趣味のインターネット地図ウォッチ
第149回:日本全国の地質や活断層の位置が分かる「地質図Navi」 ほか
●日本全国の地質や活断層の位置がわかる「地質図Navi」
独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)の地質情報研究部門シームレス地質研究グループは、地質図表示システム「地質図Navi」を試験公開した。産総研は2001年に全国のさまざまな研究所を統合・再編して発足した組織だが、その中には地質に関する研究を行う「地質調査所」が含まれている。この地質図Naviは地質調査所の時代から現在まで発行してきた各種地質図を表示することが可能で、地球化学図や重力図などのデータも重ねて表示できる。さらに今後は産総研の地図系データバンクの主要システムとなるという。
背景地図は、国土地理院の電子国土、Google マップ(航空写真/地形/道路地図/航空+道路)、OpenStreetMap(標準/自転車地図)の3種類から選択可能で、地図画面の右上にある「+」をクリックすると選択画面となる。
初期画面では「20万分の1日本シームレス地質図」が表示されるので、左メニューから表示させたい地質図を選択する。日本シームレス地質図には「詳細版」と、凡例を簡略化した「基本版」の2種類が用意されており、それぞれ「50万分の1活構造図」「50万分1地質図幅」「20万分の1地質図幅」など複数の縮尺や種類の地質図が用意されている。このほか海洋地質図や火山地質図、鉱物資源図なども見られる。
左メニューには地図上に表示されているエリアの地質図だけが自動的に抽出されて表示される。例えば北陸付近を地図に表示させた場合、「50万分の1活構造図」では「新潟」と「金沢」だけが、「7万5千分の1地質図幅」では「白馬岳」だけが、「5万分の1地質図幅」では「戸隠」と「白馬岳」だけがメニューに表示される。見たいエリアを地図で表示させるだけで、そのエリアに含まれる地図がピックアップされるのでとても分かりやすい。
また、メニューの中から地質図を選択すると、地図画面の左端に原本データをスキャンした画像データも表示される。これは独立したウィンドウに表示させることも可能で、凡例も掲載されている。デフォルトでは表示が小さく見えにくいので、独立ウィンドウに表示させた上で拡大すると、メインの地図データと並べて見比べやすくなる。
地質図や海洋地質図のほか、地図上にデータを表示させることも可能だ。用意されているデータは「第四紀火山」「活断層データ」「重力図(プーゲ異常)」「空中磁気異常図」の4種類のほか、各地の自然放射線量や、土壌鉱物の分布データなども収録されている。各項目を選ぶと地図上にデータ内容が表示される。最近は原発の稼働を巡る問題で各地の活断層の有無について調査が行われているが、「活断層データ」はそのような問題を考える上での材料の1つとなる。
地質図Naviはまだ試験公開の段階だが、現時点でもかなり情報が充実しており、地質に興味のある人にとっては有益な情報となるだろう。電子国土やGoogleマップだけでなくOpenStreetMapなど幅広いベースマップ上でさまざまな地質図情報が見られるコンテンツとして注目だ。今後はデスクトップ用だけではなく、スマートフォンアプリなどのリリースも期待したい。
Google マップを背景に使用可能 | OpenStreetMap |
原本データ | 50万分の1地質図幅 |
20万分の1地質図幅 | 7.5万分の1地質図幅 |
5万分の1地質図幅 | 海洋地質図(広域図) |
火山地質図 | 日本水理地質図 |
第四紀火山と活断層データを表示 | 重力図と空中磁気異常図を表示 |
自然放射線量 | 地球化学図(カドミウム) |
■URL
地質図Navi
http://www.gsj.jp/researches/geodb/geonavi.html
●地図を使わずにナビゲーションする「こっちナビ」のiPhone版が登場
パテントコネクションズ株式会社は、ナビアプリ「こっちナビ」のiPhone版を提供開始した。iTunes App Storeからダウンロード可能で、価格は170円。同アプリはすでにAndroid版が先行リリースされており、今回の措置でiOS/Android両プラットフォームに対応となった。有料版のほか、広告入りの無料版となる「こっちナビZERO」や目的地を鉄道の駅だけに限った「駅こっちナビZERO」も提供している。
「こっちナビ」は地図を使わずにナビゲーションするアプリだ。画面上に矢印の動画が表示されるだけで、その方向に従って進めば目的地にたどり着ける。目的地は地図から探す方法とジャンルから探す方法の2種類で、地図から探す場合は地図上で目的地をタップし、「ここへ行く」をタップすればOK。地図上で住所検索を行うことも可能だ。
ジャンル検索は「最寄り駅」「カフェ」「居酒屋」「カラオケ」「多機能トイレ」「コンビニ」の6種類のジャンルが用意されており、どれか1つを選択すると現在地周辺の該当施設がピックアップされる。リストの中からどれかを選んで選択すればナビゲーションが開始される。
ナビゲーション中は目的地までの距離と方向だけしか表示されず極めてシンプルだが、ワンタッチで地図画面を呼び出すことも可能で、地図上で現在地と目的地の位置を確認できる。ただし、地図モードにしても経路などは表示されない。
ユニークなのはGPSの位置情報精度を変えられる点だ。「最低(3km)」「低(1km)」「中(100m)」「高(10m)」「最高」の5段階から選択可能で、精度を高くすればするほどバッテリーの減りが速くなる。バッテリーの残り容量などに応じて自由に調節できるので便利だ。
