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10代のネット利用を追う

SNSに個人情報を載せるメリットを考えよ、現役大学生が中学生にリテラシー講座


 5月下旬、私立青稜中学校(東京都品川区)で1〜3年生を対象に、株式会社ガイアックスの主催による「大学生が教えるネットリテラシー講座」が行われた。講師は、青山学院大学教育人間科学部教育学科3年の井上麻里子さん、千葉大学教育学部4年の小池翔太さん、千葉大学教育学部生涯教育課程3年の加藤愛実さん。ネットリテラシー講座だからといってリスクの面ばかりを強調するのではなく、今の大学生ならではのネットのプラス活用をメインに据えている点が特徴だ。講座の様子をレポートするとともに、大学生のケータイ/ネット活用についてインタビューした。

ソーシャルメディアは目的に合わせて使い分けるもの〜大学生たちの活用事例

 講座では最初に、大学生講師3人による自己紹介があった。名前、大学名、学年とともに、好きなものとしてマイケル・ジャクソン、ゆるキャラ、AKB48、池上彰など、中学生が身近に感じられるものが紹介された。中には自分のTwitterアカウントを紹介している講師もいた。つかみとして、「池上△」で「池上さんかっけー」と読む新しい言葉の使い方を紹介。「この意味は、ソーシャルメディアで調べたんですよ」と加藤さん。社会人講師が教えるのとは違う雰囲気に、生徒も良い反応をしていた。

 「ネットを使ったことがある人?」との質問には、ほとんど全員の手が挙がった。次に「ソーシャルメディアとは何か」について触れ、代表的なソーシャルメディアとして、mixi、Facebook、MySpace、YouTube、Twitterが紹介された。「デジタルネイティブ」についても言及し、「人と連絡を取る時にはメール、調べる時はネットなど、デジタルに当たり前に触れる人のこと」と説明。人はアニメグッズが欲しかったら秋葉原など、目的に合わせたところに行く。同様に「ソーシャルメディアは街に近くて、目的に合わせたメディアをその時々で使うもの」だという。

 ここで講師たちが、自分のソーシャルメディア活用事例を紹介した。井上さんは、オーストラリアにホームステイした時にいろいろな人と知り合ったが、一度しか会う機会がなかったり、連絡先を交換できない人がいた。「『Facebookやってない?』と言われたので、帰国後すぐにアカウントを作成。友人が見つけてくれてつながることができた」と語った。

 加藤さんは、最新情報を得たい人を気軽に登録できるTwitterを紹介。辺見えみりや天津木村といった芸能人にメンションを送り、返信をもらったという体験を語った。

 小池さんは、mixiを紹介。3月11日の東日本大震災後、日記で物資支援ボランティアを募集したところ、数人の友人が集まった。mixiを使った理由については「(Twitterなどを使って)世界中に発信すると情報が拡散しすぎてしまうので、信頼しているマイミクの中で募集した」と説明した。

 ネットリテラシー講座と言えばリスクを教えるものと相場が決まっている中、ソーシャルメディアの活用事例が学校で紹介されるのは、かなり新しく意欲的な試みだ。

ソーシャルメディアは距離を縮める場〜発展途上国に融資できる「Kiva」を紹介

 「ソーシャルメディアは、日本と海外の物理的距離や、一般人と芸能人などの身分的距離を縮めることができる。これまでできなかったことができるのがソーシャルメディアであり、可能性を広げる場所」と、ソーシャルメディアについてまとめがあった。

 これまでメディアの役割はマスメディアが担っていたが、テレビに話しかけても声が返ってくることはなく一方向。情報発信は、専門家や芸能人など限られた少人数が担っていた。一方、ソーシャルメディアなら、どんな人でも情報を得たり発信したりつながったりすることができる。ソーシャルメディアは、誰にでも平等に機会があるものなのだ。

 さらに、米国のNPOが運営するサイト「Kiva」の紹介があった。Kivaは、発展途上国の中小事業者に対して誰でも融資が行えるよう仲介するサイトだ。寄付ではないため、融資したお金は返済してもらうことが前提となっている。資金援助を求める人は名前と顔写真を載せることになっており、融資を受けたら融資者に経過報告しなければならない仕組みだ。返済率は98%以上だとされており、個人から個人へ小口融資(25ドルから)を行えるところが、クリントン元米国大統領らにも高く評価されている。貸し手同士が情報を交換できるコミュニティ機能もある。

