イベントレポート

CEATEC JAPAN 2016

土壌環境のリアルタイムモニタリングや作業車の稼働状況可視化など、ロームのセンサーで提案するIoTソリューション

 「CEATEC JAPAN 2016」のローム株式会社のブースでは、主に組み込み用途のセンサーを活用した製品やサービスのプロトタイプを紹介している。

 「ロームセンサ評価キット」は、加速度センサー、気圧センサー、地磁気センサー、照度近接センサー、カラーセンサー、ホールIC、温度センサー、UVセンサー、ジャイロセンサー、10軸モーションモジュール、光学式脈波センサーをラインアップ。センサー拡張ボードはArduino Uno/Lazuriteに対応。電子工作や機器のプロトタイプ開発などに利用できる。

 そのほか、加速度、気圧、地磁気、角速度を測定する機能を備える「ロームセンサメダル2」は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器との連携が可能。

 例えば、ウェアラブル機器として組み込むことが可能で、人の活動量、動き、向きなどの状態をセンシングし、Bluetooth接続でスマートフォンアプリに情報を送信することができる。今回のモデルでは新たに有線通信やフィールドセンサー、バイタルセンサーを追加接続できるようになった。

「ロームセンサ評価キット」
Arduino Uno/Lazuriteに対応
「ロームセンサメダル2」で取得したデータをスマートフォンアプリへ送信

 土壌環境センサーは、酸性度(ph値)、水分量、温度などの土壌環境を測定できるもの。土の中に直接埋め込むことが可能で、無線通信と組み合わせて土壌環境をリアルタイムでモニタリングできる。これにより、農産物の生産性向上のほか、土砂災害といった防災対策など社会インフラ監視として活用可能だ。

 現在は個人向けに販売されていないが、例えばカーデニングや家庭栽培のスマート化を実現するためのサービスとして展開することも考えられる。

土壌環境センサーで「スマート農業」を実現

 作業車の屋内位置や稼働状況を可視化するシステムのプロトタイプも公開。建設中のビルなどの作業所では、多数の作業車が同時に稼働しており、GPSが利用できないため、位置情報の取得が困難になる。しかし、BLE通信と920MHz帯無線通信を使用する「SynapSensor」とビーコンを組み合わせることで、大規模センサーネットワークの構築が可能になる。

 屋内で稼働する多数の作業車の位置情報がリアルタイムで取得できるほか、現在誰がどれだけの時間稼働させているかなどを可視化できる。他の活用例としては、病院、介護施設で患者の生態情報を遠隔地から取得したり、会社では社員の所在地を確認するといった使い方ができるようになる。

 会場のデモでは、各車両に搭載したSynapSensorユニットを経由し、車両の状況をクラウドに集約。PCの管理画面から車両利用者や稼働時間を確認できた。

「SynapSensor」で作業車の稼働状況をまとめて確認

 このほか、TECHMAC株式会社が開発する集中力解析システム「Z.O.N.E.(β)」とロームの光学式脈波センサー、10軸モーションモジュールに搭載されたジャイロセンサー、加速度センサーを組み合わせたデータ連動型デバイス「PLU(Pluse Launcher Unit)」を使ったシューティングゲームのデモを実施。ユーザーの集中力に合わせて障害物の数が変動し、難易度がリアルタイムで変化するようになっている。

 TECHMAC代表取締役の北口真氏は「VRがバイタルとリンクすることで、今までにない体験ができるのではないか。応用例としては、スポーツやパフォーマンスにおいて、バイタルとモーションを組み合わせたシミュレーションなどに活用できるかもしれない」と述べた。

ランチャーのプロダクトデザインは造形作家の池内啓人氏が担当
集中力解析システム「Z.O.N.E.(β)」のプレイ画面