SugarSyncのLaura Yecies CEO、「Google DriveとSugarSyncは異なるサービス」


 インド・ニューデリーにて開催された米Dell主催の女性起業家を対象としたイベント「Dell Women's Entrepreneur Network(DWEN)」。その参加者の中に、シリコンバレーで活躍する数少ない女性CEOがいた。SugarSyncのLaura Yecies氏だ。

 Yecies氏は、AOLのNetscapeブラウザー担当バイスプレジデントやYahoo!のメール部門担当ゼネラルマネジャー、Check Point Software TechnologiesのZoneAlarm担当ゼネラルマネジャーなどを経て、2008年12月にSugarSyncのCEOとなった人物だ。SugarSyncの創業者ではないものの、シリコンバレーの主要企業におけるマネジメント経験を買われ、CEOに抜擢された。数々のオンラインストレージサービスが台頭する中で、同社の強みは何なのか、また、女性CEOとして困難を感じることはないのか、Yecies氏に聞いた。

海外展開はパートナーシップで

――現在のSugarSyncの収益源はどのようになっていますか。

SugarSyncのLaura Yecies CEO

 収益の3分の2は、直接SugarSyncのサイトでサービスを購入するユーザーから来ています。残りの3分の1は、パートナーとのレベニューシェアによるものです。我々は、日本ではソフトバンクの子会社であるBBソフトサービスとパートナーシップによるビジネスを展開していますし、BestBuyやLenovo、SanDisk、France Telecom-Orange、Korea Telecomといった企業ともパートナーシップを組んでいます。

――このところ多くのオンラインストレージサービスが登場しています。その中でSugarSyncの強みはどこにありますか。

 SugarSyncは、多くのデータをクラウドに保存したいと考えるパワーユーザーに評判のいいサービスです。同期するフォルダーが細かく設定できるためで、フォルダーがデスクトップにあってもマイドキュメント内にあっても、任意のフォルダーを同期設定できます。結果、多くのデータをクラウドに保存できるのです。同期するために特定の同期ボックスにファイルを入れる必要もないため、ファイルを入れ忘れて外出先でアクセスできないといったことが起こる心配もありません。

――4月にはGoogleがGoogle Driveを発表しました。このサービスについてどう思いますか。

 Google Driveは、Dropboxのサービスを真似たものです。つまり、同期できるフォルダーは、特定の同期用フォルダー1つだけで、SugarSyncとは異なるサービスです。Google Docsの既存ユーザーであれば、Docsとの連携機能などが使えるため便利かもしれませんが、他の利点があるとは思えません。

――今後、SugarSyncのビジネスをどのように拡大していく予定ですか。

 対応言語を増やしたいと思っています。現在は日本語、英語、中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語に対応していますが、他の言語にも対応する予定です。次はイタリア語やポルトガル語あたりでしょうか。また、新たな市場でのパートナーシップも築きたいと考えています。現在、SugarSyncには海外の支社はありませんが、日本でやっているように、各国の市場でサポートを提供するパートナーとともにビジネスを展開したいと思います。

――海外に支社を設ける予定はないのですか。

 いずれかのタイミングでそのような計画を立てるかもしれませんが、今年もしくは来年という近い将来には予定はありません。パートナーシップで十分ビジネスを拡大できますし、インターネットサービスにおいてローカルオフィスを持つことはそれほど重要ではないためです。営業担当者がユーザーに直接販売するのであればローカルオフィスが必要ですが、我々のサービスはウェブで購入が可能ですからね。

多くの女性にステップアップしてもらいたい

――今回、このイベントに参加した理由を聞かせてください。

 他の女性起業家と人脈を築くことはすばらしいことです。女性はコラボレーションやブレインストーミングが得意ですし、こういう場で新しいビジネスアイデアやつながりが生まれることが多いんです。去年も参加したいと思っていましたが、ちょうど娘の高校の卒業式と重なったので参加できませんでした。その分、今回イベントに参加できるのをとても楽しみにしていました。SugarSyncはDellの大規模顧客でもありますし、DellはSugarSyncに投資もしてくれていますから。

――シリコンバレーにはあまり女性のCEOがいません。女性CEOとして困難を感じたことはありますか。

 これまでに難しい時期もありましたが、それは私が女性であることに関係しているのか、単にビジネス的に難しいだけなのかはよくわかりません。2009年は資金調達が大変な1年でした。最終的には何とかなりましたが、あの時期に大変だったのが女性であるためか、2009年が経済全体で難しい時期だったのかは不明です。ただ、一般的に女性は資金調達が困難だということは事実です。

 バイスプレジデントなどのエグゼクティブには女性も多いのですが、CEOになると一気に女性の数が減るというのは私も気になっています。私にどれだけの力があるかわかりませんが、もっと多くの女性にステップアップしてもらうよう働きかけたいと思っています。

――SugarSyncのCEOに抜擢されたとき、どう感じましたか。

 すばらしい機会だと思いました。SugarSyncの技術はいいものだと思いましたし、これまでの実績を認めてもらえたのですから。しかし、本当のチャレンジはこれからです。CEOの座に就くことよりも、CEOとしての仕事をこなすことの方が大変です。プレッシャーも多いですが、楽しんでいます。


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(沙倉 芽生)

2012/6/26 11:00