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Googleのプライバシーポリシー統合前に押さえておきたいこと

Googleに保存される情報を管理する


保存される情報を管理しよう

 前回まで、Googleがどのようなデータを保存しているのか、ダッシュボードで確認しながらご紹介してきた。Googleはサービスを通じて収集した情報をどういったことに利用しているのか、あらためて考えてみよう。

 検索精度を高めるために、ユーザーについて集めた情報に基づいて、検索結果を最適化して表示するというのがまずひとつ。しかし、それだけではない。Googleの収益は90%以上が広告収入となっており、その広告収入の柱がGoogle AdSense(http://www.google.com/adsense)とその仕組みだ。

 たとえば、Google Analyticsは、Google AdSenseのパフォーマンスを高めるためのアクセス解析ツールだ。PVやユニークユーザー数、1回のアクセスで閲覧するページ数、平均サイト滞在時間、直帰率、新規訪問の割合などが閲覧できる。

筆者が管理するサイトの直近1年分の分析結果

 少し前に、Googleの「Ads Preferences」(https://www.google.com/settings/ads/onweb/)にアクセスすると、Googleが把握している自分のユーザー属性(年齢、性別)や興味のあるカテゴリーが表示されるというのが話題になった。これらの情報も、Google Analyticsと組み合わせてマッチング広告の精度を高めることに利用される。

 前回までにも何か触れたが、こうした形で情報が最適化される利便性を歓迎するユーザーが多くいる一方で、1社の民間企業に自分のさまざまな情報を収集されることに不安を感じるユーザーも少なくないだろう。とくに3月1日からのプライバシーポリシーの変更で、さまざまな情報が一元的に管理されることにより、これまでばらばらの基準でサービスごとに保存されていた情報が一括管理され、統合されることになる。

 具体的にはたとえば、筆者の場合は昔、YouTubeのアカウントを作る際に年齢を正しく入力した(これは年齢制限のあるコンテンツを見る際に要求されることである)データが現在もそのまま残っている。

筆者の場合、昔登録した実年齢がYouTubeのアカウントに残っている

 この原稿を書くために改めてざっと確認したが、このデータは変更・削除ができないようだ。アカウントの削除はもちろん可能だが、筆者がアップロードした動画も自動的に削除されてしまうことになる。2012年2月現在は、この年齢はYouTubeのみで使われているが、3月1日以降は、前述の「Ad Preferences」のページで出てくるユーザー属性の年齢も、YouTubeで登録したデータが反映されて正しく47歳と改められる可能性があるというわけだ。

このデータは単にユーザーだけで決まるわけではない。筆者のように複数ブラウザを併用していると、メインに使っているOperaではこうした詳細な結果が出てくるが、補助的に使っているFirefoxやChromeなどで同じページに行っても、カテゴリやユーザー属性は表示されない 現在のYouTubeの設定画面では、年齢を単に表示する/しないという設定しかできない

 筆者の場合はそもそも自分のサイトで年齢を公開しているから、いまさら年齢が公開されても困ることもない。しかし、こうした情報が紐付けされる可能性があることを好まない人には大きな問題である。今後は、(ポリシー変更後ただちに、というわけにはいかないだろうが)すべてのサービスのプライバシーポリシーが統合され、一括管理され、共有される。

 Googleで検索したキーワード、ChromeブラウザーやAndroidで購入したり検索したり閲覧した情報、Google+のアクティビティ、Googleカレンダーのスケジュール、Android端末から送信される位置情報――等々、これらすべてのサービスの履歴が一括管理される可能性があると考えると、神経質な人ならずとも、多少居心地の悪い感じがする人は多くいると思われる。

 では、こうした情報の紐付けを避けるにはどうしたらいいのだろうか。


紐付けを止める〜アカウントやウェブブラウザーやサービスを使い分ける

 まず思いつくのは、紐付けを止めることだ。たとえば、Android携帯を複数台持っている場合は、1台ごとに異なるGmailアカウントを割り当てるとか、ウェブブラウザーは複数のベンダーから提供されるものを使い分ける。Internet Explorerは仕事用、Firefoxは趣味に、Chromeは家族との情報共有に――といった具合に、用途別に使い分け、さらにGmailアカウントもそれぞれ別に設定する。情報を分散するわけだ。

 こうした対策を徹底すれば、とりあえずすべてのオンライン上のアクティビティをGoogleに一元的に保存・管理されることは防げるだろう。しかし、利便性は大きく損なわれる。たとえば、複数のAndroidスマートフォンに同じ有料Androidアプリをインストールしたいと思った場合、端末ごとにGoogle Walletの設定をする必要がある上、それぞれ別のGmailアカウントを紐付けしたなら、端末ごとにアプリを購入し直さなくてはならない。

