グーグル村上会長がスマートグリッドへの期待を語る


 インプレスR&Dは30日、「スマートグリッドとITが切り開く未来」と題したセミナーを東京国際フォーラムで開催した。グーグルの村上憲郎名誉会長も登壇し、同社の「スマートグリッドへの期待」を語った。

 スマートグリッドは、家庭や企業などに分散して設置した発電設備から電力を集約し、それを利用者に再分配する仕組み。次世代電力網とも言われている。ICTを用いて発電側情報および需要側情報を双方向にやり取りし、電力を融通し合う。

セミナー会場の様子グーグルの村上憲郎名誉会長

データセンターの巨大化で電力コストも増大

 村上会長は、Googleではインターネット上でサービスを提供する「クラウドコンピューティング」を展開しているとし、例として、動画共有サイト「YouTube」を挙げた。「アップロードされる動画の量は、1分あたり20時間分以上にもなり、しかもハイビジョンに対応しているので、大量のデータが常にアップロードされ、視聴されている。データセンターは巨大にならざるを得ない」とした。

 Googleでは、データセンターを自社で開発しているという。無料のサービスを提供し続けるためにもコスト削減が必須になると説明。「ムーアの法則でハードウェアのコストはある程度抑えることができたが、電力は外から買っているため、削減が難しい。データセンターが巨大化するのに伴い、電力コストの削減が課題になっている。長期的に低廉な電力の供給を要請せざるを得ない」とした。

 Google自身で行っている省エネ施策についても紹介した。米国本社では、ビルの屋根をソーラーパネルにしている。「オフィスの電力消費のピーク時は、3分の1をソーラーパネルからの電力により賄えている」という。また、「再生可能エネルギーを石炭エネルギーより安価にできればと思い、ソーラーや風力、地熱による電力発電を行っている企業に協力している」とした。

 スマートグリッドの推進については、「コンシューマ寄りのお手伝いができれば」と話す。具体的には、通信機能を備えた電力メーター「スマートメーター」の実証実験に参加。「IT企業としては、スマートグリッドの情報系、特にコミュニティ面において、できる限りの協力をしていく義務がある」。村上会長は、「グリーンと言うと、企業イメージを上げるためにやっていると思われがちだが、電力コスト削減は我々自身が求めていること」と述べた。

 このほか、セミナーの最後にはパネルディスカッションが行われた。Googleがスマートグリッドを推進する理由について、ビジネスチャンス的な側面があるのではないかと聞かれた村上会長は、「そのような下心が無いわけではない」とコメント。ただし、「現状ではスマートグリッドのネットワークがどのように育っていくのか見えない。現在参加している実証実験で何かつかめればと思うが、当面のプライオリティは電力コストの安定化」と話した。

Googleの初期のサーバーGoogleの現在のサーバー

米Googleにあるソーラーパネルパネルディスカッションの様子

 


関連情報

(野津 誠)

2009/7/31 11:00