無料版で十分? 有料版と何が違う? 無料ウイルス対策ソフトまとめ
ここ数年、海外中堅ベンダーの日本市場参入で、ラインナップも増えてきた“無料ウイルス対策ソフト”。無料だから使う、というだけでなく、有料ソフトも含め、導入するウイルス対策ソフトを検討する上で有力な選択肢の1つになってきているのではないだろうか。
しかし、無料ということで気になるのは、有料製品に比べて機能が不十分ではないのか?ということ。そこで今回、本誌でこれまでに取り上げた主な無料ウイルス対策ソフトの記事をピックアップし、製品説明サイトや各社製品における無料版・有料版の機能比較ページのURLとともにまとめた。
- アバスト! 無料アンチウィルス
- AVGアンチウイルス Free Edition
- Avira AntiVir Personal - Free Antivirus
- KINGSOFT InternetSecurity 2011
- Panda Cloud Antivirus 無料版
- 参考:Microsoft Security Essentials
無料ウイルス対策ソフトは、さらに多くの機能を搭載した有料版が用意されているというケースが多い。無料版では、これら多くの機能のうち、主にウイルス対策が利用できるようになっている。そのため、ウイルス対策に関しては、無料版であっても有料版と同じエンジンを利用している。
ただし、無料のウィルス対策ソフトの利用にはいくつかの注意点がある。まずは、無料版のウイルス対策ソフトは一般的に、ウイルス対策しか行わず、パーソナルファイアウォールの機能を提供していないということだ。そのため、Windowsに標準で搭載されている「Windows ファイアウォール」を有効にしておこう。
また、仕事で利用する場合にも注意が必要だ。無料ウイルス対策ソフトの多くは、使用条件が個人利用や非営利目的などに限られている。このような場合、仕事で利用するには有料版を購入する必要があるので、利用規約などをしっかり確認しよう。
なお、有料版の価格については5月26日現在、各社サイトに記載しているライセンス形態のうち代表的なものを掲載した。ライセンス期間やインストール可能なPCの台数などにより複数ラインナップしている製品が多いほか、キャンペーン価格で割引価格の製品もあるため、有料版の購入を検討するのであれば、あらためて各社サイトで確認してほしい。
【お詫びと訂正 2011/6/28 14:00】
記事初出時、無料ウイルス対策ソフトを利用する際の注意点として、『「Windows Defender」または「Windows ファイアウォール」を有効にしておこう』と記述しておりましたが、Windows Defenderの記述を削除しました。なお、Windows Defenderはスパイウェア対策ソフトであり、パーソナルファイアウォール機能は搭載していません。また、一般的に無料ウイルス対策ソフトにもスパイウェア対策機能は搭載されているため、搭載していない製品を使う場合にWindows Defenderを有効にする必要があります。
●アバスト! 無料アンチウィルス
開発元のAVAST Softwareは、「アバスト!」シリーズとして個人や企業向けにさまざまなエディションをリリースしている。「アバスト! 無料アンチウィルス」は、これらアバスト!シリーズに搭載されているウイルス対策機能が利用できるソフトだ。対応OSは、Windows 7/Vista(Starter Edition以外)/XP SP2以上。使用は、個人での非商用利用に限る。
特徴的なのは「自動サンドボックス」だ。サンドボックスとは、OSと完全に隔離した仮想的な実行環境。不審なファイルを「サンドボックス」で実行することで、万が一、ウイルスやマルウェアであってもOSに影響を与えない。
有料版の「アバスト! プロアンチウィルス」(年額1980円/1台など)ではオンラインショッピングなどのアカウントの保護が、「アバスト! インターネットセキュリティ」(年額4480円/3台など)では個人情報の保護と迷惑メールフィルターが利用できる。
■URL
アバスト!