 Gmailの複数アカウントを保持すると、今度はその複数のアカウントに届いたメールをどうハンドリングするかという問題も出てくる。一例としては、全てのGmailアカウントからGmail以外のメールアカウントに転送を掛け、Gmailで一括管理するといったアイディアもあるだろう。しかし、結局ひとつのGmailアカウントで読み込んでしまえば、その関連性をGoogleが見逃すとはとても思えない。結局、Googleのサービスで読み込んだ時点でアカウント同士は紐付けられてしまう。仕事以外のメールはメールソフトを使ってIMAPやPOPで読むなど、どうせやるなら徹底する必要があるだろう。

メール転送を行えば受信はとりあえず解決するが、送信をどうするかが問題だったりする。筆者の場合、Gmailは受信のみとし、Gmailからは送信しないという割り切りの運用方法としている。

 いずれにせよ、用途で使い分けることで、(Googleなどサービス側から見て)紐付けされる際のハードルは上がる。その副作用として、使い勝手が不便になる。いわば利便性とプライバシー保護はトレードオフになるので、この情報だけはGoogle以外のサービスを使って管理するなど、用途によって必要があればサービスを使い分けていくしかないだろう。

 ちなみに、単独のGmailアカウントで特定のサービスだけを使っていても収集されるデータはある。こうしたデータについては、Googleのサービスに限らないが、個人情報の登録欄で、必須入力でない項目は入力しない癖をつけておこう。まず、情報は必要最低限しか登録しないことがユーザーにできる対策の第一歩である。どんなに情報漏えいの対策をしていようとも、人間が関わることで“絶対大丈夫”はない。いつでも漏れた時のことを考えて、余計な情報は渡さないという習慣を付けよう。

Googleアカウントの個人情報登録画面。ここではあまり余分な入力欄がないが、ふだんから必須ではない項目は入力しない習慣をつけておくのも対策になる


ウェブ履歴の管理・削除

 次に、ウェブ履歴である。ウェブ履歴がどう保存されるかに関するポリシーは現時点ではこちら(http://support.google.com/accounts/bin/answer.py?hl=ja&answer=54041)に示されている通りだ。明示的に無効にしない限り、Googleにログインしていなければ180日、ログインしているとユーザーが削除しない限り無制限に保存される。

 これを無効にする方法だが、ウェブ履歴(https://www.google.com/history/)にアクセスすると、デフォルトのまま利用していれば履歴が表示されるはずだ。ここで[ウェブ履歴を全て削除する]を選び、現在画面に表示されている履歴も全部「削除」を行うと、ウェブ履歴が無効化される。

デフォルトのまま利用していれば、ダッシュボードの[ウェブ履歴]画面で履歴が表示される ウェブ履歴を取得しない設定だと、こうした表示になる

 もっと積極的に履歴を残さない方法もある。たとえば、Google Chromeには「シークレットウィンドウ」と呼ばれる機能がある。Chromeのレンチアイコンをクリックすると表示されるプルダウンメニュー野中に[シークレット ウィンドウを開く(Ctrl+Shift+N)]という項目があるのでこれを選択する。

右上の設定メニューから[シークレットウィンドウを開く]を選択。 この説明書きが可笑しい、と一部では評判。

 シークレット ウィンドウを使うと、ウィンドウを閉じた際に利用したアクセス履歴やダウンロード履歴が自動的に全消去される。アクセス履歴やCookie、設定によってはパスワードなどもローカルストレージ上に保存するChromeブラウザーやAndroid端末など、Googleは個人情報を含む情報をPCやAndroid端末上に保存することがある。しかし、シークレットウィンドウを使ってアクセスした場合は、そこでアクセスした履歴やキャッシュ、入力したキーワードやパスワードはすべて自動的に削除されるので安心して利用できるというわけだ。

 同様の機能は、たとえばFirefoxならVersion 3.1以降に「プライベートブラウジング」という機能があり、これを使うことで同等の効果が得られる。

Firefox Version 3.1以降では、「プライベートブラウジング」という機能が搭載されている。いろいろアドオンを入れている関係で、ツールメニューに普通だと存在しないものがあるのはご容赦を プライベートブラウジングにすると、通常モードの画面が消えるのがChromeとの相違点だ こちらにも色々説明が表示されるのは一緒。

 IEはInPrivateブラウズをIE8から搭載しており、これで同じことが可能だ。

IEは「INPrivateブラウズ機能」をIE8から搭載した。[ツール]→[InPrivateブラウズ]で呼び出す 説明はややあっさり InPrivateブラウズでGoogleにアクセスした画面。アドレスバーの横に“InPrivate”と表示されることで区別できる

