イベントレポート

アドテック東京2014

TwitterはLIVEである――大江アナ結婚報告で米Twitterのサーバー途端に忙しく

 Twitterは18日、都内で開催されたイベント「アドテック東京2014」にて、Twitterを活用した世界各国のブランドプロモーション事例を紹介した。

 Twitter全オフィスのブランドチームを統率するメリッサ・バーンズ氏(Head of Global Brands)が登壇。バーンズ氏は、Twitterでは多くのストーリーが日々発生しているとし、例として2014 FIFAワールドカップのイタリア対ウルグアイ戦で、ウルグアイのスアレス選手がイタリアのキエッリーニ選手に噛み付いた騒動を取り上げた。

米Twitterのメリッサ・バーンズ氏(Head of Global Brands)
2014 FIFAワールドカップでウルグアイのスアレス選手がイタリアのキエッリーニ選手に噛み付いた騒動を取り上げた

 噛みつき疑惑がTwitter上で拡散した後、スアレス選手のスポンサーであるアディダスがワールドカップ前に制作したポスターがリオデジャネイロの観光名所として人気となったほか、スナック菓子「スニッカーズ」の公式アカウントが「イタリアンより満足できる」と騒動に便乗。その後、スアレス選手が謝罪文をツイートするとキエッリーニ選手も「構わないよ」とリプライを返すなど、Twitterでは、一連のストーリーを追うことができるとした。

歯をむき出しにしたスアレス選手のポスターがリオデジャネイロの観光名所となった
「イタリアンより満足できる」として噛み付き騒動に便乗したスニッカーズ公式アカウント
スアレス選手の謝罪ツイート
謝罪に対するキエッリーニ選手のリプライ

 そのほか、英国のキャメロン首相が真剣な面持ちで電話するセルフィー写真に対して、コメディアンや大物俳優をはじめ、Twitterユーザーがパロディ写真をツイートした事例や、アカデミー賞授与式で、コメディアンのエレン・デジェネレスさんが投稿したセレブと一緒に写っている写真が3400万リツイート、33億インプレッション、42億リーチに至った事例を紹介。リアルタイムで起こる会話をさまざまな人が見ることができ、会話に参加できたり広く拡散されるTwitterの特徴を「LIVEである」とした。

キャメロン首相がオバマ大統領と電話会談している際のセルフィー写真
コメディアンのロブ・デラニーさんがパロディ写真をツイート
アカデミー賞授与式でのセレブ集合写真は、3400万リツイートを記録した
Twitterは「LIVE」が特徴

 日本でも、9月16日にTwitter上で結婚を報告したテレビ東京アナウンサー大江麻理子さんのツイートについて、「日本で大騒ぎになったようでサーバーが途端に忙しくなった」として、誰もが大江アナの結婚報告に反応したと明かした。

大江麻理子さんの該当ツイート
「サーバーが途端に忙しくなった」という

 なお、Twitterへのアクセスの78%がモバイルデバイスで、日本ではさらに高い比率だという。また、日本でのTwitter使用時間は1カ月で平均58時間17分と、世界の中で日本人が最もアクティブなユーザーだとした。

Twitterへのアクセスはモバイルデバイスからが78%
日本での1カ月のTwitter平均利用時間は58時間17分と、世界中で最もアクティブ

プロモーションのチャンスは日常の中にたくさんある

 Twitter上では、大きなイベントから日々の生活に根付いたことまで、さまざまな内容がツイートされているが、切り口によってツイートのパターンが見て取れるという。

 例えば、「疲れた」や「お腹がすいた」に関連したツイートは時間帯でパターンが見られ、それを活用したプロモーションとして、ブラジルでは食材をツイートすると夕食のレシピを提案してくれるマヨネーズ企業のアカウントがあるという。夕飯の話題が飛び交っている時間帯に、調理をする時にはモバイルデバイスはジップロックに入れるよう促すアカウントも例に挙げた。

時間帯ごとの「疲れた」に関連したツイート数の変化
時間帯ごとの「お腹がすいた」に関連したツイート数の変化
食材をツイートすると夕食のレシピを提案してくれるアカウント
調理時にモバイルデバイスをジップロックに入れるように促すアカウント

 英国では通勤時間帯に「通勤(Commuters)」「消える(Dissapear)」に関連したツイートが多いことに注目し、NOKIAの英国法人は、新製品ローンチのプロモーションとして、通勤ラッシュに向かってスマートフォンをかざすと、混みいっていた人々が消えるという動画を制作してTwitter上で公開。多くのユーザーが思う瞬間にうまく適合した例として紹介した。

通勤時間帯に増える「Commuters」「Disappear」に注目
通勤ラッシュに向かってスマートフォンをかざすと人々が消える動画を制作

 また、テレビとTwitterの親和性は高く、ユーザーの81%がTwitterを使いながらテレビを視聴したことがあると回答したという。また、Twitterが使える/使えないグループに分けてバスケットボールの試合を視聴させた実験では、Twitterを使えるグループの方が感情移入しやすく、周囲の人たちと対話しながら試合に没頭できたという。

Twitterユーザーの5人に4人(81%)がTwitterを使いながらテレビを視聴したことがあると回答
Twitterを使える環境/使えない環境で比較実験を行い、Twitterを使える環境の方が感情移入しやすいという結果が出た

 このため、テレビ広告を展開するブランドは、テレビとTwitterを組み合わせるようになったという。2014 FIFAワールドカップの日本戦では、メルセデス・ベンツの日本法人が本田圭佑選手を起用したCMをテレビとTwitterで公開。日本コカ・コーラでは、サッカー日本代表の選手名をボトルに載せてワールドカップの名シーンを再現したCMをテレビとTwitter上で公開した。ブランドを日本の熱狂の渦の中にうまく持ち込み、ワールドカップのストーリーに付加価値を付ける良い例だとした。

メルセデス・ベンツの日本法人が制作した本田圭佑選手を起用したCM
日本コカ・コーラが制作した、コーラのボトルに選手名を載せたCM

 また、マーケターの腕が試される「スーパーボウル」にて、ユニリーバの男性化粧品ブランド「AXE」のストーリーのある取り組みを紹介。「Make Love Not War」をテーマとしたスポットCMを制作してスーパーボウルの際に公開。「#KissForPeace」という、平和のためにキスをするセルフィー写真にハッシュタグを付けて投稿すると、フィーチャーされた写真がタイムズスクエアの巨大スクリーンに投影されるキャンペーンを展開したところ、8万人がキャンペーンに反応し、20億インプレッションを獲得したという。

ユニリーバは「#KissForPeace」というキャンペーンを展開
「Make Love Not War」をテーマとしたスポットCMを制作し、スーパーボウルの際に公開
投稿されたセルフィー写真の中から選定された写真が、タイムズスクエアの巨大スクリーンに投影される
実際に投影されたセルフィー写真をツイートし、さらにリツイートを呼び込む

 バーンズ氏は、ブランドがプラットフォームを有効に活用するには、大きなイベントのほか、日常の一瞬一瞬をいかに取り込むかが鍵になるとしている。ブランドは、日々のストーリーを紡いで豊かにし、人々の生活に情報やエンターテインメントを提供するのが重要になるとした。

(山川 晶之)