箱庭鉄道を作ろう!

駅コレのAndroidアプリ

URL
 全駅制覇!駅コレクション
 http://ekikore.com/
 夏のリアル駅コレ 鉄道に乗って箱庭鉄道を作ろう!
 http://ekikore.com/?guid=on&n=event_2012_summer&did=
 駅コレ(Google Play)
 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ekikore.android

2)怪談の夕べ

 もう1つはデジタルハリウッド大学およびデジタルハリウッド大学大学院、双方の研究機関「メディアサイエンス研究所」が、株式会社JTBおよび有限会社げんごろうが企画した納涼イベント「怪談の夕べ」において行う実証実験だ。iPhone/Androidアプリ「怪談の夕べ」を使って行われる。

 このアプリは、東京都墨田区に伝わる民話や怪談にちなんだ場所をゲーム感覚で楽しみながら巡ることができる地図ガイドアプリ。古地図を見ながらコンパスの方角表示を頼りに怪談スポットへ行き、スマートフォンのカメラをかざすとAR技術によりそのスポットに重ね合わせて人魂の画像を表示。その場所にまつわる話が音声と画像で再生される。

 ユーザーはゲーム感覚で怪談スポットを探しながら街歩きを楽しめる。同アプリでは4つのストーリーに基づいたコースが設定されており、最終目的地ではお寺の本堂や神社の社殿で、墨田区に伝わる民話や神話、怪談をプロの語りで楽しむ公演も開催される。

 最終回となる8月24日・25日には、19時から墨田区業平の法性寺にて開催されるので、参加したい人はJTBまたはげんごろうのサイトから申し込んでほしい。

 古地図だけで現在の地図は用意されていないので、怪談スポットにたどり着くには少し大変だが、それだけに見つけた時はうれしい。イベントに参加せずにアプリだけでも楽しめるので、スカイツリー見物に訪れたついでの時などにiPhoneを片手に墨田区を歩いてみてはいかがだろうか。

iPhone版の起動画面 古地図上に現在地を表示
方角表示に従って移動 この地域に伝わる怪談を音声で再生
AR表示

URL
 怪談の夕べ(Google Play)
 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ivtech.kaidanAR001
 怪談の夕べ(App Store)
 http://itunes.apple.com/jp/app/guai-tanno-xibe-gu-tude-mo/id543901283?mt=8
 JTBのチケット情報
 http://opt.jtb.co.jp/kokunai_opt/p/p1011663/
 げんごろうのチケット情報
 http://folklore.gengoro.net/performance.html


2012/8/23 06:00


片岡 義明
 地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅−デジタル地図に残す自分だけの鉄道記−」がインプレスジャパンから発売中。