http://www.avast.co.jp/index
無料版・有料版の比較
http://www.avast.co.jp/free-antivirus-download
■関連記事
・無料の「avast! Free Antivirus 6.0」公開、自動サンドボックス搭載
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110225_429497.html
●AVGアンチウイルス Free Edition
「AVGアンチウイルス Free Edition」は、個人向けからサーバー向けまで幅広く展開する「AVG」シリーズの無料版。ウイルスやスパイウェア対策のほかに、FacebookやMySpaceなどのリンクを確認する「ソーシャルネットワーキング保護」が搭載されているのが特徴だ。対応OSは、Windows 7/Vista/XP。使用は個人に限る。
なお、有料版の「AVGアンチウイルス」(年額2980円/1台など)は、無料版の機能に加えてチャットのリンクとダウンロードファイルの安全性確認機能、「AVGインターネットセキュリティ」(年額3980円/1台など)はオンラインショッピング保護の機能が搭載されている。
■URL
AVG個人向け製品
http://www.avg.co.jp/home-small-office-security
無料版・有料版の比較
http://www.avg.co.jp/home-small-office-security/free-antivirus
■関連記事
・AVG Technologies、セキュリティ対策ソフト「AVG 2011」シリーズを発売
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100930_397053.html
●Avira AntiVir Personal - Free Antivirus
Aviraはドイツのセキュリティ企業で、法人向けのセキュリティ対策ソフトも手がけている。「Avira AntiVir Personal - Free Antivirus」は、そのウイルス対策の機能を搭載したソフトだ。対応OSは、Windows 7/Vista SP1/XP SP2。使用は、私的な目的に限る。
有料版の「Avira AntiVir Premium」(年額3500円/1台)では、フィッシング詐欺、未知のウイルスの検知、ウェブサイトやメールからの感染の防止などの機能がある。
■URL
Avira個人向け製品
http://www.avira.com/ja/for-home
無料版・有料版の比較
http://www.avira.com/ja/avira-free-antivirus
■関連記事
・クラウド型セキュリティを導入した「Avira AntiVir バージョン10」
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20101014_399938.html
●KINGSOFT InternetSecurity 2011
「KINGSOFT InternetSecurity 2011」は、中国キングソフトが開発したセキュリティソフト。対応OSはWindows 7/Vista/XP/2000。定期的に表示される広告により無料で利用できるという仕組み。これによりKINGSOFT InternetSecurity 2011は、無料ながら個人情報の保護やパーソナルファイアウォールなど、有料のセキュリティソフトと同等の機能が利用できる。さらに、無料版でも電話とメールによるサポートが受けられる。使用条件は個人で、商用での利用可能。
なお、広告が表示されない有料版も用意されており、1年版980円または無期限版が1980円となっている。
■URL
KINGSOFT InternetSecurity 2011
http://www.kingsoft.jp/is/index.html
■関連記事
・クラウド連携で軽量化した「KINGSOFT InternetSecurity 2011」、無料版も
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100708_379364.html
●Panda Cloud Antivirus 無料版
「Panda Cloud Antivirus 無料版」は、スペインのPanda Securityが開発したウイルス対策ソフト。対応OSはWindows 7/Vista/XP。使用は個人および非営利団体に限る。
Panda Cloud Antivirusシリーズは、他社に先駆けてウイルス対策のパターンファイルや処理をクラウドに任せるという手法を採用した。これにより、ソフトウェアやパターンファイルなどのアップデートを最小限にできPCへの負荷が小さいとされている。また、無料版においても、ウェブサイトからの攻撃の保護やURLフィルタリングが利用できるのも特徴だ。
有料版の「Panda Cloud Antivirus - PRO Edition」(年額2999円など)では、実行中のプロセスの振る舞い分析、USBメモリの自動実行によるマルウェア対策に対応している。
■URL
Panda Cloud Antivirus
http://www.cloudantivirus.com/ja/
無料版・有料版の比較
http://www.cloudantivirus.com/ja/daunrodo/cloud-antivirus/free
■関連記事
・「Panda Cloud Antivirus 1.3」公開、無料版でも広告非表示に
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20101029_403487.html
●参考:Microsoft Security Essentials
Microsoftが提供する無料のウイルス対策ソフト。同社が法人向けに提供しているセキュリティ対策ソフト「Microsoft Forefront」と同じエンジンを採用している。対応OSは、Windows 7/Vista/XP。個人と法人(10台まで)ともに利用可能。
今回の記事は無料版・有料版の違いを切り口としているため、無料版のみの「Microsoft Security Essentials」については参考までに挙げておく。
■URL
Microsoft Security Essentials
http://www.microsoft.com/ja-JP/security_essentials/default.aspx
■関連記事
・MS、無料の「Security Essentials」バージョン2を公開
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20101221_416133.html
・Microsoft、無償ウイルス対策ソフトを中小企業でも利用可能に
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100924_395971.html
(2011/5/27)
[安達崇徳]