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第472回:重さ69gで10時間駆動のWiMAXモバイルルーター「Mobile Cube」


 DTIやhi-hoなどのWiMAX接続サービスで、ネットワークコンサルティングの新型モバイルルーター「Mobile Cube」の提供が開始された。厚さ14.2mm、重さ69gのコンパクトサイズながら、10時間駆動が可能な製品だ。その実力を検証してみた。

モバイルルーターの利点を再確認

 コレは不用意に鞄に入れたら、ちょっと探すのに苦労するかもしれないなぁ……。

 ネットワークコンサルティングの「Mobile Cube(IMW-C910W)」は、そんな心配をしてしまうほど、小さく、軽いWiMAXモバイルルーターだ。

DTI WiMAXモバイルプランで提供されるネットワークコンサルティングの「Mobile Cube」。小型、軽量のモバイルルーターだ

 WiMAXに関しては、スマートフォンやタブレットでの採用例も増え、テザリングでの利用も一般化しつつあるが、サイズや連続通信時間の長さ、外出先での充電のしやすさ(特にタブレット)を考えると、モバイルルーターの優位性はまだ大きい。

 今回の「Mobile Cube」は、まさに、その代表とも言える製品で、69gという抜群のコンパクトさと、スマートフォンやタブレットを圧倒する連続約10時間という通信時間を実現している。

 ユーザーの視点で考えれば、モバイルルーターの役割をスマートフォンが担ってくれた方が持ち運ぶ機器の数が減って助かるのは確かなのだが、このサイズと駆動時間を見せつけられてしまうと、まだ、しばらくの間はモバイルルーターを持ち運ぼうかという気にさせられる。モバイルルーターの利点を再確認させられる製品と言って良いだろう。

 なお、Mobile Cubeはプロバイダーが提供するWiMAXモバイルプラン向けの製品となっており、UQや量販店などで販売する予定はない。利用するには、Mobile Cubeを提供するプロバイダーでWiMAXモバイルプランに加入する必要がある。現在はhi-hoとDTIで提供されているが、今後扱いプロバイダーが増える可能性もある。

 1月中はhi-hoが新規入会特典として5300円キャッシュバック&Mobile Cubeの機器代金無料のキャンペーンを実施しているが、プロバイダーや購入時期によりキャンペーン内容は異なるため、加入時には条件を比較することをお勧めする。

「持つ」より「つまむ」という感覚

 それでは、実際の製品を見ていこう。まずは、サイズだが、スペックを記載すると、幅67×奥行き67×高さ14.2mm、重さ69gとなっている。

 実際に手にとってみると、本当にコンパクトで、手のひらにスッポリと収まってしまう。テーブルに置いた状態や鞄の中に入れた状態から取り出すときにも、「持つ」という感覚ではなく、「つまむ」という感覚で扱えるサイズだ。

正面 背面
「つまむ」感覚で持つことができる

 重さも非常に軽く、手のひらに置いてもかすかに重さを感じる程度。ワイシャツの胸ポケットに入れるとなると、さすがに若干、違和感があるが、スーツやズボンのポケットに入れてもほとんど気になることがない。鞄なら、ともすれば存在を忘れて、放置してしまいそうになるほどだ。

 デザインもなかなか好ましい。角を丸く削り、表面をかすかに膨らませた正方形のカバーで、上下から赤い枠を挟み込んだようなデザインは、通信機器らしさを感じさせないスタリッシュなものとなっている。

 イメージとしては、コースターのようにも見えるが、個人的には「座布団」という印象で、テーブルに置き、その上に小さめのフィギュアでも乗せたら、さぞ様になるのではないかと思えるほどだ。

 同製品は韓国のINFOMARK製となっているが、本家サイトでは「Compact Egg」と名付けられており、確かに、どことなく卵をイメージさせるような印象もある。

 サイズがコンパクトな半面、インターフェイスは最小限となる。側面片側には電源ボタンと「PWR」、「Wi-Fi」、「WiMAX」の3つのLEDランプが搭載され、反対側面のカバーを開くと充電用のmicroUSBコネクタが搭載されている。

 小型のディスプレイを搭載しているモバイルルーターなどと比べると物足りない印象もあるが、実際に使うときは、電源を入れ、WiMAXの通信ができているかをLEDで確認できれば事足りる。バッテリー残量も、LEDの点灯状況で確認できるが、詳しくは後述するが、本製品は連続通信時間が10時間と長いため、LEDで確認する機会そのものがほとんどなくて済むため、シンプルな構成でも、まったく不都合がない印象だ。