 「例えば、ウガンダで食料品販売をするイーノックさんが資金援助を希望し、日本の高校生が融資した例があります。高校生でも、ソーシャルメディアを使えば発展途上国の誰かを助けることができるかもしれないのです。中学生の皆さんも、ソーシャルメディアで“何かしたい”を形にしませんか?」

ソーシャルメディアでつながることのリスク

 ここまではメリットが中心だったが、さまざまな人とつながれる反面、デメリットもある。続いてソーシャルメディアを使って事件に巻き込れた例などが紹介された。

 例えば、“プロフ”に写真を載せていたところ、変な人が見るサイトに悪用されてしまったり、裸の写真と合成させられてしまった人がいる。

 影響がネットにとどまらなかった例もある。ある男性がネットでプロフを検索していたところ、かわいい女子高校生を発見。校名と名前が書いてあったため、直接会うために文化祭に押しかけてきたというストーカーまがいの例だ。

 Twitterでのトラブルの事例も紹介した。ある事件について、犯罪を容認するかのようなツイートで、被害者側に非があると発言した大学生に非難が集中。内定先企業への「電突」騒ぎに発展した。

 このように実社会にまで影響が出ることもあるのだ。

ソーシャルメディアに個人情報を載せるメリットとは?

 こうした講義を行った上で、ワークシートが生徒に配られた。1問目は「ストーカー事例はどうすれば起きなかったのか、なぜ起きてしまったのか」。生徒たちは「顔や個人情報は出してはだめだと思いました」「載せるとしても、もっと大ざっぱに」などと回答していた。

 2問目は驚くような質問だった。「Kivaでは名前と顔写真を載せても大丈夫だが、事件が起きた例と何が違うのか。個人情報を載せるメリットは何か」というものだ。中学校の授業でネットに個人情報を載せるデメリットではなくメリットを問いかけるのは、実に新しい。生徒たちは「名前と顔写真を載せることでお金が借りられる」「借りる側が確実にお金を返せるようになる」などと回答していた。

 「皆さんは、個人情報を載せるメリットをこれまで考えてこなかったと思います」と小池さん。一方で、個人情報を載せることで確かになるものがある。信用だ。例えば、Kivaで行われているようなお金の貸し借りで大事なのは信用であり、名前も知らない人には貸せないだろう。

 また、名前など、ある程度個人情報を公開しなければ、ソーシャルメディア上で昔の友達と再会することもない。

 「個人情報を載せたらリスクもあるが、メリットもある。自分で考え、意味があると感じたら載せればいい。ただし、どこにでも出すのではなく、使い分けて出すべき。例えば、参照できるのが友達だけに限定されているSNSなどでは、ある程度個人情報を登録・記載してもいいが、誰が見るかわからないようなところに不注意に出しすぎてはいけない。」

 そして、危険を乗り越えるために自分たち大学生講師がしていることをまとめた。ポイントは、「ネット上の発言に責任を持つこと」。ネット上と、リアルで対面した時で言うことを変えず、責任を持って発言すること。その行動によって誰かを傷付けないか、自分が傷付かないか、立ち止まって想像するといいという。「使い方に決まりはない。使って夢をかなえてもいいし、知り合いとの間だけで使うのもいい。危ないと思うのなら使わなくてもいい」。

 講座の最後には、あるYouTubeの動画が大きく映された。東日本大震災が発生したのを受けてさまざまな国から寄せられたメッセージを動画にした「#Pray for japan 日本語訳slideshow」だ。再生数は44万回を超えている。「これがアップされたのは地震から2日後のことでした。世界中から寄せられた声の動画をこれだけ多くの人が見られたのは、ソーシャルメディアがあったおかげです」。

大学生の思いが形になった講座

 ガイアックスのネットリテラシー講座はもともと、同社社員が講師を務めていた。しかし、社員では生徒からはどうしても「大人」と見られ、受講生たちが親近感を持ちづらくなってしまう。

 そこでガイアックスの平田夏鈴さん(ソリューション事業本部オンラインマーケティング部営業・広報)が、大学生に講師をやってもらうことを思い付く。2010年9月、mixiのコミュニティで学生ボランティアを募集したところ、武蔵大学社会学部3年の稲葉匠さんらが集まり、講座の基本部分が形作られることとなった。

 現在も中心メンバーの1人である稲葉さんが、ソーシャルメディアの活用の側面をメインに据えたのには、強い思いがあったからだ。「もともと教育全般に興味があり、自分の学びを生かせる場を探していたが、情報を探す方法が分からなかった」という稲葉さん。それまで友達同士のやりとりだけで使っていたmixiのコミュニティを思い付き、「大学生活、なにかしたい!」というコミュニティに参加したところ、平田さんの書き込みに出会う。