 Operaも同様の機能を搭載している。

プライベートタブとプライベートウィンドウの両方を選べるあたりがOpera独特。どちらも機能は同じで、既存のウィンドウにタブで追加するか、新規ウィンドウを開くかの違い 説明は最小限 通常モードで開いたGoogleのTabと比較すると、Favアイコンが変化していることでプライベートモードだと判断できる

 こうした標準ツールでは使い勝手や機能面で満足できない人向けに、プラグインの形で追加機能が提供されているブラウザーもある。たとえばFirefoxの場合、Privateモードに簡単に入るためのプラグインが複数提供されており、アドオンから検索できる。


ローカルに保存される情報の削除

 まず、ブラウザーが保持するCookieやアクセス履歴、ページキャッシュなどをどう削除するか。これは非常に当たり前の話で恐縮だが、基本的には各ウェブブラウザーの設定メニューから行うことになる。

 Google Chromeなら[オプション]→[高度な設定]→[コンテンツの設定]→[全てのCookieとサイトデータ]で一覧が出てくる。

Google ChromeのCookie一覧画面。ここでサイトをクリックすると、具体的にどんなデータがCookieとして格納されているかが表示され、さらにその各々のCookieをクリックすると、保存先や容量、格納日時などが表示され、個別に消すことができる

 FireFoxでは[ツール]→[オプション]→[プライバシー]に履歴メニューがあり、ここで[Cookieを個別に削除]をクリックするとCookieを個別に確認・削除できる。

Firefoxの設定は、Cookie関連を設定する場所がややわかりにくい 検索を使ってサイト名の一部で検索できるので、使い勝手は良い。複数選択しての削除も可能だ

 意外に機能が乏しいのがIEで、ツールボタンから[セーフティ]→[閲覧の履歴の削除]を選ぶが、ここでは個別のCookieを選ぶようなことはできず、全サイト分のCookieの一括削除のみである。

Internet Explorer。セーフティメニューの中にあるのがピンと来ない人もいるかもしれない Cookieとか履歴にチェックを入れて[削除]ボタンを押すと全部綺麗になる。

 IEでも、実は厳密に言えば個別の削除もできなくはない。ツールボタンから[インターネットオプション]を選び、[全般]タブの[閲覧の履歴]にある[設定]ボタンを押す。すると[インターネット一時ファイルと履歴の設定]画面がでるので、ここで[ファイルの表示]を選ぶと、物理的にCookieを保存しているフォルダが開く。ここから該当するサイトのURLに対応したファイルを探して削除する。

セーフティーメニューがなかった過去のバージョンとの互換性を保つために、この設定メニューを残しているのかもしれないが、少しわかりにくい IEでは履歴とCookie、一時ファイルが全部同じ扱いになっているのがここからもわかる ここに示されたフォルダを直接開いても良い
物理的にCookieを保存しているフォルダが開くので、ここから目的のサイトURLに対応したファイルを探して削除する

 Operaだと[ツール]→[設定]から[Cookie]を選び、ここで[Cookie設定]をクリックすると一覧表示され、編集や削除が可能である。

Operaの場合。Cookieを履歴とは別画面で管理しているのがわかりやすい 削除のみならず編集もできるるのがちょっと珍しいところだ

 ちなみにこのCookie削除に関しては、昔から様々なツールが単独あるいはアドオンの形で入手できる。窓の杜でちょっと検索するだけでも、Firefoxのアドオン「selectivecookiedelete」や、PC内の不要な情報を削除するフリーソフト「CCleaner」などがすぐ出てくる。最近では、主要ブラウザはすべてアドオン的な機能をサポートしており、こうしたところでも対応ツールが見つかるはずだ。

ステータスバーにアドレスが出ており、これはGoogleのクッキーもしくは一時ファイルであると判る。
ChromeウェブストアでCookieを検索した例 Firefoxのアドオンマネージャ(about:addons)でCookieを検索した例
IEのみCookie用プラグインが見つからなかった。これは次の話題である追跡防止のプラグイン Opera ExtensionからCookieを検索した例


 次回は、Googleが提供するオプトアウトツールやGoogleストリートビューの削除依頼などについてご紹介していく。



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2012/2/21 17:26


大原 雄介
 ライター業もそろそろ20年目を突破。一応当初はPC系兼業ライターということでスタートしたものの、最近は専ら組み込み系がメインの専業ライターに。PCや組み込み系ではOSから下のレイヤ、ネットワーク系ではL2〜L3以下のレイヤを専ら得意とする。ちなみに本職は「猫に傅く事」で、そのための費用稼ぎにライター業を営んでいる。