イベントレポート
CEATEC JAPAN 2016
富士通、AI技術を使ったスポーツのフォーム改善や監視システム
2016年10月6日 12:00
「CEATEC JAPAN 2016」の富士通のブースでは、AI・IoTを日常生活やスポーツに活用する技術を紹介している。
次世代センサーシューズとして、靴の中敷きに組み込むセンサーモジュールを内蔵した靴を公開。足の動き、圧力、曲がりなどの情報をセンサーで集め、無線でスマートフォンに送信する。
センサーモジュールから取得したデータはビッグデータとして蓄積していき、健康管理や生活改善に活用できるという。将来的にはウェブアプリケーション開発者向けにデータやAPIを公開することも想定している。
また、ゴルフのスイングや野球のピッチングなど、スポーツのフォームを非装着型のセンサーで解析する技術も披露。
人の体の動きをデジタル化し、各関節座標の3次元データを蓄積。フォームデータを機械学習し、理想のフォームとの違いや改善点を提示してくれる。将来的にはスポーツ教室などBtoC向けのサービスを展開する予定だそうだ。
手のひらの静脈認証を使ったカードレス決済方法も紹介。手のひらの静脈は複雑になっているため個人差が出やすく、偽造しずらいという。また、指紋・顔認証は体の外側になるため、傷つくと採り直しになりやすいが、静脈ならそういった問題を防ぎやすいとしている。
静脈データの読み込み時は近赤外線を照射する。静脈の中の「還元ヘモグロビン」は近赤外線を吸収する性質があり、静脈パターンを映し出すようになっている。このパターンをデータ化して暗号化していく。
スポーツクラブの利用シーンとしては、静脈データを会員登録時や清算処理時に利用できる。これにより、購買データを静脈データに紐付けて蓄積することができる。
発話理解技術と自動学習機能を持った「知識型対話生成技術」の活用による対話システムも展示。複雑な商品体系や契約内容を理解しなくても、人工知能との対話の中で判断できる仕組みを提供できる。
対話履歴から自然な対話方式を学習することで、システムの発話内容や条件分岐などの指示をあらかじめ記述する必要なく、自律的に対話を行えることを特徴としている。
多言語音声認識と翻訳により、外国人や難聴者、聴覚障害者とのコミュニケーションをサポートする「LiveTalk」も披露。発話と同時に認識した音声をクラウド上で処理し、リアルタイムに複数の端末に表示。あらゆる話し方の癖をあらかじめ学習しているため、誰が話しても一定の精度で認識することができるという。
会場のデモでは、一度あいまいに認識された文字もリアルタイムで繰り返し書き換えられ、精度を上げていく様子が見られた。
このほか、画像解析にAIを活用した技術も紹介。監視カメラの映像から車や人などの情報を自動的に抽出することが可能で、セキュリティ監視、交通量の把握などに活用することができる。
この監視システムは富士通のAI技術「Human Centric AI Zinrai」とスーパーコンピューター技術で培った高速画像処理技術を活用している。車両認識では、車の色や一部のメーカーを識別可能。人物認識では着衣の色、所持品も認識できる。誤検出もあるが、ある程度対象を絞り込むことができるため、監視業務の手間を省くことができる。
会場入り口には富士通研究所が開発したロボット「ロボピン」が登場。クラウド上に集積された情報や、本体に備えるセンサーから収集したデータを活用できるという。具体的なサービス展開は未定。実証実験では富士通のグループ会社で受付を担当しており、今後はニーズに応じたサービスを展開していくという。