イベントレポート

第21回東京国際ブックフェア

大日本印刷が眼鏡型端末で読む電子書籍、首を左右に振ってページめくり

 東京ビッグサイトで7月2日から5日まで開催の「第21回東京国際ブックフェア」において、大日本印刷株式会社は、眼鏡型ウェアラブル端末で閲覧する電子書籍を展示している。エプソン製の眼鏡型ウェアラブル端末「モベリオ」に対応した電子書籍とARコンテンツビューアーを大日本印刷が開発し、2日付で発表したもの。

 電子書籍は、首を上下に振るのに追従してページ内が上下にスクロールする。左右に振ると、ページ送り/戻し操作が行える。モベリオに搭載されているジャイロセンサーを利用したもので、両手がふさがる食事中などでも電子書籍を読み進められるとしている。

 ARコンテンツビューアーは、モベリオをかけた人が見ている対象物に連動したコンテンツを表示するもの。例えば、雑誌に掲載されたモナリザの画像を認識すると、ルーブル美術館のパノラマ映像が表示される。やはりモベリオのジャイロセンサーにより、首を上下左右に振ればパノラマ画像の中を見回せる。このほか、コミックの表紙を認識して、映画版の予告動画を表示するといったコンテンツもあり、来場者も体験することが可能だ。

凸版印刷、電子媒体向け新書体「文久体」やBookLive!を紹介

 凸版印刷株式会社のブースでは、オリジナルの新書体「凸版文久体」を展示している。ディスプレイの透過光でもはっきり見えるなど、電子媒体にも読みやい書体として順次開発中の書体だ。

 本文用明朝体の「凸版文久明朝 R」がすでにリリース済みで、同じく本文用ゴシック体の「凸版文久ゴシック R」が今年冬にリリース予定。展示ブースでは、タブレット端末でこれらの書体が表示されており、従来のヒラギノフォントなどと切り替えて見え方を比べることも可能だ。

 凸版印刷グループで電子書籍サービス「BookLive!」を手掛ける株式会社BookLiveのブースもあり、今週はじめに発表したカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)との提携サービスのイメージを伝えている。

 これは、CCCが展開する書店チェーン「TSUTAYA」で紙の本を購入する際、Tカードを提示すると、同じ本の電子書籍版をBookLive!で無料または割引価格で利用できる「AirBook」というサービス。具体的なID連携の手続き方法などは未定だが、ブースでは、レジで本を購入するとすぐさまスマートフォンで電子書籍版が見られるようになるというメリットをアピールしている。

 提携ではまた、TSUTAYAの「BOOK&CAFE」スタイルの店舗に無料のWi-Fiスポット「BookLive!SPOT」を展開予定だ。ブースでは、BookLive!の電子書籍を格納した小型サーバーを設置し、会員登録不要で電子書籍が閲覧できるようになる様子を伝えている。なお、両社提携によるサービスの開始は年内の予定。

シャープは「EBLIEVA ブラウザビューア」を紹介

 東京国際ブックフェアの併催イベントとして7月4日まで開催の「第18回国際電子出版EXPO」では、電子出版/電子書籍関連ソリューションを各社が展示。シャープ株式会社では、端末のプラットフォームやアプリに依存せずに電子書籍を提供できる「EBLIEVA ブラウザビューア」を紹介している。HTML5によりウェブブラウザー上で電子書籍の誌面を表示可能にするソリューションで、日本語レイアウトやページの段組表示なども再現できることをアピールしている(詳細は7月2日付のインタビュー記事『ASP型サービス「EBLIEVA ブラウザビューア」がアプリの呪縛からストアを解放』を参照)。

 なお、シャープが運営する電子書籍ストア「GALAPAGOS STORE」では、実際にEBLIEVAを体験できるページを用意。ブラウザビューア上で実際に表示して読むことができる電子書籍/コミックなどを多数公開している。

(永沢 茂)