「Googleエディション」など電子書籍販売サービスを各社がアピール
「第17回 東京国際ブックフェア」と同時開催されている「デジタルパブリッシングフェア2010」の展示会場では、グーグルの「Googleエディション」や、NTTグループと角川グループの合弁による「Fan+」など、今後開始が予定されている電子書籍販売サービスの展示が数多く行われている。
●「Googleブックス」「Googleエディション」の説明に多数の来場者
グーグルのブースでは、書籍検索サービス「Googleブックス」と電子書籍販売サービス「Googleエディション」を紹介しており、ブース内で行われているセミナーは立ち見客が通路に溢れるほど多数の来場者の関心を集めている。
Googleブックスは、出版社がグーグルに書籍を登録することで書籍の全文検索を可能とするサービス。通常のウェブ検索にも、関連性の高い書籍についての検索結果が表示される。Googleブックスで読者が閲覧できるページは書籍全体の20%に制限されており、プレビュー画面には出版社やオンライン書店へのリンクが表示される。グーグルの調査では、プレビュー画面で閲覧したページが多いユーザーほど、実際の本の購入率が高いという結果が出ており、出版社にとってGoogleブックスは書籍と読者の出会いを支え、販売促進につながるサービスだとアピールしている。
また、今後はGoogleブックスに登録された書籍を電子書籍として販売するサービス「Googleエディション」も予定している。米国では今夏から、日本では年明けの開始をめどに開発を進めており、オンラインでの電子書籍販売もサービスに加えることで、ユーザーと出版社にとってさらにメリットの大きなサービスになると強調した。
グーグルのブースは立ち見客が出るほどの盛況 | 「Googleブックス」では閲覧ページが多いユーザーほど書籍の購入率も高い |
●NTTと角川の合弁会社、“マニア向け”電子書籍配信サービス「Fan+」今秋開始
NTTグループと角川グループの合弁で設立されたNTTプライム・スクウェア株式会社のブースでは、2010年秋にサービス開始を予定している「Fan+(ファンプラス)」を紹介している。
「Fan+」は、コンテンツプロバイダーが所有する動画・写真・テキスト・音楽などの素材を使ったコンテンツを配信するサービス。NTTプライム・スクウェアでは、歴史やアニメ、鉄道などの熱心なマニアをまとめて“ファン”と位置付け、それらのファン向けにリッチコンテンツを配信するサービスを目指し、出版社などのコンテンツプロバイダーに対して参加を呼びかけている。
ブースでは、「歴史」「鉄道」「ゴルフ」などをテーマに、提供するコンテンツのイメージを展示。Fan+が提供する「ハイブリッドコンテンツメーカー(仮称)」により、あらかじめ用意されたテンプレートを使うことで、PCやスマートフォン、携帯電話などマルチデバイス対応のコンテンツが簡単に制作できるとアピールしている。
NTTと角川の合弁会社NTTプライム・スクウェアは、今秋開始の「Fan+」をアピール | 「鉄道」「テニス」「映画」などのファンに向けたリッチコンテンツを提供していく |
●大日本印刷も今秋に「国内最大級の電子書店」を開設
8日には、大日本印刷も国内最大級の電子書店を2010年秋に開設すると発表した。大日本印刷のブースには説明文などの展示しか行われていないが、オンライン書店「bk1」と電子書店「ウェブの書斎」が連携して、PCや電子書籍端末向けに約10万点のコンテンツを揃える。また、DNPグループの丸善やジュンク堂、文教堂などの書店との連携も進め、リアル書店・オンライン書店・電子書店による「ハイブリッド型総合書店」を目指すとしている。
既に提供されているサービスとしては、株式会社パピレスが電子書籍レンタルサービス「電子貸本Renta!」を紹介している。1冊100円からのレンタルモデルで、PCや携帯電話、スマートフォン、iPadなどの各種端末のブラウザーに対応。クラウド型サービスのため、ユーザーは借りた電子書籍を好きな端末で読むことができる点が特徴となっている。また、既に多数の出版社が参加しているため、5月28日のiPadの国内販売と同時に約7000冊の電子書籍コンテンツが読めるサービスを開始するなど、品揃えの豊富さをアピールしている。
大日本印刷のブース | 国内最大級の電子書店を今秋に開設することを発表 |
パピレスのブース | クラウド型サービスの「電子貸本Renta!」を展開 |
関連情報
(三柳 英樹)
2010/7/8 19:10
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