 当時はまだ大学2年で、「そもそもガイアックスという会社が本当に存在するかどうかも分からず、知らない人に会いに行くのも怖かった」。友達を誘っても、みんな敬遠して行こうとしない。しかし、それ以上に何かやりたいという気持ちが強かった稲葉さんは、ボランティアに応募し、結果的に教育現場に行きたいという思いをかなえることができた。「ソーシャルメディアで新しいつながりを得ることで、夢がこんな簡単にかなうんだ。みんなやってみたらいいのに」という思いを込めて、講座を形にしていったという。

 現在は、稲葉さんら第1世代のメンバーからの紹介で入った、小池さんたち第2世代のメンバーがメインで講師を務める。各回の講師を担当する学生が自分たちの活用事例などを取り入れて講座を作るため、その都度違う内容になっていく。資料は担当の講師たちで作り、ミーティングにはSkypeも使う。小池さんは「自分たちの事例なので、思いを込めて話せるという面がある」と語る。

 大学生が講師をすることで、生徒たちの感想には「大学生になったらこんなことができるんだ」という反応が多くなった。同時に先生たちからは「こういう時代なんですね」と言われるようになったという。

 「大学生は、先生が言えないことを言っている面があると思うのです」と平田さんは指摘する。「講義の内容について、先生からは『ネット活用の面が強すぎる』との声もあり、賛否両論ですね。ただ、ネットパトロール業務を手がけ、リスクについても認識しているガイアックスがネット活用と言っているので、受け入れられるという面はあると思います」。

 一部の講師はTwitterアカウントを公開しているため、受講した生徒から「勉強になりました」「面白かったです」といった感想が寄せられることもある。「アカウントを公開するようになる前から、生徒が検索して見つけてTwitterで感想を送ったりしてきていたんですよ。こういう形でフィードバックがもらえるのはうれしいですね」。

 なお、「大学生が教えるネットリテラシー講座」は高校を中心に開催されているが、今回のように中学校や、あるいは大学で実施されるケースもある。

“デジタルネイティブ”の現役大学生、ネット活用事情は?

 では、大学生たちはネットをどのように活用しているのだろうか。今回講師を務めた小池さん、加藤さんに加え、同じく大学生によるネットリテラシー講座のメンバーである千葉大学法経学部3年の井上真美さんに話を聞いた。

――「大学生によるネットリテラシー講座」に参加した経緯を教えてください。

千葉大学教育学部4年の小池翔太さん

小池さん:2011年3月から参加しています。第1世代のメンバーに誘われて参加しました。その時に加藤さんも誘いました。講師を務めたのは今回が3回目で、これまでに大学生向けと高校生向けにやりました。中学校は、事前に先生から「リスクの面を強調してください」と言われるなど、大学生とは別の視点でやらなければいけないことが分かっていい機会でした。

 個人的には、もっとソーシャルメディアで世界が広がるということを伝えたいですね。教育学部は閉鎖的で、外の世界に触れずにそのまま教員になることには以前から疑問を持っていました。例えば、情報リテラシーの授業なのに、PowerPointの使い方を教えているだけだったりするのです。

加藤さん:私は、メディアリテラシーに重点を置いてやりたい、教育現場を実際に体験したいという思いで参加しました。ただ大学に通っているだけでは、こういう機会は決して得られないと考えています。

 ソーシャルメディアのアカウントを持っていても使いこなしている人は少ないし、「このままでいい」という人がいるのも事実です。私自身もソーシャルメディアに触れるまでそう考えていました。しかし、使ってみると自分の普段の生活の中では得られない外の世界を見られたり、繋がりもできたり……。ソーシャルメディア肯定側の人間として、使いたい人には「使ってみたら」と言いたいですね。メリットを知らないために使っていない人がいるのが、もったいないと感じてしまうんです。

井上さん:Twitterで以前から、千葉大学の人ならすべてフォローしていたのですが、当時は直接知らなかった小池さんのツイートを見て応募したのがきっかけです。

 ソーシャルメディアに対しては、個人的には肯定的立場です。でも、ずっと千葉に住んでいる人など、自分の会える範囲の人と交流するだけで満足している人は、特に必要としていないし、使っていないようです。「必要があるから使う」というスタンスがいいのではないかと思いますね。

――講義をしてみて、反応はいかがでしたか。

千葉大学教育学部生涯教育課程3年の加藤愛実さん

加藤さん:これまで学校の先生に反抗したことがなかったので、先生に冷たい目をされたのは生まれて初めてでした。でも、メリットが分からないからこそ冷たい目をされるので、逆にやる価値があると思いました。今回は初めての中学生向け講座だったので、あまり考えずに芸能人と対話した事例を紹介してしまいましたが、震災の際に有効活用する方法などを例としてもよかったのかなと思いました。

