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真田氏ゆかりの上田城、デジタル古地図や3D映像が満載の「上田城城下町絵図アーカイブ」

 大河ドラマ「真田丸」の放送開始により、真田氏にゆかりの深い各地の史跡が注目されている。その1つが信州・上田市にある上田城だ。今回は、この上田城に関連した地図コンテンツや3D映像を収録するサイト「上田城城下町絵図アーカイブ」を紹介しよう。

「上田城城下町絵図アーカイブ」

 2014年6月に公開されたこの「上田城城下町絵図アーカイブ」では、江戸時代の上田城およびその城下町の絵図5点をデジタル化したコンテンツや、上田城のジオラマの3D映像を見られる。さらに、真田昌幸氏によって築かれ、上田合戦などを経てきたという江戸時代以前の上田城のエピソードとともに、同城の見どころも詳しく紹介している。

 同サイトで収録されている絵図の中で最も古いのは、天保4年(1647年)の「信州上田城絵図」。当時の城主である仙谷氏が上田城の復興を開始したのは寛永3年(1626年)で、その工事は未完成に終わってしまったものの、現在見ることができる上田城の姿は、ほとんどこの時に築かれたものだという。この古い絵図を見ると、その当時の城とその回りの様子がよく分かる。

「信州上田城絵図」

 このほか、同サイトには「仙谷氏在城時代の上田城下町図」(1702年)、「仙谷氏家臣屋敷割図(写)」(1702)、「安政年間上田城下町絵図」(安政年間)、「本丸二の丸図(写)」(年代不明)と、4つのデジタル古地図が収録されており、それぞれ細かいところまで拡大表示することが可能だ。

「仙谷氏在城時代の上田城下町図」
「安政年間上田城下町絵図」を拡大表示

 また、Google マップ上に「上田城城下町絵図」を重ねた地図コンテンツ「元禄絵図マッピング」も収録している。これはスマートフォンにも対応しており、スマートフォン版では地図上に現在地を表示することもできる。古地図の濃度調整も可能なので、現在地が昔どのように使われていたのかも分かりやすい。

スマートフォン版では現在地を表示できる「元禄絵図マッピング」

 さらに、上田市立博物館に展示されている「上田城復原模型」を3D映像にした「仮想空間で見る上田城」も収録している。この3D映像には、7つの櫓や堀、土蔵などが細かく掲載されており、拡大・縮小や視点の上下切り替えも行える。3D映像は高解像度版で見るとかなりの迫力だ。

「仮想空間で見る上田城」

 なお、「上田城城下町絵図アーカイブ」を提供している上田市マルチメディア情報センターでは、ほかにも、信州の過去の絵図をデジタル化した「正保・元禄信濃国絵図」や、宝暦2年(1752年)に製作された大型地図「東山美智信濃国略図」を収録した「上田市立図書館・貴重書ライブラリ」、「上田市文化財マップ」、「上田市景観マップ」、「信州上田 ロケ地探方マップ」などさまざまな地図コンテンツを提供している。上田観光に訪れる際は、これらのコンテンツを参考にしてみてはいかがだろうか。

「正保・元禄信濃国絵図」
「上田市文化財マップ」

片岡 義明

IT・家電・街歩きなどの分野で活動中のライター。特に地図や位置情報に関す ることを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから法 人向け地図ソリューション、紙地図、測位システム、ナビゲーションデバイス、 オープンデータなど幅広い地図関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報ビッグデータ」(共著)が発売中。