前面のLEDのみで状態が表示されるシンプルな設計


機能的にも極めてシンプル

 機能的にも、付加的な機能が排除されたシンプルな構成だ。無線LANは、IEEE802.11b/g準拠となっており、IEEE802.11nには対応しない。また、WPSなどのボタン設定機能も未搭載となっており、PCやスマートフォンの接続は基本的に手動となる。

 WiMAXの通信速度を考えると、無線LANは必ずしもIEEE802.11nに対応している必用はないが、せめてWPSによる接続はサポートしてほしかったところだ。

 さらにクライアントからブラウザを利用することで、設定画面にアクセスできるが、ここで設定可能な項目も必要最低限となっている。無線LANの設定は、暗号化方式などの基本設定以外では、SSIDステルスモードやアクセスコントロールリスト程度となっており、ルーターとしての機能はポートフォワードやUPnPなど、こちらも最低限の機能のみとなっている。

設定画面。無線LANやルーターの基本的な機能のみを備えるシンプルな画面

 設定で注意したいのは、無線LANの電波強度が「弱」になっている点だ。基本的に端末の近くで使うので、「弱」でかまわないが、家で使う場合などは、変更しておいた方がよさそうだ。また、VPNパススルーが無効になっているので、これも必用に応じて有効にしておくとよさそうだ。

 なお、省電力系の機能については設定画面には項目はなく、機能的にも細かな設定は用意されていないようだ。他の製品などでは、無線LANの無通信時間などを監視して電源をオフにすることができるが、本製品は基本的に電源をオンにしたら、バッテリーがなくなるまでオンのまま動作し続けることになる。

 唯一、電源関連で用意されているのは、「クイックスタートモード」と呼ばれる機能で、起動中に電源ボタンを2秒押し、PWRランプが点滅したことを確認して指を離すと、スリープ状態になり、次回、起動時に素早く起動させることが可能となっている。

 通常の電源オンでは、WiMAXの探索やWi-Fiの起動などに時間がかかるため、電源ボタンを押してから端末から通信できるようになるまでに1分20秒前後の時間がかかるが、クイックスタートモードの場合は約20秒で通信可能にできる。

 慣れないと、ボタンの押し方がわからないが、普段はこのクイックスタートモードで使うのがよさそうだ。


家に帰るまで電源オンのままでOK

 気になる連続稼働時間だが、接続したPCから、一定時間おきにPingとHTTP GETを繰り返すテストを実施したところ、15時36分のスタートから翌日の午前2時47分まで、11時間11分連続で動作させることができた。

 このテストの場合、WiMAXが安定して通信できるため、移動中のようにWiMAXの基地局の探索などにかかる余計な電力を消費しなくて済む。このため、外出先で実際に使うと、若干、動作時間は短くなると思われるが、それでも実動で10時間オーバーを記録したのは非常に優秀だ。現状のWiMAXモバイルルーターの中では、最長の駆動時間と言って良い製品だ。

 このため、朝家を出て、移動中に利用した場合、帰宅までの時間や移動中のWiMAXのエリア状況にも依るが、その間、常に電源オンのままで運用することも不可能ではない。

 こうなると、前述したように、細かな電源管理機能がなくても困らないし、起動に時間がかかっても気にならなくなってくる。古い言葉を借りれば、この長いバッテリー駆動時間のおかげで、まさに「七難かくす」状態になっているわけだ。

 このほか、充電時間は電源オフ/ACアダプタ利用時で3時間と短いうえ、USBケーブルでPCから充電したり、充電しながら利用することも可能だ(USB接続時に無線LANを無効にすることも可能)。

 なお、バッテリー容量は公表されていないが、INFOMARKのサイトに掲載されているCompact Egg(KWF-B2700)のスペックを見ると、3.7V/1600mAhとなっている。Compact Eggは、Mobile Cubeに比べて若干薄く、軽い(12.5mm/59g)ので、搭載されるバッテリーが変更されている可能性もありそうだ。


家電量販店での販売を望みたい

 以上、「DTI WiMAXモバイルプラン」で提供されている「Mobile Cube」を実際に使ってみたが、このサイズで、これだけ長く使えるのは非常に大きなメリットだ。今後、WiMAX向けのモバイルルーターが登場する可能性はあるが、少なくとも現時点では、かなり有力な選択肢と言って良さそうだ。

 パフォーマンスについても、筆者宅の環境で下り10Mbps、上り2.6Mbpsでの通信を確認できたので、問題ないレベルと言える。季節的な影響もあるかもしれないが、通信中や充電中でも、本体の発熱もほとんど気になることがなかった。

ベンチ結果。パフォーマンスも問題ない

 残念なのは、MVNO向け端末となるため、前述した通り入手にはサービスへの加入が必要になる点だ。すでにWiMAXのモバイルプランに加入しているユーザーも少なくないことから、家電量販店などでの販売も検討して欲しいところだ。


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2012/1/10 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