 私は、ソーシャルメディアは自分の可能性を広げてくれるものだと思っています。肯定的な使い方を中心に伝えましたが、同時にリスク面もきちんと理解した上で、積極的な使い方ができるようになってくれれば、と思います。

――自身が携帯電話を使い始めた時期、使っているソーシャルメディアなどを教えてください。

小池さん:僕らは、情報リテラシーについて教えてもらっていない世代なんですよ。僕自身は、小学5年からプリペイド携帯を持っていました。メールやPCメールをやったりしていました。小6〜中1のころから2ちゃんねるを見るようになりましたが、見ているだけでしたね。プロフや学校裏サイトなども見てはいましたが、書き込みをしたことはありません。

 大学生になってmixiに登録しましたが、最初は使い方が分からなくて、親しい友人と連絡を取り合うくらいでした。Twitterを使い始めて世界が広がりましたね。担当教官である千葉大学教育学部の藤川大祐教授をフォローしたことが大きかったです。それからは、いろいろな人の情報を得る手段としたり、自分から発信したりしています。Twitterは、目的があるので実名で使っています。

加藤さん:携帯電話を持ち始めたのは遅くて、高校生になってからです。高校生のころはネットはあまり見ていなくて、“リアル”を見たりはしていたものの、自分では鍵を付けて使っていました。感覚的に「何となく怖い」と思っていたんですよね。

 高校3年ごろにmixiに登録してはまって、今はTwitterをよく使っています。Twitterは名前を出して使っています。目的を持って、何をしたいから何を出すのかを考えて使えばいいと思うのです。Facebookは、ホームステイした時の知り合いとつながるのに使っています。

千葉大学法経学部3年の井上真美さん

井上さん:小学生のころからパソコンを使い、友達のホームページにコメントしたりしていました。言われたことに反論したこともあります。いざという時は逃げられるので、小学生のころに匿名でやってみるのもいいのかもしれません。携帯電話は、中学生のころは持ちたいと思ったことがなくて、高校から持ち始めました。今は、mixi、Twitter、Facebookなどを使っています。

 家族がマイミクなのですが、「疲れた」と書いたら、母から「おうちに返ってきなさい」と連絡がきてしまって慌てたことがあります。Facebookは、米国に行った時にその場でアカウントを作ったのですが、大震災の際もみんなが心配してくれて、海外の人たちのメッセージが暖かくて感動しましたね。

加藤さん:家族とマイミクなのは便利ですね。私は親にフォローされていないので、こういう講座の活動をしていること自体が心配されているんですよ。「今こういう活動しているんだよ」と言ってもあまりわかってもらえなくて……。

――今回の講座では、ソーシャルメディアの活用面を取り上げていました。自身ではどのように活用していますか。

小池さん:Twitterでは、茂木健一郎さんとやりとりして直接会えたことがあります。千葉大学で茂木さんの講演会が行われることになり、「千葉大の誰か、Ustream中継やって」と言われたので、後輩が最初に「やります」と応えたんです。僕も便乗する形でやることになりました。「会場で挨拶してね」とTwitter上で言われていたので、挨拶に行きました。リアルな世界でもやりとりできたことが印象深いですね。

 Facebookは最近使い始めました。福島県の相馬地方を救うために作られた「相馬救援隊」というFacebookページなどを使っていました。地震直後は個人的に物資を送ることができなかったのですが、個人で寺田倉庫を借りて受け入れ先となった人がおり、そのパイプ役として作られたFacebookページです。この活動のおかげで、15トントラック3台分と4トントラック1.5台分などの救援物資を搬送することができました。海外から支援物資を送ってくれた方もいましたね。

井上さん:3月11日はテレビが見られないところにいたので、情報を得るのにソーシャルメディアは役立ちましたね。

 「中高生がんばろう」という主旨の活動をしているのですが、顔が見えないと思いがつながりづらいので、メンバー専用SNSを作って相談できる場としています。そういう場があると距離感が縮まるし、自分で解決できないこともできるようになるんです。

加藤さん:私は福島県出身なのですが、震災時にボランティアをやりたいと市役所に電話をしたら、「受け入れ体制がない」と断られてしまったことがあります。そこで、Twitterで情報を集めてボランティアに行けたのが良かったですね。日々の放射線量に注意しないとならないような場所だったのですが、Twitterならピンポイントに欲しい情報を得ることができるのも助かりましたね。

