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Twitterはテレビ番組のパルス、マーケターにとって絶好のチャンス

テレビ視聴者ターゲティング広告を日本でも来年上期に展開

 Twitter Japan株式会社は10月31日、広告主や広告代理店を対象としたイベント「#FlywithTwitter Tokyo - Plan for the Moment」を開催した。同社パートナーシップディレクターの牧野友衛氏、来日した米TwitterプロダクトマーケティングマネージャーのJohn Heywood氏らが、Twitterで提供している広告ツールなど企業向けソリューションやその国内外での活用事例を紹介した。

Twitter Japan株式会社パートナーシップディレクターの牧野友衛氏
米TwitterプロダクトマーケティングマネージャーのJohn Heywood氏

Twitterはテレビ番組に関する話題を増幅させる

 今回のイベントで特に詳しく取り上げられたのが、米国でも力を入れているという「TV×Twitter」という切り口だ。Twitterはテレビに関する話題を増幅させるとし、番組を制作するテレビ局やテレビCMを出稿する広告主がこれをうまく活用することで、エンゲージメント率や購買意向を向上させることができるとアピールする。

 牧野氏によると、Twitterが買収した米Bluefin Labsが2012年に行った調査で、テレビに関するオープンでソーシャルな会話のうち、実に95%が専らTwitter上で行われているとの結果が出たという。また、Twitterユーザーの50%がテレビを見ながらTwitterにアクセスしており、33%が番組についてツイートしていたという。

 ただし、ツイートを投稿している人だけがTwitterユーザーではなく、他の視聴者が投稿していることを見るのにTwitterを活用している人も多くいる。Twitterが最近提携を発表した米Nielsenとの共同事業では、単にテレビ番組に関して投稿されたツイートの件数だけでなく、そのツイートがどれだけリーチしているかを測る指標を策定するという。米国の200以上のテレビネットワークの1500以上の番組について、投稿者数、ツイート数、投稿されたツイートがどれだけ見られたかというインプレッションの計測を開始したとしている。

 例えば10月27日にFOXネットワークで放映したアメリカンフットボールについては、39万人が99万件のツイートを投稿。また、それらのツイートを見た人は747万人、インプレッション数は9300万回に上ったとしている。

 なお、ツイート数と視聴率の因果関係についてもやはりNielsenが研究中だ。220番組についてツイート数と視聴率の関係を調査したところ、48%の番組において、視聴率の高かった時間帯でツイート数への有意な影響を示したほか、29%の番組において、ツイート数が増えたことで視聴率が統計的に有意な変化を示したとしている。

Twitterのテレビ視聴への誘引効果と因果関係は?

 日本での状況については、株式会社マクロミルが2012年7月に出した調査結果を紹介した。それによると、Twitterユーザーの57%が視聴している番組についてツイートしたことがあると回答。一方、テレビ番組に関するツイートを見てユーザーが実際に起こした行動としては、「テレビをつけて番組を見た」が27.5%、「チャンネルを変えて番組を見た」が21.1%などだった。

 また、株式会社ビデオリサーチの長島英樹氏(テレビ事業推進部新指標開発担当)も登壇。Twitterのテレビ視聴への誘引効果と因果関係という指標化の2つの方向性について説明した。

 長島氏はこれを示す事例として、ある日の夜のニュース番組において、ある女子スケート選手が衝撃の告白をするという予告が流れた後、まずはツイート数が一気に増え、その後、視聴率が上がったと考えられる事象が見られたことを紹介した。また、従来はツイートの投稿件数について語られることが多かったが、視聴の誘引効果を表すのに重要なのはインプレッション数が適しているのではないかとした。

 このほか、ツイート数が多いということ自体が、視聴率とは異なるテレビ番組の価値を示すのではないかとも指摘する。プライムタイムのバラエティ番組418番組について視聴時間との関連を調べたところ、特に視聴率の低いグループの番組においては、ツイート数が多い番組は視聴時間も増え、番組に対するコミットメントが強いと考えられるという。「ツイート数が多い番組ほどじっくり見られている」。

 さらに、10番組の237のCMについて番組放送直後に覚えているかどうか視聴者に聞いたところ、じっくり見た人はCMも覚えている割合が高かったため、番組への思いが強いとスポンサーの好意度も上がるとした。CMを出稿するスポンサーの観点からも気になる指標と言えそうだ。

テレビCMを見たであろうTwitterユーザーを特定し、ツイート広告でリーチ

 John Heywood氏は、Twitterとは「Live、Public、Conversational(今が分かる、開かれている、会話が生まれる)」メディアであるとの定義を引用し、こうした特性からライブ番組では補完的な機能が強いと説明する。

 また、牧野氏が冒頭でも紹介したデータを示し、人はテレビを見ている時にツイートするのが好きであり、その会話に加わりたいと思っていることから、テレビを見ている時にツイートが増えることは予測できることだと説明。「Twitterは、テレビ番組のパルス(心拍数)。テレビで起きていることは、Twitterでも起きている」というスライドを示した。米国の人気5番組についてのツイート数が1週間の周期でピークを刻んでいることが分かるもので、「Twitterでの広告キャンペーンとテレビ番組とを結び付ける、マーケターにとって絶好のチャンスが生まれる」という。

 さらに、テレビに関するツイートの70%はその番組の放送中に投稿されているというデータも紹介。これを活用するソリューションがテレビターゲティング広告だとした。

 これは、Twitterが買収したBluefin Labsのソーシャルテレビ分析技術を用いたもので、全米で放送されているCMをフィンガープリントで管理する一方で、Twitterユーザーがツイートしている内容に基づきそのユーザーが視聴しているチャンネルを特定。あるテレビCMを視聴していたであろうと推定されるTwitterユーザーに対して、プロモツイート(ツイート広告)を配信するという流れだ。

 いわば、テレビCMの続きのメッセージをTwitterで送るというものであり、Twitterでリーチできれば、さらにその後、さまざまなマーケティングのアプローチが行えるようになる。

 Heywood氏によると、テレビとTwitterを併用することで、エンゲージメント率が27%上昇し、テレビのみの場合よりもメッセージの想起度が95%上昇、購入意向も58%上昇するとのNielsenの調査結果も出ているという。「テレビは、Twitterでより効果的になる」。

 なお、テレビターゲティングは、ジオターゲティングやモバイルターゲティングなどTwitterの既存の広告ツールとも組み合わせることが可能で、ターゲットとする視聴者ごとに異なるメッセージを送信可能だという。現在は米国のみでの展開だが、他の市場にも拡大したいと述べ、2014年上期には日本でも展開したいとした。

(永沢 茂)