矢印のパターンも6種類から選択可能で、アニメーション速度も5段階で調節可能。さらに方向を変えた時のバイブレーションの有無なども選べる。
地図を使わずにナビゲーションするアプリはほかにもいくつかあるが、このアプリではいつでも地図を呼び出せるようになっていたり、位置情報精度を変えたりできたりと、細かい点でさまざまな気配りが感じられる。地図を見るのが苦手な人にはお勧めだ。
起動画面 | メニュー画面 |
ナビゲーション画面 | ジャンル検索 |
地図を表示 |
■URL
こっちナビ(iTunes App Store)
https://itunes.apple.com/jp/app/kotchinabi/id560463153?mt=8
●インターネット上でヤードセールを開催できるアプリ「Shpock」
インターネット上でヤードセール(自宅の庭で行う不要品販売)やフリーマーケットを楽しめるiOS/Androidアプリ「Shpock」がリリースされた。
Shpockとは「Shop in your pocket.」の略のことで、従来のオンライン売買と異なるのは、売り主と買い手が実際に会って取引することを前提としていること。海外のサービスということでアプリも日本語版はリリースされていないが、すでに日本からの投稿もいくつか見られる。使用するにはFacebookアカウントが必要。
起動させると商品写真が画面上に並び、左上のメニューボタンをタップするとカテゴリの選択画面が表示される。カテゴリは「Fashon and Accessories」「Home and Garden」「Electronics」「Movies,Books and Music」「Baby and Child」「Sport,Leisure and Games」「Cars and Motors」「Other」の8種類に加えて、自分の近くにある商品だけを探せる「New in your area」も用意される。
自分で商品を売りに出す場合は、下部の「Sell」を選択し、商品名と説明、カテゴリ名、価格を記入して投稿する。写真はスマートフォンのカメラで撮った写真を使うことも可能だ。
ヤードセールは日本ではなじみが薄いが、自転車や大型家電などの場合、直接取引のほうが送料の高さに悩まされずに取引できるし、現物を見てから買うかどうかを判断できるというメリットもあるので、今後は日本でも同様のサービスが普及するかもしれない。
商品リスト | カテゴリリスト |
商品の詳細情報 | 売っている場所を地図で表示 |
出品画面 |
■URL
Shpock(iTunes App Store)
https://itunes.apple.com/jp/app/shpock-classifieds-yard-sale/id557153158?mt=8
Shpock(Google Play)
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.shpock.android&hl=ja
●マウスオーバーで切り換えて見られる「市町村変遷パラパラ地図」
毎年、日本の各地で市町村の合併・再編が行われているが、これらの変遷を分かりやすく理解できるサイトが「市町村変遷パラパラ地図」だ。左フレームの年代リストをマウスオーバーさせると右フレームの地図が切り換わるようになっており、市町村の変遷を「パラパラまんが」のように見られる。このサイトは長年に渡り更新を重ねてきた歴史あるサイトだが、パラパラ地図のアイデアは実にお見事で、今もなお魅力は色あせていない。マウスオーバーによる切り換えのほか、GIFアニメも見られる。
トップページ |
各ブロックは市町村の種類で色分けされているので、マウスオーバーで変遷を見ていくと、村や町が減って市となっていく様子などが実によく分かる。
用意されているのは「完全版」と、画像サイズの小さな「簡易版」、県より狭い地域のみの変遷を表した「地域版」、時間の進行に主眼をおいた「GIFアニメ版」の4種類。完全版と地域版、GIFアニメ版は明治22年(一部除く)からの変遷を反映。簡易版は「平成の大合併」を表現することを主な目的としており、主に最近の変遷を表している。
閲覧したいエリアを選択すると、地図画面が表示される。左フレームに年代のリストが表示されるので、この上をマウスオーバーすれば地図が次々に切り替わる。また、地図の上部には20%~200%までの大きさのリストも載っており、ここをマウスオーバーさせることで地図の拡大・縮小も可能だ。地図画面では基本的にクリック操作は必要なく、マウスポインターをリンクに重ねるだけで画面が切り替わるので操作が楽だ。手動が面倒な場合はGIFアニメ版を見れば変遷が自動的に切り替わる。
なお、エリアによっては完全版を収録していない場所もあり、コンテンツの中には外部リンクのものもある。また、町村変遷以外のパラパラ地図へのリンクも掲載しており、都道府県や政令指定都市のほか、プロ野球球団などの変遷も載っている。
マウスオーバーによるパラパラ地図は、動画とは違って好きなタイミングで止めたり、時間を遡ったりと、自由な操作感覚が魅力だ。全都道府県の完全版の網羅にも期待したいが、プロ野球球団の変遷など違う切り口で今後どんなパラパラ地図がリリースされるのかも気になるところである。
簡易版 | 完全版 |
地域版 | GIFアニメ版 |
凡例 | プロ野球球団の変遷 |
■URL
市町村変遷パラパラ地図
http://mujina.sakura.ne.jp/history/
2012/11/22 06:00
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