 Twitterで千葉市長に連絡して、ミスコンイベントをやろうと、思いを伝えたことがあります。大学の文化祭でのイベントということで、地域につながりがなかなか得られない中、Twitterをきっかけに直接お会いしてご挨拶もできたんですよ。あ、講座での実例はこれでもよかったかもしれないですね。

ソーシャルメディア利用は、まず目的を持つこと、リスクも念頭に

――リスクも取り上げていましたが、怖い目に遭ったことはありますか。

加藤さん:自分ではないのですが、Twitterで「今どこどこなう」とツイートしていたら、ある人につけられた先輩がいてびっくりしたことがあります。誰かに見られている感覚を忘れないようにしなければと思いましたね。住所やいる場所などの情報はあまり出しすぎないようにしなければと思いました。

 それから、震災関連のデマが危険だと思いましたね。大震災直後の「コスモ石油の爆発により有害な物質が雨に混じって降ってくる」というデマは、コスモ石油が正式に否定しているのに、サークルのメーリングリストでも回ってきました。個人が自由に発言できるのでデマも混じってしまうと思い、発信者が信頼できるかをチェックしたりしています。個人が発信できるからこそ助け合える面はあるけれど、自分がデマを信じて拡散させてしまうことで被害が広がる面もあると思うのです。

小池さん:僕は授業を実況ツイートしたりするんです。研究会をやっている時に、知らないアカウントの人に「実況ツイートって意味ないのでは」と言われてしまい、反論したことがあります。その時は、フォロワーの方に「本名を出してTwitterをしているのだから、過剰に反論することはよくないよ」とのアドバイスをいただきました。ツイートするということは、渋谷の交差点で叫んでいるようなものですよね。僕が反論することでいい思いをする人はいないということを感じ、反省しました。

――皆さんは携帯電話やネットの正しい使い方を教わらなかった世代ということですが、自分でネットリテラシーを身に付けています。どのように学ぶといいのでしょうか。

小池さん:僕らの世代はネットリテラシー教育を受けていないので、同じ歳の人が炎上したりしているのを見かけます。実社会でも同じですが、メリットに対しては能動的に手探りすることでたどりつくので、とりあえず何でもやってみる姿勢が大事だと思います。例えば否定的なことを言うのはダメだと思われたりしますが、対人コミュニケーションを磨くべきなのではないでしょうか。それができれば、リスクは軽減できるのではないでしょうか。

 僕は、2ちゃんねるとかプロフとかでネットの悪い面も見てきていて、あまり積極的に使いたくないと思っていました。しかし、mixiをやって、ソーシャルメディアにも面白い面があると感じたのです。ネット上で交流していると、初めて会った時もすんなり入って行けるというメリットもあります。ガイアックスの方ともそうでした。

井上さん:「Twitter 炎上」で検索すると、カンニングをツイートして炎上した例などの一覧が出てきたりするので、そういうものを調べて、過去の失敗から学ぶといいと思います。

加藤さん:使ってみないと分からないので、まず目的を持つことですね。井上さんの言うように自分で調べたり、リスクを念頭に置くといいと思います。「こんな発言をしたらこういうことが起きるかもしれない」ときちんと考えるということが大切だと思います。ただ、怖いから使わないのは間違っていると思うんですよ。

小池さん:いざという時に助けてくれる人がいるかどうかは大きいですね。リスクに出会ったり間違ってしまった時にどう対処するかは、今後、講座の中にも組み込んでいかねばならないと思います。それを考えると、匿名でやってみて失敗するのはいいかもしれません。それから、携帯電話は依存してしまいがちなので、自室に入れてはいけないと思います。居間など、親がいるところで見るようにするのが大事かもしれません。そのような補助輪的な支えがありつつ始めるのがいいのではないでしょうか。

井上さん・加藤さん:携帯電話は、ある程度以上の年齢で知識がある人が情報発信するために使うのがいいと考えています。リアルがうまくいってないのにネットを使ったら、間違いを犯してしまうだろうと思うのです。だから、中学生でいきなり足を踏み入れるのは危険かもしれません。まずは自分を固めてほしいですね。

――ありがとうございました。


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2011/7/14 12:00


高橋 暁子
小学校教員、Web編集者を経てフリーライターに。Mixi、SNSに詳しく、「660万人のためのミクシィ活用本」(三 笠書房)などの著作が多数ある。PCとケータイを含めたWebサービス、ネットコミュニケーション、ネットと教育、ネットと経営・ビジネスなどの、“人” が関わるネット全般に興味を持っている。